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【5分で解説】ピタゴラスの功績は?どんな人物?「万物は数なり」をわかりやすく解説!

ピタゴラスとは、古代ギリシア時代の数学者。「ピタゴラスの定理」を説いた人としても知られています。NHK Eテレの番組「ピタゴラスイッチ」のタイトルでも知られるほど、誰もが知る著名人ですが、ピタゴラス本人はかなりの秘密主義だったとか。著作や記録などがほとんど残っていないというミステリアスな一面もあるのです。一体どんな人物だったのか?謎のベールに包まれたピタゴラスの生涯と功績、追いかけてみましょう。

ピタゴラスとは?謎の集団を組織する謎の人物

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ピタゴラス(ピュタゴラスと表記されることも)はギリシャ東方、エーゲ海の東側に浮かぶサモスという島出身の学者です。生涯において数学・数論を探求し続けたピタゴラス。単なる数学にとらわれず、自然界にあるものすべてが数によって表現できると説き、古代ギリシャの自然哲学者としても名を残しています。まずはどんな人物だったのか、ピタゴラスの生涯を辿ってみましょう。

ピタゴラスとは?生誕地・生い立ちについて

ピタゴラスは紀元前582年、ギリシアのイオニア地方、トルコの間のエーゲ海東部に浮かぶサモス島という島で生まれました。

同じく古代ギリシャの著名な哲学者タレス(紀元前624年頃~紀元前546年後)も、エーゲ海東部出身。また、サモス島は哲学者エピクロス(紀元前341年~紀元前270年)の出身地としても知られています。

ピタゴラスは若いころから「数」というものに大変興味を持っていたのだそうです。彼はさらなる知識を求め、20年以上もの間、オリエント地方各地を旅して巡りました。

幾何学や算術、天文学など、ありとあらゆる知識を身につけて帰郷したピタゴラスは、その知識を活かすべくイタリアへ移住。南部の都市・クロトンに居を構え、「ピタゴラス教団」と呼ばれる組織を形成します。

ピタゴラスは非常に雄弁であり、その豊富な知識は多くの人々を魅了。大柄で強靭な体躯で、カリスマ性を備えていた彼の支持者はゆうに600人を超えていたといわれています。

<ピタゴラスのプロフィール>
生誕地:古代ギリシャ サモス島
誕 生:紀元前582年
没 年:紀元前496年(享年86歳)
主な功績:古代ギリシャの数学者・哲学者。ピタゴラスの定理(三平方の定理)など。

ピタゴラスが活躍した古代ギリシャ時代とは

ピタゴラス(紀元前582年~紀元前496年)が活躍した紀元前6世紀のギリシャは、長い低迷時期(ギリシャ暗黒時代)を経て、国全体に活気が戻り始めていました。あちこちにポリスと呼ばれる都市国家が誕生し、政治や経済の仕組みが確立しつつある変換期であったと考えられています。

人々の暮らしの基本はポリスという小さな集団であり、広い領地を治める皇帝や王朝は不在の時代。ポリス同士の争いはありましたが、それぞれのポリスで独自の政治や経済体制が確立されつつある時期でもありました。

さらに、東方のオリエントの国々から、美術や建築、宗教、陶器の製造技術などが伝わります。古代ギリシアの文化や芸術、哲学が開花。ピタゴラスはそんな時代に、ギリシアの東方、オリエント地方にほど近い場所に位置するサモス島という島で生まれ育ちました。

秘密結社「ピタゴラス教団」とピタゴラスの最期

ピタゴラスが形成した「ピタゴラス教団」とはどんな組織だったのでしょうか。

知識を求めて多くの入団希望者がひっきりなしに訪れるという、人気の教団だったそうですが、ピタゴラスは徹底的な秘密主義を貫いており、その全貌は秘密のベールに包まれていたのだそうです。

教団メンバーはピタゴラスの教えを守り、日々様々な研究を行いながら、厳格な生活を送っていました。

例えばピタゴラスは豆が嫌いで、教団メンバーにも「豆を食べてはならない」と強制していた、という話が伝わっています。

余談になりますが、ピタゴラスは輪廻転生を信じており、食事も菜食主義。ベジタリアンの元祖はピタゴラスなのだそうです。

さて、教団の繁栄とともに、多くの数学的発見を重ねていくピタゴラス。

そんなある日のこと。政治的な闘争が激しくなってきたクロトンの町で暴動が勃発します。

政治的にも大きな影響力を持っていたピタゴラス教団も襲撃にあい、ピタゴラスも暴動に巻き込まれて命を落としてしまうのです。

何を発見した人なの?ピタゴラスの主な功績を4つ紹介!

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ピタゴラスという名前はよく、数学や幾何学を楽しく学ぶ知育学習分野などに用いられます。しかし実際のピタゴラスは徹底的な秘密主義。記録を残すことを嫌い、著作や記録、肖像などもすべて、弟子たちが残したものや、後の世においてイメージで造られたものなのだそうです。それでも多くの人々をひきつけたピタゴラスは、どんな思想を持ち、どんな功績を残したのでしょうか。難しくて奥が深い「ピタゴラスの世界」、覗いてみましょう。

[1]数学の授業で一度は勉強する「ピタゴラスの定理」

ピタゴラスの定理は別名「三平方の定理」とも呼ばれ「直角三角形の斜辺の2乗は他の2辺の2乗の和と等しい」という、3辺の関係性を示したものです。

一番シンプルな例を示すと、直角三角形の3辺がそれぞれ3cm、4cm、5cmだった場合、3×3と4×4を足した答えは9+16=25、5×5=25と一致します。このことは、ピタゴラスより以前に既に気づいていた人たちがいましたが、数式で証明するには至っていませんでした。

この定理によって、直角三角形の2辺の長さがわかれば、残りの1辺の長さもわかることになります。さらに、長方形や正方形、立方体などの対角線の長さも計算で求めることが可能。このことはピタゴラス以前に既に解明されていましたが、きちんと公式にしたのはピタゴラスが初めてでした。

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