ヨーロッパの歴史

第二次世界大戦の行方を決めた「ノルマンディー上陸作戦」の背景、経緯、その後を元予備校講師がわかりやすく解説

1944年6月6日、英米軍を主力とする連合軍は北西ヨーロッパに上陸し、ドイツ軍からパリを開放する作戦を開始しました。連合軍の上陸地点からノルマンディー上陸作戦とよばれます。連合軍の上陸を許したドイツ軍は当方から迫るソ連軍との間で挟み撃ちにされました。ノルマンディー上陸作戦の成功が、ヨーロッパ戦線での帰趨を決したといってよいでしょう。今回は、ノルマンディー上陸作戦の背景、経緯、その後などについて、元予備校講師が分かりやすく解説します。

ノルマンディー上陸作戦の背景

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1939年、ドイツのポーランド侵攻により第二次世界大戦がはじまります。1940年、ドイツの電撃戦の前にフランスが敗退しました。フランス降伏後、ドイツは矛先をソ連に向け、独ソ戦が始まります。1941年12月、真珠湾で日本軍の奇襲を受けたアメリカは連合国の一員として第二次世界大戦に参戦しました。アメリカ参戦後、戦局は連合国有利に傾き、1943年にはドイツの同盟国であるイタリアが降伏してしまいます。

フランスの敗北とダンケルクの奇跡

1940年5月10日、開戦以来、無風状態だった西部戦線で大きな動きがありました。ドイツ軍がベルギー、オランダ、ルクセンブルクを制圧しフランスに迫ります。フランスはマジノ線を頼りにドイツ軍を防ごうと考えました

ところが、ドイツ軍はフランス軍の裏をかき、アルデンヌの森からマジノ線の背後に出ます。背後を突かれた連合軍は大西洋沿岸に向かって潰走しました。

ドイツ軍の電撃戦の前に寸断され、各所でドイツ軍に撃破された連合軍は大西洋沿岸のダンケルクからイギリスへ撤退しようとします。チャーチルはイギリス中の船に呼び掛けて、連合軍を船に乗せてイギリスへと撤退させました。この作戦により、数十万もの兵士がイギリスに生還します。

しかし、多くの武装を放棄し、3万もの兵を捕虜にされたイギリスの打撃は大きなものでした。フランス軍はダンケルクの戦い後、戦意を喪失。1940年6月22日、フランスはドイツに降伏しました。

独ソ戦の開始

第二次世界大戦が開戦した時、ドイツとソ連は独ソ不可侵条約を結んでいました。フランス降伏後、ドイツ軍はひそかに東部国境に戦力を集中させます。1941年6月、ヒトラーはバルバロッサ作戦を発動させ、ソ連に攻め込みました。独ソ戦の始まりです。

ドイツ軍は準備が整っていなかったソ連軍を各所で撃破。主要都市であるレニングラードやモスクワ、スターリングラードへと迫りました。

ドイツ軍に包囲されたレニングラードは900日にわたって持ちこたえます。スターリンは首都モスクワやレニングラード、スターリングラードの防衛戦を死守することを決定。ソ連軍の決死の反撃により、ドイツ軍の進撃が止まります。

1941年、冬将軍の訪れとともにドイツ軍の進撃が鈍化しました。ソ連はイギリスやアメリカと手を結び、物資の支援を受け、反撃の機会を待ちます。

真珠湾攻撃によるアメリカの参戦

1941年12月8日、日本海軍の機動部隊はハワイの真珠湾に停泊していたアメリカ太平洋艦隊を奇襲攻撃しました。これにより、太平洋戦争が始まります。

奇襲攻撃を受けたアメリカのローズヴェルト大統領は、真珠湾攻撃を日本のだまし討ちであると非難し、国民に対し戦争への支持を訴えました。アメリカ国民はローズヴェルトの主張を支持。アメリカは連合国の一員として本格的に第二次世界大戦に参戦します。

アメリカは太平洋で日本と戦う一方、豊富な物資を連合国に供給しました。ソ連や中国はアメリカからの支援物資を戦争に役立てます。

真珠湾攻撃以後、太平洋では日本軍の優勢が続きました。しかし、1942年のミッドウェー海戦の敗北により太平洋での形勢は逆転。アメリカ軍が日本軍を圧倒するようになりました。

連合国の反撃とドイツの劣勢

1942年の後半になると、ヨーロッパでは連合軍の反撃が目立つようになります。アメリカが参戦し、物量に勝る連合軍はヨーロッパで大規模な空襲を実施するようになりました。さらに、1942年の11月には北アフリカで連合軍は反撃を強めます。

1943年7月、ドイツ軍はスターリングラードの戦いで敗北。ソ連軍の本格的反攻が始まります。ドイツ軍をはじめとする枢軸国は各地で劣勢に立たされ、徐々に追い詰められていきました。

同じころ、連合軍はイタリア領のシチリア島に上陸します。これにより、イタリア国内ではムッソリーニ政権が倒されました。後継内閣を組織したバドリオは連合国に対し降伏します。イタリア降伏を知ったドイツ軍はイタリア半島に進駐。連合軍と激しい戦いを繰り広げます。

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