教養歴史

今さら聞けないEUの仕組み~歴史や加盟国、問題点まで徹底解説!

EUとは欧州連合(European Union)のことですが、では欧州連合って何?と聞かれたら、ちょっと答えに詰まってしまいそうですよね。いきなり始まったような印象も受けますが、実は第二次世界大戦のすぐ後あたりから紆余曲折じわじわと形作られていった組織なのです。一口では説明が難しいEUの仕組み、歴史や加盟国の変遷などを中心にじっくり解説いたします。

ヨーロッパ一致団結!EU誕生までの長い歴史

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EUとは「ヨーロッパ大陸の国々による国際機構」であり「欧州連合」とも呼ばれています。経済や外交、貿易、安全保障などを統合し、他の地域の経済大国に対抗する目的で作られました。ただ、連合といっても「ヨーロッパ」という大国が誕生したわけではなく、それぞれの国は今まで通り個々に存在しています。しかも、ヨーロッパのすべての国が加盟しているわけでもないようです。どういう経緯で形成された組織なのか、EUの歴史をたどってみましょう。

強いヨーロッパを!ECSCからEEC、EURATOM、そしてECへ

EU誕生までの歴史は、第二次世界大戦直後まで遡ります。

大戦はヨーロッパの国々を疲弊させました。「二度と戦争を起こさないこと」「一日も早い再生・復興」が各国々の課題となります。そのため、各国々はドイツの重工業系企業が再び軍事に傾かないよう、1940年時点の主力燃料であった石炭や鉄鋼などの動向を監視。一部の国に偏らないよう共同体制を築こうとする動きが高まります。

「ヨーロッパをひとつに」という構想は1920年代、第一次世界大戦後には既に起きていましたが実現には至らず、第二次世界大戦が始まってしまいました。そしてヨーロッパの国々は荒廃し、アメリカとソビエト連邦(ロシア)という超大国が台頭し始めます。協力し合わねば大国に太刀打ちできません。

「戦後の混沌とした状況からの脱却」と「二大超大国に負けない体制作り」が、EU設立のきっかけとなったのです。

EU発足までの大まかな流れを以下に年表にしました。

<EU年表>
1952年: ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)
1958年: ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM、またはEAEC)
     ヨーロッパ経済共同体(EEC)
1967年: ヨーロッパ共同体(EC) ※ECSC、EURATOM、EECを統合
1993年: ヨーロッパ連合(EU)

加盟国増大!夢のヨーロッパ連合(EU)結成へ

1952年、ECSC設立当時の加盟国はフランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6ヶ国でした。この6ヶ国は数年後、新しいエネルギーとして注目され始めた原子力の開発を、アメリカやソ連に後れを取らないよう共同で開発する目的でEURATOMを発足させます。6ヶ国は協力体制をさらに強化するために、国同士の経済的な壁を取り払い共同市場の確立を目指すためEECを設立しました。これが後に統合され、1967年にECが誕生します。

はじめのうちはこの6ヶ国で形成していたヨーロッパの共同体性でしたが、1973年にはイギリス、アイルランド、デンマークが、1981年にはギリシャが、そして1986年にはスペイン、ポルトガルが加盟。2000年以上遡って歴史を紐解けば、互いに争いあった時期もある国同士が手を取り合い、新しい国の在り方を模索し始めたのです。

単一通貨「ユーロ」の誕生

共同体といっても所詮は別々の国です。法律も違えば物価も違う、経済的に協力し合うには課題がたくさんありました。その総仕上げが共通通貨。ひとつの市場システムを形成するには、共通の通貨の利用が不可欠です。

共通の通貨については、共同体発足当時から既にプランがありました。しかし様々な問題があり、長い間議論を繰り返した結果、1999年1月1日にようやく導入にこぎつけます。初めは仮想通貨のようなもので、紙幣の運用が始まったのは2002年からとなりました。

1999年の発足当時、EU加盟国のうちでユーロを導入したのは11ヶ国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、アイルランド、ルクセンブルグ、ベルギー、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド)です。ヨーロッパの中心的存在であるイギリスは、EUへの加盟も遅れましたが、ユーロの導入も見合わせています。

その後、ユーロ導入国は少しずつ増え(EU加盟国28ヶ国中19ヶ国がユーロ選択)ていますが、まだヨーロッパ全土対応には至っていません。

どんな組織?EUにまつわる素朴な疑問

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30年以上の年月をかけて始まったEU、ニュースやネット記事でもよく目にしますが、現在ではどのような組織になっているのでしょうか。たくさんの加盟国がありますが、加盟していない国もまだまだあるようです。基本方針や原則、組織体制、中心拠点のある場所など、EUの基本情報をまとめました。

加盟国は?旗はあるの?お札の絵柄は何?

EUにも旗があります。「欧州旗(おうしゅうき)」と呼ばれる旗で、青地に12個の金色の星が円形に配置されているデザインを1985年に正式にEUの旗として認証されました。

旗に描かれた12という星の数は旗を採用した当時の加盟国の数であるといわれていますが、現在の加盟国数とは特に関係ありません。星の数と配置はヨーロッパ国民の連帯を表しています。当初は加盟国の増減で星の数を増やす考えもあったようですが、最終的に、ヨーロッパに古くから伝わる神話や伝承の中でも深い意味と持つ12という数字で落ち着きました。

次に紙幣についてですが、共通貨幣であるユーロには、7種類の紙幣と8種類の貨幣があります。紙幣はどの国も共通ですが、貨幣のほうは、裏面のみ国ごとに異なるデザインが施されているのだそうです。

紙幣は、500、200、100、50、20、10、5ユーロ札。額面が大きくなるごとに少しずつサイズも大きくなります。絵柄は、一般的な紙幣に見られるような「人の顔」ではありません。EU加盟国にある名所旧跡や歴史的建造物、古代建築様式を表したイラストなどが採用されています。色が額面によって赤や緑、紫など異なっているところも特徴的です。

次に加盟国について。2018年時点でのEU加盟国は以下の28ヶ国です。()内は加盟した年を表します。

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