5分でわかる『吾輩は猫である』猫が人間を風刺する夏目漱石の処女小説のあらすじ、内容を解説!
- 1.『吾輩は猫である』の著者夏目漱石ってどんな人?
- 1-1波乱万丈の人生は幼少期から
- 1-2漱石はやっぱり秀才
- 1-3精神を患う
- 1-4ベストセラー作家となる
- 1-5漱石の晩年
- 2. 『吾輩は猫である』の書き出し文
- 3.『吾輩は猫である』の魅力
- 3-1登場人物は面白い名前
- 3-2猫目線で書かれたユニークさ
- 3-3漱石が仕掛けた笑いや驚き
- 3-4チラ見えする日露戦争
- 3-5死への問いかけ
- 4.日本中に猛威を奮ったユーモア小説
- 4-1語り手の猫登場
- 4-2苦沙弥の観察
- 4-3猫と餅の格闘
- 4-4恋人との永遠の別れ
- 4-5鼻デカ女との対決
- 4-6切なすぎるラストシーン
- 『吾輩は猫である』は現在も世界各国で読まれる日本の普及の名作
この記事の目次
1.『吾輩は猫である』の著者夏目漱石ってどんな人?
この小説の主人公のモデルは、夏目漱石(なつめそうせき)自身とか。また、吾輩(猫)は、漱石が飼っていた猫です。著者夏目漱石がどんな人物だったのかをご紹介します。
1-1波乱万丈の人生は幼少期から
夏目漱石は、明治維新前夜の慶応3(1867)年2月9日に誕生します。江戸牛込馬場下横町(現:新宿区喜久井町)の町方名主夏目直克(なおかつ)とちゑの5男(末っ子)で、本名は金之助(きんのすけ)。ちゃっきちゃきの江戸っ子です。
明治維新という動乱期で、夏目家も衰退しはじめた頃、生後4ヶ月で古道具屋に里子に出され姉が連れ戻すも、3歳の時に塩原家に養子に出されました。塩原の養父母が離婚し10歳で夏目家に戻りますが、籍は塩原家のままという曖昧な状態で、自分の居場所がない状態で22歳まで過ごします。
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1-2漱石はやっぱり秀才
家庭環境の混乱から、学校も転校を繰り返す幸せとは遠い少年期でした。12歳で東京府第一中学校に入学するも2年後中退。漢学を学ぶために二松学舎に通いますが、2ヶ月で中退します。大学予備門受験のために必要な英語を学びに、英学塾成立学舎へ入ると頭角を現したのです。
17歳で念願の大学予備門へ入学し、親友の正岡子規(まさおかしき)と出会います。ほぼ全ての教科で主席で特に英語は優秀でした。その後、23歳で東京帝国大学英文学科へ入学し優等生に選ばれ、同校の教授J.M.ディクソンが漱石の才能を見抜き『方丈記』の英訳を依頼しています。これは、『日本亜細亜協会』の例会で、朗読披露されたようです。
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1-3精神を患う
卒業後は、東京高等師範学校で英語嘱託となり、2年後の明治28(1895)年には、愛媛県尋常中学校の英語科教師になりました。この時、松山には静養のため正岡子規が帰郷しており、共に俳句に興じます。その後、熊本県第五高等学校講師として赴任し、貴族院書記官長中根重一の長女中根鏡子(なかねきょうこ)と結婚しました。
33歳で文部省から2年間の英語留学を命じられ、留学中に神経衰弱を患います。日本から急遽迎えが来るほど重篤でした。渡英中に親友の正岡子規が死亡したことを知ります。再び一高教師と東大講師を歴任するも、分析的な講義内容で生徒たちから不評を買い再び精神を患いました。
1-4ベストセラー作家となる
みかねた高山虚子は、俳句雑誌『ホトトギス』の中で、「小説を書いたらどうか」と話を持ち掛けます。これまでのうっぷんを晴らすかの如く、ペンを走らせたこの作品が『吾輩は猫である』です。ロンドン時代からのストレスから解き放たれた自由を感じながら、猫を自分に例えて書いたとか。
明治38年1月号だけの予定でしたが、好評で明治39年8月まで全11回(途中休載あり)掲載されました。本のヒットを漱石は「書きたいから書き、作りたいから作った」と、後に語るほど喜びます。雑誌連載後に単行本が刊行され、初版本が20日で売り切れるほどのヒットでした。
1-5漱石の晩年
漱石は40歳の時に帝国大学講師を辞し、朝日新聞社に入ります。大学でのエリートコースを辞して、職業作家となることを決めたのです。入社後初の「虞美人草(ぐびじんそう)」は話題作となり、毎週木曜日の「木曜会」には若手作家たちが集まりました。
「門」執筆中の43歳の時に胃潰瘍を発症し、療養生活を送ります。修善寺への転地療養中に大量出血するも、持ち直し東京へ帰りました。その後、何度も胃潰瘍に悩まされ、大正5(1916)年49歳の時、「明暗(めいあん)」の執筆途中に胃潰瘍が再発し逝去します。
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