教養文化歴史

【考察】森鴎外の小説『舞姫』主人公・豊太郎の行動、あなたはどう考える?

『舞姫』は高校教科書に載ることの多い定番小説ですので、読んだことのある方も多いのではないでしょうか。私ははじめて『舞姫』を読んだとき、かなり衝撃を受けた覚えがあります。今回は少し難しいイメージのある『舞姫』を紐解いていきますね。

『舞姫』の作者、あらすじ

image by iStockphoto

まずは、『舞姫』の作者について、そしてあらすじについて説明していきます。『舞姫』は短編小説ではありますが、文語風の文章のため少し読み返しづらいところがあるかもしれません。しかしあらすじだけでは伝わらない魅力がそのなかにはありますので、ぜひ読んでみてください。

作者・森鴎外はどのような人物か

『舞姫』の作者は、明治・大正の時代に活躍した森鴎外(1862年~1922年)。本名を森林太郎(もりりんたろう)と言います。彼が生まれた1862年というのはまだ江戸時代でした。石見国(現在の島根県)の医者の家に生まれた鴎外は、幼少のころからとても頭が良かったそうです。なんと12歳で東京大学医学部(当時の名称は第一大学区医学校)の予科に入学したというから驚きですね。小説家であり、医師であるという異色の経歴を持ちます。『舞姫』は、鴎外がはじめて発表した小説です。

石炭をば早や積み果てつ。

ー『舞姫』冒頭

あらすじ1 主人公の生い立ち~エリスとの出会い

物語は、主人公・太田豊太郎がドイツから日本へ帰る船のなかから始まります。彼は回想を始めました。エリートとして育った豊太郎。大学の法学部で学士の称号を取ったあと、とある省で働いていました。そこでの評判もよかったので、ベルリンへの調査留学を命じられます。ベルリンで豊太郎は大学へ入り、やがて自らの生き方をかえりみるようになりました。
そんな折にあったのが、エリスとの出会いです。散歩をしていた豊太郎はその帰路で、16か17くらいの少女・エリスと出会います。彼女は泣いていました。父親の葬儀代が払えず困っているエリスを、豊太郎は助けます

あらすじ2 免職~新聞社通信員へ

その後、エリスと豊太郎は人にうわさされるべくもない、清い交際を続けていました(この時点では)。そんな折、同僚の一人が豊太郎について官長にあることないことを報告してしまいます。豊太郎が大学で学問をしていることをもともとよく思っていなかった官長によって、豊太郎は免官となりました。そして追い打ちをかけるように届いたのが、母の死の知らせです。
大変な状況の豊太郎を救った人物の一人は、相沢謙吉という同行者でした。新聞社の通信員としての仕事を紹介してくれたのです。そしてもう一人救いの手を伸ばしたのが、エリスでした。豊太郎はエリスと母とが住む家に一緒に住むことが許されたのです。豊かな生活とは言えませんでしたが、二人は楽しい日々を送りました。

あらすじ3 大臣との面会~ロシアへの同行

やがて、エリスにつわりの症状が出ます。そこへ、相沢からのはがきが届きました。天方(あまかた)大臣が豊太郎に会いたいというので来い、という知らせでした。大臣との面会後、相沢と昼食をともにする豊太郎。相沢は、「エリスとの交際か、大臣の信頼を得てまたエリートの道へ戻るかどちらかを選べ」というようなことを豊太郎へ迫ります。すぐには答えを出せないので、結論を先延ばしに。1ヶ月ほどのあと、大臣のロシア行きへの同行が決定します。エリスの懐妊も決定的なものとなっていました。ロシアにいる間も、エリスからの豊太郎へ信頼を寄せる言葉が手紙によって届きます。

あらすじ4 ドイツへ戻る~気絶する豊太郎

ロシアからドイツへと戻った豊太郎。新年、元旦のことでした。豊太郎の帰りを喜ぶエリスはおむつも用意して、生まれてくる子供のことを心待ちにしている様子。彼女は信頼の言葉を重ねて豊太郎へ伝えます。そして大臣に呼び出された豊太郎は、日本へともに帰ることを提案され、承知してしまいました。それをエリスに伝えることができない豊太郎。罪悪感が彼の心を覆います。いざエリスの顔を見たら、声も出ずに気絶してしまいました。

次のページを読む
1 2 3
Share: