3-2.一揆衆の壊滅
そして1575年、長篠の合戦で武田軍を打ち破ったばかりの織田軍は、満を持して越前へ侵攻を開始します。出陣したのは、主将の信長をはじめ、佐久間信盛、柴田勝家、明智光秀、滝川一益、羽柴秀吉といったオールスターキャスト。陸と海から大軍が一揆勢に襲い掛かったのです。
織田軍は破竹の進撃で敦賀~府中~大野と進み、各地で一揆勢は撃破され総崩れとなりました。織田軍は敵対する者以外にも、疑わしい人間を片っ端から殺戮し、「山々に逃げ上った者は男女かまわず切り捨てよ」との信長の命令を忠実に実行します。信長が述懐したといわれる言葉を引用しますね。
「府中町ハ死がい計(ばかり)にて一円あき所なく候」
(府中の町は、死体ばかりで空き場所がないくらいだ)
引用元 泉文書より
こうして一向一揆が壊滅した後、越前には織田の部将柴田勝家が入り、一向宗は一掃されてしまうのです。
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小丸城跡に残された「呪いの瓦」
この時の殺戮に遭った人物の恨みの言葉が、小丸城の瓦に彫られ残されています。
「此書物後世ニ御らんじら。御物がたり可有候、然者五月廿四日いきおこり候まま、前田又左衛門尉殿いき千人はかりいけどりさせられ候、御せいばいハ、はツつけ、かまニいられ、あふられ候哉、如此候、一ふて書とめ候」
(後世、この文字を見る人があれば伝えておきたい。5月24日、前田利家によって千人ほどの一揆衆が生け捕られ、ハリツケや釜茹で、火あぶりなどによって殺されてしまった。ここに書き留めておく)
引用元 呪いの文字瓦(原文)より
4.徹底した宗教勢力の弾圧【比叡山焼き討ち】
浅井氏・朝倉氏と敵対していた織田信長は、近江を戦場に激しい戦いを繰り広げていました。現在の大津市にある比叡山延暦寺も巻き込まれ、凄惨な焼き討ちの舞台となるのです。
4-1.信長の標的となった延暦寺
上洛を果たしたものの、信長は四周に敵を抱えていました。三好氏、武田氏、一向一揆、そして浅井・朝倉氏です。姉川の合戦で辛うじて勝利を収めるものの、浅井・朝倉連合軍の反撃で窮地に立たされていたのでした。
ここで浅井・朝倉氏に味方したのが、京都を鎮護する歴史を持つ比叡山延暦寺でした。信長としては自分に味方しない以上は延暦寺であろうとも敵であり、滅ぼすべき相手だったのです。
信長にとって座主(寺のあるじ)が正親町天皇の弟であろうが関係ありません。1571年9月、山の周囲を3万の兵で取り囲みました。
4-2.高僧、学僧、子供らを躊躇なく虐殺
自分の家臣や周辺の寺社から、焼き討ちを思いとどまるよう説得された信長ですが、その決意は固く、早朝になって一斉に攻撃が仕掛けられました。
麓にある坂本や堅田の町を焼き払うのを合図に、山へ向かって放火しながら軍を進めます。中には屈強な僧兵らが立ち向かってきますが、難なく抵抗を排除して突き進み、比叡山の中心でもある根本中堂を目指したのでした。
あちこちの僧房から火の手が上がり、多くの僧たちが逃げ惑います。それらをいちいち切り捨て、首を刎ね、家中へ投じていくのです。名のある高僧であろうが学僧であろうが、幼い子供であろうが容赦なく虐殺していったのでした。
焼き討ちが終わる頃には寺は廃墟と化し、動く者すらなかったそうです。
延暦寺座主の覚恕法親王は、たまたま所用で山を離れていましたが、追及を逃れて遠く甲斐まで逃げてしまったといいます。
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5.ウイルスのクラスターが発生した籠城戦【七尾城の戦い】
信長と敵対していた石山本願寺の要請を受けて、上杉謙信が北陸へ勢力を伸ばすべく出陣してきました。その中で起こった1577年の「七尾城の戦い」は、戦国の世には珍しいウイルスのクラスターによって落城したものだったのです。
5-1.能登を安定させるべく出陣した上杉謙信
信長の攻撃を受けて苦戦していた石山本願寺の顕如上人は、越後の上杉謙信に支援を求めました。義に厚い謙信は、信長の残虐性や非道ぶりを見るにつけ、ついに織田方と断交。軍を北陸方面へ進めてきたのです。
いっぽうその途上にあった能登の七尾城では、国主の畠山氏が力を失くし、重臣たちが国政を牛耳っていました。また家臣同士の争いも絶えず、国中が混乱の最中にあったのです。
そこで謙信は、能登の人心を安定させるために七尾城を討つ決心をしました。保護していた国主畠山氏の遺児を後継に据えるためです。
1576年、上杉との対決姿勢を顕わにした長続連、遊佐続光らは七尾城へ籠城の構えを見せます。七尾城は天下の堅城を謳われ、謙信ですら容易に手出しはできません。そこで七尾城の周辺にある城を片っ端から落としたのです。
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