日本の歴史飛鳥時代

日本に初めて伝わった3つのお経のひとつ「法華経」どんな教えかわかりやすく解説

伝教大師・最澄と天台宗

最澄は伝教大師ともいわれて親しまれています。生まれは神護景雲元年(767)8月18日、近江国滋賀郡(現・滋賀県大津市坂本)ですが、766年生まれという説もありますね。12歳の時に近江の国分寺に入って14歳で得度をし、奈良で勉学と修行をし、東大寺で受戒をした後に比叡山に入りました。

延暦7年(788)に最澄は比叡山で灯明を捧げて「この法華経の教えを表すこの光を、末法の後に出現する仏(弥勒如来)がお出ましになるまで消えることなく、すべての世の中を照らすように」と祈ります。この灯明が今でも燃え続けているのですね。

奈良で勉強をしていた時に「鑑真和上」が日本に持ってきたという、中国の「天台大師・智顗」が全経典を調べて「法華経が一番尊く全人類を救うお経」だとまとめた「法華三部経」を読んでいて、どうしても深く勉強をしたくなり「遣唐使」に同乗して、智顗の開いた天台山へ行くことにします。5隻の遣唐使の船で無事に中国に着けたのは2隻だけだったそうですね。そのもうひとつの船に「弘法大師・空海」が乗っていたのですよ。

天台山から比叡山に戻った最澄は、法華経を基盤とした「天台法華宗」を朝廷に申請して承認を得ました。これが「天台宗」のはじまりですよ。その後に法華経を基盤とした総合仏教の場を目指して、禅・念仏・密教もとりいれていったことから、後に比叡山で修行して法華経を継承する日蓮宗・浄土宗・浄土真宗・曹洞宗・臨済宗などの宗祖がうまれてきたのでした。

〇良忍(融通念仏宗開祖)
 天台宗僧侶。称名念仏を主張した浄土系宗派の先駆者。
 華厳経と法華経を主体として、浄土三部経は傍系。

〇法然(浄土宗開祖)
 天台宗僧侶。法華経を学んだ後に持戒・難行を排除。
 南無阿弥陀仏と念仏を称えることで、極楽浄土へ往生できると教えを説く。

〇親鸞(浄土真宗開祖)
 天台宗僧侶。法然の弟子。
 阿弥陀仏の本願を聞くことで現世で極楽往生が決定して亡くなると浄土へ往生すると説く。

〇栄西(臨済宗開祖)
 天台宗僧侶。中国の天台山で法華経。そして臨済宗黄龍派を学ぶ。
 源頼家の外護で、禅・天台・真言の三宗兼学の建仁寺を建立。以後は禅を主流とする。
 臨済宗は色々な禅宗の総称のために開祖ではないという話もある。

〇道元(曹洞宗開祖)
 天台宗僧侶。坐禅をすることによって悟りを開く(その姿が仏)と説く。
 理論の裏付けは法華経。臨終の時に法華経の神力品を唱えたという。

 

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紫蘭