5分でわかる「資本主義」!現代社会を作り上げた資本主義の歴史をわかりやすく解説
- 資本主義とは何なのか_歴史的な変遷
- 歴史における資本主義の歴史的変遷
- 日本や韓国の初期資本主義の時代
- 資本主義の定義は変わっている
- 資本主義はどのようにして生まれたのか_ルネサンスの影響とその歴史
- 資本主義は自由主義や民主主義と絡んで成立した
- 初期の資本主義とその弊害
- 資本主義への不満をかわす自由主義
- 資本主義を発展させた自由主義_現代のレッセフェール民営化
- 貧富の差の拡大が始まった_新たな格差
- 資本主義と共産主義の戦いの歴史
- ソ連の共産主義革命と冷戦の始まり
- ソ連の崩壊は共産主義の敗北か
- どちらが勝ったとは言えない
- 共産国の資本主義の実験_鄧小平(とうしょうへい)
- 資本主義によって人類の失ったもの
- 資本主義は私たちを幸せにするのか_歴史を振り返って
- 資本主義は万能ではない
この記事の目次
資本主義とは何なのか_歴史的な変遷
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「資本主義」という言葉は、普段から比較的よく耳にしたり、学校の講義や書籍の中で出てきたりする機会が多い言葉です。しかし、いざ、この資本主義とは何なのかと問いますと、すぐに答えられる方は少ないと言えます。感覚的には、私たちの社会、国家は資本主義体制にあるとわかっていても、実態そのものはわからないのです。
百科事典で、「資本主義」という言葉、概念を調べてみると、『生産設備を所有した資本家が利益追求のために労働者などを使って行う経済活動』などと、よくわからない内容が出ています。多くの辞書でも似たような内容になっていますが、これは18世紀から言われている資本主義の定義です。実際には、時代が進むに従って、資本主義そのものの実態は変わってきており、現代社会に当てはめることは難しいと言えます。すでに資本家という言葉そのものが死語になっており、現代では、投資家と企業家(経営者)に別れているのです。
歴史における資本主義の歴史的変遷
かつて、18世紀の産業革命の時代には、確かにお金を持っている資本家が企業を起こして、多くの労働者を雇って儲けていました。それこそ、マルクスの資本論でいう資本家による経済活動だったのです。安い賃金で働かされる労働者は、労働環境に対して、また、賃金に対して大きな不満を持っていました。平等な格差のない社会を望んで、社会主義や共産主義も生まれたのです。
しかし、もうそれから200年が経過し、社会保険、労災保険など、労働者の保護のための精度や法律が整備されました。また、企業の経営は、資本家から企業家と言われる資本とは関係なく、経営を専門とする経営者に任せられるようになっており、資本家は投資家になっていったのです。確かに、例えば、松下幸之助氏、最近では楽天の三木谷浩史氏のように、創業者の場合には、自分が企業家兼経営者になっています。
それでも、株式は公開されており、世代を経れば、いずれ経営者と投資家に分散していくことになるのです。松下氏のナショナル電機(現在のパナソニック)を見ても、創業家の松下家は一部役員には残っているものの、経営そのものは代表取締役を中心に、取締役会が行っています。
日本や韓国の初期資本主義の時代
日本でも、産業革命が起こった明治時代中期から第二次世界大戦前までは、産業界を財閥が支配して、初期の資本主義と言えました。現在でも、韓国などは未だに財閥支配が強く、一族による経営が行われています。
資本主義の定義は変わっている
現代の資本主義は、株式公開(上場)によって無数の投資家によって資金が提供されて、企業そのものも、社会的に何をしてもよいというものではなくなっています。ガバナンス(企業統治)や社会貢献というものが重視されるようになっているのです。従って、現代では、資本主義は市場主義とも言われており、「自由競争の市場での資本活動(株式市場の整備)が行われること」と言うようになっています。
資本主義はどのようにして生まれたのか_ルネサンスの影響とその歴史
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資本主義は、18世紀にイギリスを発祥とする産業革命の中から生まれたと言われています。しかし、その背景を見てみると、ルネサンスに遡れるのです。ルネサンスより前は、それまでのキリスト教の協会や封建制荘園領主による絶対王政支配の中で、決められたことしかできない中世の社会観の中で農民などは生きていました。そこにルネサンスによって、結果として、自由に発想するということが生まれたのです。ルネサンスは、宗教革命を生み、市民革命という民主主義運動に繋がりました。そして、同時に産業革命も起こり、その中で資本主義も生まれたのです。
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資本主義は自由主義や民主主義と絡んで成立した
資本主義は、お金や土地を持った資本家が、自由な生産活動を行って、お金(利益)を儲けることに他なりません。すなわち、市民革命が個人の自由を求めたのと同じように、資本家たちも活動の自由を求めたのです。その活動が戦争を引き起こしたとしても、企業の生産活動は自由にできることを求めました。これをレッセフェールと言います。
そのために、市民革命と産業革命両面で、近代社会では、自由主義ということが何者にも代えがたいものになっていったのです。しかし、政治的に言えば、一般市民の求める自由を資本家にも与えることは、政治や政府そのものが資本に牛耳られることを意味しました。自由な利益追求のためには、政治や政府をコントロール(支配)する必要があったからです。日本にも、最近まで、多くの政商と呼ばれる人物が日本にもいました。