イタリアヨーロッパの歴史

イタリアの歴史って?紀元前から第二次世界大戦までの流れを元予備校講師がわかりやすく解説

イタリアといえば、何を思い浮かべるでしょうか。パスタやピザに代表されるおいしい食事もさることながら、やはり何と言っても古代ローマ帝国でしょう。次に思い浮かべるのは天才たちが活躍したルネサンスでしょうか。しかし、イタリアの通史となると思い浮かべるのは難しいかもしれません。そこで、今回はイタリアの歴史を古代、中世、近代に分けて、元予備校講師が分かりやすく解説します。

古代のイタリア

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イタリア観光といえば、フォロ=ロマーノやコロッセオが定番です。現代にも残る古代ローマの建築物。これらを作り上げたローマ共和国・ローマ帝国とはいったいどのような国だったのでしょうか。古代のイタリアについて、共和制ローマ、帝政ローマ、ゲルマン人の侵入の3つの時期に分けて解説します。

共和政ローマ

ラテン人の一派であるローマ人が、テベレ川流域に都市を作ったのは紀元前8世紀ころと考えられています。このころ、イタリア半島の中北部にはエトルリア人の都市が、南部にはギリシア人の都市が作られていました。特に、ギリシア人の都市は繁栄を極め、マグナグレキア(大ギリシア)とすらよばれます。

紀元前509年、エトルリア人の支配から脱したローマ人たちは、エトルリア人やギリシア人の都市国家を次々と征服、紀元前272年にはイタリア半島を統一しました。

共和制ローマ最大のライバルとなったのがフェニキア人の都市国家カルタゴです。ローマはカルタゴと3度にわたってポエニ戦争を戦いました。第二回ポエニ戦争では、カルタゴの将軍ハンニバルによって何度も苦杯をなめさせられ、多数の市民が戦死します。

それでも、なんとかカルタゴに勝利したころには、共和制ローマは地中海ナンバー1の国家へと成長しました。

カエサルとアウグストゥス

共和制ローマの末期、中小農民の没落などにより社会に大きな変化が現れます。紀元前1世紀にはローマ共和国内部で幾度も内戦が繰り返される「内乱の1世紀」という時代を迎えました。この内乱を治め、共和国の統一を実現したのがカエサルです。

現在のフランスにあたるガリア遠征で名を挙げたカエサルは、旧来の仕組みにこだわる元老院派を撃破。新しい仕組みを作ろうと終身独裁官の地位につきました。ところが、これが元老院派の中の過激派を刺激。カエサルは暗殺されてしまいます。

カエサル死後、後継者の座をめぐってカエサルの養子であるオクタヴィアヌスとカエサル麾下の勇将アントニウスが争いました。アントニウスにはプトレマイオス朝エジプトの女王クレオパトラが加担します。

オクタヴィアヌスは紀元前31年、アクティウム海戦でアントニウス・クレオパトラ連合艦隊に勝利しました。共和国の統一を再現したオクタヴィアヌスはアウグストゥスとよばれます。

帝政ローマ

アウグストゥスは、自らは「第一市民(プリンケプス)」と称し、独裁者ではないといいつつも、軍の指揮権や重要属州の総督任命権を握り、他者を寄せ付けない力をもちました。アウグストゥスが行った元老院に配慮した帝政を元首政とよびました。

元首政が始まっておよそ100年後、5人の傑出した皇帝たちがローマ帝国の最盛期を築き上げます。この時代を五賢帝時代といいますね。ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス=ピウス、マルクス=アウレリウス=アントニヌスの5人の時代、ローマ帝国の領土は最大となりました。

3世紀、ローマ帝国は軍人たちが勝手に皇帝を擁立する軍人皇帝時代を迎えます。軍人皇帝時代の混乱を抑えたのがディオクレティアヌスでした。以後の皇帝は元老院などに配慮せず、完全に独裁政治を行ったので専制君主政といいます。専制君主制の時代、皇帝たちはイタリア半島以外を政治の中心としたため、イタリアの地位は相対的に低下しました。

ゲルマン人の侵入と西ローマ帝国の滅亡

3世紀から4世紀にかけて、ローマ帝国周辺に住んでいたゲルマン人たちが、ローマ社会に入り込みます。最初は傭兵コロヌスとよばれる小作人として流入しました。しかし、4世紀前半になると、部族単位で移住する動きが出始めます。

その背景には、アジアからやってきたフン人たちの存在がありました。ゲルマン人たちはフン人たちに押し出される格好でローマ帝国になだれ込みます。

ローマ帝国は395年のテオドシウス帝の死によって東西に分裂していました。コンスタンティノープルを首都とする東ローマ帝国はビザンツ帝国として生き残ります。

しかし、東ローマ帝国に比べ国力が弱い西ローマ帝国はゲルマン人たちの侵入により弱体化しました。476年、ゲルマン人の傭兵隊長であるオドアケルが最後の西ローマ皇帝を廃位したため、西ローマ帝国は滅亡します。

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