第一次世界大戦後に行われた「ヴェルサイユ条約」とは?わかりやすく解説
ヴェルサイユ条約後のヨーロッパの動き
世界的にも、世界恐慌後にはブロック経済(自国の植民地間以外との高い関税障壁)がおこなわれ、列強国間での経済戦争が激しくなります。また、ヨーロッパでは、ドイツが賠償金が支払えなくなり、フランス、ベルギーがドイツの工業地帯の中心になっていたルール地方を占領しました。それをきっかけにドイツはハイパーインフレに見舞われ、アメリカの支援で窮地は逃れたものの、国内ではヨーロッパ諸国に対する不満からナチスの台頭を許すことになります。先進国間の経済戦争の間隙をついたヒトラーのヨーロッパでの進出につながっていったのです。
ヴェルサイユ条約の意味と結果
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したがって、ヴェルサイユ条約は第一次世界大戦の戦後処理としておこなわれたものの、それは列強国のエゴの場でしかなく、恒久的な世界秩序を築くものとはなりませんでした。
一度火がついた植民地の独立志向は、その後さらに燃え上がっていきます。そのため、第二次世界大戦後にはアフリカ、中東、南アジア、東南アジア、東アジアでは多くの植民地が独立することになりました。
ただし、第二次世界大戦後の植民地の独立においても欧米先進国の利権に対するエゴは残り、彼らの利権に沿った独立になっています。また、朝鮮半島、ドイツのように東西冷戦の影響を強く受けて民族が分断されたりするなどが生じました。その結果、民族単位での独立ではなかったため、現在でも民族戦争が絶えず、多くの難民が生じているのです。
ヴェルサイユ条約は大国の利権優先、同じ誤りを繰り返してはいけない
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ヴェルサイユ条約は人類史上初めての世界規模での戦争になり、その反省に立ったヴェルサイユ条約には大きな期待が集まりました。結果として、国際連盟なども設立されましたが、実際にはヨーロッパ大国のエゴが前面に出た結果になってしまいます。その是正をおこなおうとしたワシントン会議も同様でさらなる全面戦争である第二次世界大戦を招いてしまいました。大国のエゴは、現在の世界でも強まる傾向にあるだけに、再び大規模な戦争が起きるリスクも高まっています。私たち国民が、このような状況を許さない姿勢を持つ必要があるのではないでしょうか。