奈良時代日本の歴史

名刹にして仏教の母とも言える「比叡山延暦寺」を元予備校講師がわかりやすく解説

比叡山の3つのエリア

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比叡山延暦寺は3つのエリアに分かれています。延暦寺という一つの寺があるというよりは、比叡山の山頂から少し下ったあたりに多くの建物が集まっていて、その集合体を延暦寺と読んでいるというのが実態に近いでしょうね。延暦寺の3つのエリア、東塔(とうどう)、西塔(さいとう)、横川(よかわ)のそれぞれについて解説します。

東塔エリア

東塔エリアは比叡山延暦寺発祥の地です。最澄が一乗止観院を建て、現在は根本中堂が置かれているのもこのエリア。根本中堂には最澄が自ら彫ったとされる薬師如来や最澄以来、1200年消えることなく輝き続ける「不滅の法灯」があります。

根本中堂は信長による焼打ち以外にも何度となく焼け落ち、その都度再建されてきました。現在の根本中堂は天海の進言により江戸幕府3代将軍徳川家光が再建させたもので、国宝に指定されています。最澄が朝廷に承認してもらった大乗戒壇もこのエリアにありました。

江戸時代の建物としては重要文化財である文殊楼や大講堂があります。もともとあった大講堂は1964年に放火によって焼失したため、ふもとの坂本にあった建物を東塔エリアに移築しました。

大講堂には日蓮、道元、栄西、円珍、法然、親鸞、良忍、真盛、一遍らの像が安置されています。これらの像は各宗派の寺院から延暦寺に寄進されたものですね。

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