ギリシャヨーロッパの歴史

ギリシャ神話の愛すべき神々~オリュンポス12神を一挙紹介!

ギリシャ神話には、お茶目でユニークな神様がたくさん登場します。悪戯も失敗もするし浮気も嫉妬もする、ちょっと人間臭くてどこか憎めないギリシャ神話の神様たち。特にオリュンポスの山に住まうとされる「オリュンポス12神」は、天体の名前やゲームのキャラクターになるなど現代社会でも広く知れ渡っています。今回はそんな愛すべきオリュンポスの神々を一挙にご紹介いたします。

オリュンポスの山に住まうギリシャ神話の12神とは?

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オリュンポス12神とは、主神ゼウスを中心とした男女6柱ずつの神々のこと。伝承によってメンバーが異なる可能性もありますが、通常は以下の12神の名が挙げられます。どの神様もユニークで魅力的です。ゼウスを筆頭に天真爛漫・自由奔放・不羈自由な神々たち。この記事では、12神に関連のある神様も加え、全部で14の神様について解説します。

#1 オリュンポスの主神にして超浮気性の神様・ゼウス

ギリシャ語:ゼウス(Zeus)/ 英語:ジュピター(Jupiter)/ ラテン語:ユピテル(Jupiter)

ゼウスは、全知全能の神・万能の神としてオリュンポスの頂点に君臨する最高神です。父クロノス、母レアの間に生まれた末っ子で、ハデスとポセイドンとは兄弟の関係にあります。父クロノスを蹴落とし、神々を束ねて巨人族ギガースとの戦いに勝利し、最終的に二人の兄を差し置いて王座に就いた神々の王。ゼウスが全宇宙を支配するようになってから、山も海も荒れることはなくなり、世界に平和が訪れます。

その力は強大で、雲や雷など天候を支配し、全宇宙を焼き尽くすことができるのです。

しかしこの絶対神、とんでもない浮気者で、あちらこちらで奥さんの目を盗んで火遊びをしてはひと騒動。とにかく精力絶倫で、よそに子供がたくさんいます。

そんなゼウスにちなんだものといえば「オリンピック」でしょう。古代オリンピックはゼウスに捧げるために始まったお祭りでした。また、ギリシャのアテネには、ゼウスのための巨大な神殿跡が今も残っており、その強大な権力の一端を垣間見ることができます。

#2 結婚と母性を司る女神だが夫は超浮気性・ヘラ

ギリシャ語:ヘラ(Hera) / 英語:ジュノー(Juno)/ ラテン語:ユノ(Juno)

大神ゼウスの正妻にして神々の女王。クロノスとレアの娘であり、ゼウスの姉にあたりますが、自分の子供たちに王位を奪われることを恐れたクロノスに、生まれてすぐに飲み込まれてしまっていました。唯一、飲み込まれずにいたゼウスによって後々助け出され、後に結婚します。

ゼウスにはメディス、テミスという正妻がいて、ヘラは3番目の正妻です。

結婚・家庭・母性・貞節・出産を司る守護神であり、強く美しく愛情深い女神であるヘラ。しかしギリシャ神話の中では、ゼウスの浮気に手を焼き悩まされる嫉妬深き鬼嫁として描かれることが多いです。ゼウスがちょっかいを出した愛人やその子供たちに容赦なく制裁を下します。

ゼウスとも始終口論や喧嘩を繰り返していましたが、それだけゼウスのことを思っていたということなのかもしれません。

#3 荒ぶる海の神はゼウスの兄にしてオリュンポスNo.2・ポセイドン

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ギリシャ語:ポセイドン(Poseidon)/ 英語:ネプチューン(Neptune)/ ラテン語:ネプトゥヌス(Neptunus)

オリュンポスで最も恐れられている神様といってもよいかもしれません。海の神様として知られていますが、怒ると大地を揺るがし大地震を起こすと言われており、豪快で気分屋、好戦的な一方で愛情深く面倒見のよい一面も持っている、庶民に大変人気の高い神様です。

クロノスとレアの子であり、ゼウスの兄にあたります。ヘラと同じく父クロノスに飲み込まれていたところをゼウスに救われました。クロノスを追いやった後、ゼウスとポセイドン、そして長兄のハデスでくじ引きをして世界を分け合い、ポセイドンは海を任されることになったのだそうです。

ポセイドンのトレードマークといえば「トリアイナ(トライデント)」という名前の三つ又の矛(ほこ)で、これで戦いの武器として嵐や津波を起こしたり、山を切り開いて道を作ったりしています。意外にも手先が器用だったようです。

#4 文武両道!正義と知恵・戦いの女神・アテナ

ギリシャ語:アテナ(Athena)/ 英語:ミネルバ(Minerva)/ ラテン語:ミネルウァ(Minerva)

アテナは、ギリシャの首都アテネの古い呼び方「アテーナイ」の起源と言われており、古代城塞都市の守護女神として崇拝される気高く美しい女神です。

ゼウスとゼウスの最初の妻メティスの間に生まれた娘。正確には、ゼウスの額から生まれたとされています。

因果応報とでも言いましょうか、自分の子供に王位を奪われるかもと恐れたゼウスは、身ごもったメティスごと飲み込んでしまうのです。アテナはゼウスの身体の中で成長し、甲冑姿で額から飛び出してきたといいます。

ある時、ポセイドンとアテーナイの都市の主権を巡って争いが起きました。最終的に、アテーナイの人々に選ばれたほうが勝者ということになり、ポセイドンは泉を、アテナはオリーブの木を創り出します。アテーナイの人々はアテナを選択。ギリシャのアクロポリスの丘に建つ世界遺産・パルテノン神殿は女神アテナを祀った神殿です。

#5 麦の栽培を人々に伝えた豊穣の女神デメテル

ギリシャ語:デメテル(Demeter)/ 英語:セレス(Ceres)/ ラテン語:ケレス(Ceres)

農耕と豊穣の神であり、人間に穀物の栽培を伝えたとされています。大地に豊かな実りを与える女神。ヘラと同じくクロノスとレアの娘であり、ゼウスの姉でもあり、そしてゼウスとの間にペルセポネ(コレー)という娘がいます。

あるときこのペルセポネをゼウスの兄で冥界の王ハデスが誘拐。怒り狂ったデメテルが姿を隠してしまい、作物が何も採れなくなってしまったのです。ゼウスの計らいでペルセポネは母のもとに戻りましたが、戻る前に冥界でざくろの実を少しだけ食べてしまっていました。冥界の食べ物を食べた者は冥界で暮らさなければなりません。

結局、ペルセポネは1年のうち3ヶ月ほど、ハデスのもとで暮らすことになります。その間、デメテルは悲しみに暮れて隠れてしまい、大地は不毛に。これが四季の始まりだとされています。

#6 超美形!詩歌や音楽に精通した羊飼いの守護神・アポロン

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ギリシャ語:アポロン(Apollon)/ 英語:アポロ(Apollo)/ ラテン語:アポロ(Apollo)

アポロンは羊飼いの守護神・予言の神・光明の神と称えられ、後に太陽神と呼ばれるようになった凛々しく美しい男神です。手には竪琴を持ち、音楽や詩歌を奏でる芸術の神としても知られています。

大神ゼウスとレトという女神の間に生まれた子供で、アルテミスとは双子のきょうだい。母レトはゼウスの寵愛を受けたがためにヘラの嫉妬の対象となり、デロス島まで逃げてアポロンとアルテミスを出産しました。

古代ギリシアにあった都市国家デルフォイ(デルポイ)には、アポロンを祀った神殿があり、ここはかつて、アポロンの言葉を聞くことができる神託の場でありました。時の権力者たちもこぞってこの場所を訪れたと伝わっており、1987年に世界遺産に登録されています。

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