ヨーロッパの歴史

「ゲルマン民族の大移動」とは?理由は何?わかりやすく解説

現代のEUの中心国はゲルマン民族_イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど

現代のEUとしてまとまっている欧州連合の中心であるイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどはまさにゲルマン民族の大移動の結果、その国家の原型が彼らによって作られたと言えるのです。(イギリスは離脱しようとしていますが)

その後、東ヨーロッパなどはさらにフン族と同族と考えられる中央アジアの騎馬民族の侵略を何度も受けています。チュルクの国であったオスマン帝国は、ギリシャ人などがいたバルカン半島を支配し、現在のオーストリアの首都ウィーンを囲んだこともありました。しかし、ヨーロッパは、ルネサンスをきっかけとして中世を脱して、近代国家に向かって変わっていき、現代では、世界を支配しているのです。

ゲルマン民族の大移動を招いたフン族はどこに行ったのか

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最後に謎なのは、ローマ帝国を侵略し、ゲルマン民族の大移動を引き起こしたフン族はどこに行ったかです。強い騎馬隊を揃えているフン族であれば、その後もヨーロッパに残って、東ヨーロッパを支配しても良かったはずでした。しかし、いつの間にか、フン族はヨーロッパから消えていったのです。それはなぜでしょうか。

フン族はあくまでも、遊牧騎馬民族であり、定住生活をしていませんでした。中央アジアやシベリアの気候が温暖化すれば、彼らにとっては、土地の痩せたヨーロッパよりも、自由に動き回れる故郷が恋しくなり、戻っていったと考えられます。しかも、フン族も単一民族ではなく、いろいろな民族が参加しており、バラバラのままでは王国は作れず、故郷に帰っていったのでしょう。その代わり、シベリア、中央アジアが寒冷化すれば、すぐにまたヨーロッパや中国に侵略してきたのです。侵略の歴史を繰り返す中で、チュルクなどはオスマン帝国として定住化し、現在のトルコを成立させました。

気候変動はゲルマン民族の大移動のように人類の歴史に大きな影響を与えてきた

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現代のヨーロッパの国々の原型を作ったゲルマン民族の大移動は、地球規模での民族の大移動だったと言えます。歴史的には、何度も気候変動によって民族移動が繰り返されていますが、その一番大きかったものがゲルマン民族の大移動と言えるのです。しかし、気候変動は繰り返されます。現代の温暖化の中で、今後大きな歴史的な変動が行らないことを祈るばかりです。

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