イギリスヨーロッパの歴史

イギリスのインド支配を確立した「プラッシーの戦い」とは?わかりやすく解説

イギリスは、エリザベス1世の時代にスペインの無敵艦隊を破り、無敵の海軍を擁して海外植民地を拡大していきました。イギリスの世界有数の植民地支配を確立したのが、インドにおけるフランスとの「プラッシーの戦い」だったのです。これによって、インドからフランスを追い出し、インド支配を確立し、北アメリカとともに世界でも有数の植民地を持つ、大英帝国の礎となりました。このイギリスの植民地支配の礎となったプラッシーの戦いについて解説します。

プラッシーの戦いとはどのような戦いだったのか

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1757年6月に、インドのベンガル地方プラッシー村で起こったイギリス東インド会社とベンガル太守とフランス東インド会社連合軍との間で起こった戦争がプラッシーの戦いです。

インドでは、15世紀からインドを支配していたムガール(ムガル)帝国が衰退し、イギリスがいち早く植民地化に着手していました。一方、フランスもインドシナ半島から現在のミャンマー、バングラデシュさらにインド西部に植民地を広げ、イギリスとの間でインドの支配権をめぐって対立していたのです。

その結果、イギリスとフランスはインド東部で衝突することになりました。

17世紀以降のヨーロッパ情勢の影響

ヨーロッパでは、17世紀前半における三十年戦争とその講和会議で結ばれたウエストファリア条約によって、各王国の勢力地図が変わりつつありました。

その後、18世紀から19世紀にかけて、イギリスとフランスは、北アメリカ、インド、アフリカなどで植民地化をめぐって対立していたのです。また、ヨーロッパでは17~18世紀に入ると、ヨーロッパ各王国の後継者争いや領土争いが起こり、さらに自由主義と市民運動が台頭してきます。そのため、各ヨーロッパ大国の間では対立が深まっていきました。

七年戦争にともなうイギリスとフランスの参戦と植民地戦争

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18世紀中ごろの1754年に、ヨーロッパではオーストリアとプロイセンの間で領土争いから七年戦争が起こり、それに多くのヨーロッパ主要国が参戦していました。プロイセン側に立ったイギリスと、オーストリア側についたフランスはそれぞれに参戦し、両国はその対立を植民地戦争として、北米、インドでの戦いに発展させたのです。

結果的に、両地域での戦争では、イギリスが勝利し、世界最大の植民地を手にすることになります。とくにインドにおける勝利は、産業革命で大きな生産力を手に入れていたイギリスにとって、インドの綿花栽培はその原材料の供給基地となり、最終製品の販売地となりました。また、当時イギリスをはじめとしたヨーロッパでは紅茶のブームが起こっており、紅茶の需要急増に対する供給基地としてインドは大きな富をイギリスにもたらしたのです。その結果、世界有数の大英帝国が確立し、形成されることになりました

一方、プラッシーの戦いに負けたフランスは、インドからの撤退を余儀なくされ、インドシナ半島の植民地経営と、新たにアフリカの植民地化に入っていかざるを得なくなります。

背水の陣だったイギリス

もともと、イギリスはインドとともにマレー半島から現在のインドネシアの島嶼地方にも進出を狙っていました。その結果、17世紀(1623年)に現在のインドネシア南東部の島で、イギリスはすでにこの地域で植民地化に着手していたオランダと戦いを始めたのです。

すなわち、このアンボイナの戦いでイギリスはオランダに敗れ、イギリスの東インド会社はインドを中心とした地域の植民地化に力を入れざるを得なくなっていました。そのため、フランスの進出に対しては負けられない戦いになったのです。まさに背水の陣だったんですね。

プラッシーの戦いに至る経過

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プラッシーの戦い以前のイギリスとフランスのインドへの進出と、ムガール帝国の関係をまず見ていきます。

17世紀半ばからイギリス、17世紀末からフランスもインドへの進出を東インド会社を作って進め始めました。イギリスは、アンボイナの戦いに敗れて、アジアにおける植民地の足掛かりはインドのみになっていたのです。国内における産業革命による生産力の急拡大のために、大きな購買力と綿花などの原材料を確保できる植民地が不可欠になっていました。それを解決できるのがインドの植民地化だったのです。

イギリスの東インド会社総督は、インド西部のボンベイ、マドラスに商館を作って要塞化してムガール帝国をはじめ、インド高原の各王国を侵略し、支配地を拡大していきました。さらに東部の商業の中心地カルカッタにも商館を設置して橋頭堡の拠点としてウィリアム要塞を築いていたのです。

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