イタリアヨーロッパの歴史

イタリアの歴史とは?半島の統一は19世紀って本当?わかりやすく解説

降り注ぐ太陽の光、穏やかな地中海の恵み、豊かな土壌、おいしい料理と陽気な人々……イタリアと聞くと、こんなイメージを思い浮かべる人が多いと思います。現在では、ブーツのような形をしたイタリア半島全体をイタリアと呼んでいますが、半島が「イタリア」という一つの国になったのは、19世紀に入ってからなのです。そう言われてみれば「イタリア」っていつからある国なのか?ローマやフィレンツェといった名前はよく聞くけれど……。そこで今回の記事では、そんな「イタリア」の歴史をご紹介。かなり複雑なので本当に駆け足になってしまいますが、全体の流れをつかみやすいよう、わかりやすく解説します。

イタリアの歴史(1)先史からローマ帝国

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地中海に面し、温暖な気候に恵まれたイタリア半島。原始時代から人の暮らしがあったとみられています。食べるものも豊富で、海に漕ぎ出せばほかの地域との行き来も用意。やがて交通の要衝として栄え、大都市へと発展していきました。まずはイタリア半島の夜明け、紀元前の様子を見ていきましょう。

旧石器時代~青銅器時代~いつの間にかローマ建国

イタリア半島には、旧石器時代にはすでに人の暮らしがあったと考えられています。

ナポリの南東部、ブーツ型のイタリア半島の”足の裏”あたりに位置する「マテーラの洞窟住居」からは、旧石器時代の出土品も数多く発見されており、かなり古くから人が暮らしていたことが確認されているのです。

しかし、紀元前8世紀ごろまでのイタリア半島の様子については、詳しいことはわかっていません。

紀元前753年、ラテン系の貴族といわれるロムルスとレムスがローマを建国。ロムルスが初代ローマ王となります。

ローマはブーツ型イタリア半島の”ヒザ”にあたる地域。半島のちょうど真ん中に、伝説の王によって国が築かれ、イタリアの歴史が始まりました。

紀元前509年からは、王政ではなく共和政ローマ(貴族、政治家、市民による政治)がスタート。人口が増え、国はどんどん大きくなって、領地を広げていきます。

紀元前3世紀ごろになると、バルカン半島にあるギリシャやマケドニアといった国々が勢力を伸ばし、地中海の向こう側・アフリカ大陸側のカルタゴと衝突することもありました。

こうした勢力の中、ローマは領土を広げ続け、イタリア半島のほぼ全域を掌握。地中海の覇者としてますます勢力を伸ばしていきます。

カエサルと歴代ローマ皇帝・大きくなりすぎたローマ帝国

広がりすぎた領土を掌握するには、共和政という政治体制は不向きだったようです。ローマはたびたび内乱に見舞われ、勢力を伸ばしながらも混乱期を迎えます。

内乱が続くローマに変化を与えたのが、軍人であり政治家でもあったカエサル(シーザー)でした。

彼は三頭政治など手法を駆使し、権力を手に入れようと画策。カエサル自身は、共和政政治を支持する者たちの反感をかって暗殺されてしまいますが、このころから徐々に、ローマは王政・帝政政治へと傾きます。

そして紀元前27年、カエサルの養子であるオクタウィアヌスがアウグストゥス(皇帝の称号)に。ここから、ローマ帝国の歴史が始まります。

地中海全域およびヨーロッパの広い範囲を支配するまでになったローマ帝国。穏やかな時代もありましたが、時代が進むと、異民族との戦争や内乱が頻発。たびたび財政難にも見舞われます。

紀元後3世紀ごろになると、ローマにキリスト教が伝来。反発や弾圧もありましたが、キリスト教は次第にローマ内に浸透していき、313年のミラノ勅令によって公認となり、380年には国教となります。キリスト教を政治に利用しようという歴代皇帝の思惑もあったようです。

内乱・ローマ東西分裂とゲルマン民族の大移動

284年に即位した皇帝ディオクレティアヌスは、度重なる内乱や戦争に対応するため、4人の皇帝による分割統治を始めます。

分割統治は、この後もたびたび行われました。

395年、テオドシウス1世も息子たちに分割統治をさせます。しかしテオドシウス1世はそのあとすぐ死去。これを機に、ローマは東西に分裂します。

大きくなりすぎた領土。西側と、中東に近い東側とでは、風土も文化も異なるため、東西分裂は当然の成り行きであったとも見られています。

それと前後して、4世紀ごろのヨーロッパ大陸といえばゲルマン民族の大移動が激化。イタリア半島にも多くの民族がなだれ込んできます。

476年、ゲルマン勢力の台頭により、西ローマ帝国は廃止。イタリア半島からローマ帝国が無くなります。

もう一方の東ローマ帝国は、コンスタンティノープル(現在のトルコの都市・イスタンブール)を拠点に1453年まで存続。ビザンツ帝国と呼ばれることもありますが、イタリア半島以外の地域でローマの政治が継承されることになるのです。

イタリアの歴史(2)中世からルネサンス時代

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西ローマ帝国が無くなってからの数百年間、イタリア半島は激動の時代を迎えます。中世と呼ばれる時代に、ようやく「イタリア」という国名も誕生。ただし、まだ半島全域を治める国には程遠く、日本の戦国時代のように小国がひしめき合う時代が続きます。

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