イギリスヨーロッパの歴史

17世紀の世界を変えた一大変革「産業革命」を詳しく解説!

世界の経済が大きく動き出したのは17世紀ごろだと言われています。そしてそのきっかけの一つとなったのが産業革命と呼ばれる一大変革でした。今回はそんな産業革命について詳しく解説していこうと思います。

【第一次産業革命】蒸気機関の登場で効率アップ!

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世界初の産業革命はイギリスによるものでした。イギリスはこれまでは農業国だったのですが、インドを支配下に置き始めてからは一気に軽工業が発展。そしてこの軽工業の分野での発明がこれから続く産業革命の走りへとなっていったのです。

まずはそんな第一次産業革命について見ていきたいと思います。

イギリスの植民地獲得

産業革命が起こった一つ目の理由は18世紀に入るとイギリスはインドと北アメリカを中心に沢山の植民地をもったことにありました。

インドでは東インド会社というインドの貿易と現地支配をおこなう国公認の企業が、インドの綿織物やお茶などを大量に輸出。

さらにルイ14世の頃になるとフレンチ=インディアン戦争という戦争とアン女王戦争の二つの戦争を経て北アメリカの植民地を独占。

カリブ海周辺の貿易によって莫大な富がイギリスに流れ込んでいき産業の発展に一番必要な資本が大量に蓄積されていったのです。

農業革命と人口増加

イギリスにかぎらずヨーロッパの土は寒冷でどうしても土地が痩せているので3年に1度は作物を休ませないと土地が衰えてしまいます。そこでヨーロッパの多くの地域では中世からずっと三圃制という畑を3つに分けてそれぞれ冬穀用の畑、夏穀用の畑、休閑地としこの役割を3年かけて順繰りにローテーションしていくシステムが主流でした。

ところが18世紀になり三圃制に代わりたノーフォーク農法が主流となると休閑地を設けなくてもよくなり農作物の生産量は自動的に上昇。

イギリスの人口はこの頃から急上昇していき、そしてこの急上昇していった人口の大半は工場の労働者へとなっていったのでした。

労働者が増えた理由は人口が増加したことが主な要因ですが、さらにこのノーフォーク農法が主流となってくると土地の持ち主はこれまで家族単位で複雑に分裂していた畑を統合。いわゆる囲い込みと呼ばれる運動が起こったことでイギリスの農村からは独立した農民がいなくなり地主かそれにやとわれている小作人のみとなり、これまで農地を経営していた農民は仕事を探すために労働者となり都市に流れ込んでいったのです。

この一連の流れは農業革命といわれ、そしてこの農業革命によって生まれた労働者を使い大規模な工場が成立していったのでした。

軽工業の発展

第一次産業革命の主な要因となったのが軽工業に関係するいろいろな機械が発明されたからでした。

産業革命が起こるきっかけとなったのは1733年。ジョン・ケイが織物をするときに横糸を入れる道具である杼を改良した飛び杼を発明。

この飛び杼はこれまでいちいち入れなければならないものだったのが、糸を引っ張るだけで横糸を入れることができ、生産効率は一気にアップ。これにより綿布生産の速度が向上しました。

しかし、この飛び杼の開発によって生産の量と糸の量の比率が全く合わなくなり、従来の紡績方法では綿糸生産能力が需要に追いつかなくなってしまいました。

そんな中、1764年に糸の生産を向上させるためにハーグリーブスがジェニー紡績機を発明。

これによってこれまでいちいち糸車から一本ずつしか取ることができなかったのが、16本の糸を同時につむぐことが可能となり、糸の生産の効率が一気に上昇。農村などの小さな規模の工場で大量に使用されこれが産業革命の始まりとなっていったのです。

手作業から自動に

1771年リチャード・アークライトが水力紡績機を開発。この水力紡績機は水力の力を使って綿を作る機械でこれによって人間の力によって作られてきた綿織物が水の力によって生産されるようになりました。また、この水力紡績機は水がない場所には立てられないので自動的に場所を選んでそこに工場を建てるシステムに転換。この水力紡績機の発明は手動から自動になっただけではなく本格的な工場による生産へとシフトチェンジとなります。1779年にはクロンプトンがミュール紡績機を開発。このミュール紡績機は多軸紡績機と水力紡績機の良いところをより合わせた機械で良質の綿糸を大量生産できるようになりました。

蒸気機関の改良と移動手段の発達

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第一次産業革命のもう一つの重要な点は蒸気機関によって移動手段が大きく変わったところでした。元々開発が進んでいた蒸気機関によってイギリスは大いに発展することになるのです。

蒸気機関の改良

元々蒸気機関が構想されたのは古代エジプトの時からでしたが、蒸気機関が実用的となったのがこの第一次産業革命の時代でした。

1712年、イギリスのニューコメンが炭鉱の排水用として蒸気機関を開発。この時点でもだいぶ進歩しましたが、さらに1769年にワットが蒸気機関の重要な部分であるピストンの上下運動用の歯車を変える改良を行うと蒸気機関は実用化。これまで組み上げ用にしか使われていなかった蒸気機関がワットの手によって水力に頼らずに工場を設立することが可能となりました。また、1785年にはカートライトによって蒸気機関が利用された機会である力織機を開発。この力織機は飛び杼の約4倍の効率アップの実現し産業革命に貢献しました。

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