大政奉還で武士の統領としての征夷大将軍の役割が終わった
平安時代末期からは、武士が力を持ち、平安貴族の荘園という土地を自分のものにしてしまったため、貴族たちは力を失い、領土を征夷大将軍に安堵された武士たちの時代になりました。その武士たちの領土を安堵(保証)してやったのが、征夷大将軍を頂点とした幕府だったのです。
しかし、江戸幕府末期になりますと、工業、商業の発展によって大きく状況が変わってきます。すなわち、江戸時代には、財力は土地(領土)だけではなくなったのです。商人たちが力を持つようになり、製糸産業などの家内工業によって力をつける町人も増えていいきました。すなわち、武士だけを統率する征夷大将軍の役割は終わりに近づいていたのです。そこに、日本を囲む東アジアの情勢は、欧米諸国の植民地政策によって大きく影響を受け、徳川家の征夷大将軍を頂点とする幕府は大政奉還によって幕を閉じました。もはや、征夷大将軍は、指揮官ではなくなったのです。
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征夷大将軍は武士の時代を作り、そして終わらせた
源頼朝は、征夷大将軍になり、武士たちの領土を安堵してやることによって、武士の時代を開きました。しかし、同じ征夷大将軍の徳川慶喜は、大政奉還によって、武士の時代を終わらせたのです。しかし、約650年以上にわたって征夷大将軍が在職し、この日本を統治していたと言えます。どのような会社、組織、地位もいつかは終わりが来るということをよく認識しておく必要があるとも言えるのです。