いつ頃から始まった?南蛮貿易の始まりと歩み
「野蛮」「蛮族」などという単語にも使われるように、「蛮」という字には「荒々しく乱暴な」とか「粗雑な」とか、「裸同然の恰好をして狩りなどをして生活している文明のかけらも持たない民族」とかいう意味があり、あまりいいイメージはありません。ただ、16世紀頃の日本では、初めて見る西洋人の容姿や服装、持ち物、言葉遣いなどを大変珍しく思い、「日本にはいない珍しい人々」という意味で「南蛮」という言葉を使っていたようです。時は大航海時代、突然やってきた異国民たちとどのようにして貿易を始めたのでしょうか。「南蛮貿易」の始まりと歴史、じっくり見ていきましょう。
大航海時代の幕開けとポルトガルの台頭
地球は広いです。
15世紀頃まで、人々の旅の手段は基本的に「徒歩」や「馬」。重い荷物などは川や海を利用して船で運んでいましたが、海を渡るにしても、まだそれほど大きな船もなく、岸が見える程度の位置を移動する航海がほとんどでした。
ヨーロッパでも、地中海を行き来する貿易がメイン。ギリシア半島やイタリア半島沿岸の都市が、ヨーロッパ貿易の中心となっていました。
しかし15世紀末にポルトガルの船がアフリカ経由でインドへ向かう航路を開拓すると、状況は一変します。ヨーロッパでは手に入らない珍しい品々を求め、ポルトガルやスペイン、オランダといった「大西洋に近い国々」が大海原へと漕ぎ出していったのです。
当時のポルトガルは、スペインとの対立関係などから財政難に陥っていました。何とかして、他国に干渉されずにインドとの貿易を行いたい。でも今までのやり方でインドに行こうとすると、地中海を通ってメソポタミア地域を陸路で移動しなければなりません。ポルトガル王肝いりで始まった「インド航路開拓」。ミッションは大成功となり、見事、ポルトガルは大航海時代の中心的存在となっていったのです。
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種子島・マカオ~南蛮貿易の始まり
アフリカ・喜望岬経由のインド航路を開拓したポルトガル。インドに拠点を設け、さらに東、東南アジアや中国(明王朝)との貿易を模索します。ポルトガルは中国南部、マカオなどにも拠点を持ち、頻繁に交易を行っていました。
そして1543年、ポルトガル人たちを乗せた中国商人の船が種子島に漂着。ポルトガル人たちは日本との貿易に興味を持つようになります。
種子島の島主はポルトガル人が持っていた火縄銃に興味を示し、家臣たちに使い方などを学ぶよう指示。これを機にポルトガル人たちは頻繁に九州へやってくるようになります。
これと並行して日本にやってきたのが、キリスト教宣教師たちです。1549年にポルトガル宣教師フランシスコ・ザビエルが坊津(ぼうのつ:現在の鹿児島県南さつま市)に上陸。日本での布教活動を開始しています。
火縄銃とキリスト教布教を皮切りに始まった南蛮貿易。日本も、鹿児島港、長崎港、平戸港、横瀬浦(現在の長崎県西海市)などを次々と開港していきます。
ポルトガルに遅れること30年余り。1580年代に入ってようやく、スペインがアメリカ大陸~太平洋経由で日本にやってきます。
スペインはアメリカ大陸発見ではポルトガルを出し抜きましたが、アジア地域の開拓ではポルトガルに大きく遅れていました。スペインもさっそく平戸に商館を設け、日本との貿易を開始します。
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織田信長と南蛮貿易の関係とは
南蛮貿易が始まった頃の日本は戦国時代(安土桃山時代)真っただ中。この頃はまだ、織田信長も豊臣秀吉も徳川家康も10歳にも満たない少年で、彼らの父親や祖父の世代の武将たちが争い合っていました。
桶狭間の戦いで織田信長が今川義元を打ち破ったのが1560年。信長が安土城の築城を始めたのが1576年と言われていますので、織田信長が権勢を振るいはじめた頃には、南蛮貿易はすっかり浸透していたものと思われます。
織田信長は周知のとおり、新しいもの、庶民に受け入れられそうなものなど、流行に非常に敏感でした。異国にも興味を示しており、特に西洋の科学技術を取り入れる目的で南蛮貿易を推奨していたようです。
そのため、信長のもとには多くのキリスト教宣教師が出入りしており、珍しい品々を献上して信長と友好的な関係を築いていました。
信長には「弥助」という名前の側近がいたことは知られています。弥助は信長のもとをたびたび訪れていたキリスト教宣教師の使用人だったアフリカ出身の黒人でした。多くの日本人が体の大きい異国人を恐れていた時代に、信長はむしろ黒人の使用人を気に入り、宣教師から譲り受け、弥助という名前を付けて側に置いていたのだそうです。
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