【3分でわかる】稲荷神社はなぜ狐?お稲荷さんと狐の関係と由来をわかりやすく解説!
- お稲荷さんってどんな神サマ?
- お稲荷さんは実はマルチな神サマ!
- 中国から渡来した秦氏が伏見稲荷を創建
- 稲荷神社とキツネの関係とは?
- キツネは、神サマの飼い犬ならぬ飼い狐
- キツネにまたがった神サマ
- 神社のキツネがくわえているものは何?
- きつねうどんと、いなり寿司のお話
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この記事の目次
お稲荷さんってどんな神サマ?
まずは、お稲荷さんってそもそもどんな神サマなの?という素朴な疑問から。元ネタとなる日本神話を詳しく解説すると、思わず頭を抱えちゃうくらい難しいので、わかりやすく説明しますね。
お稲荷さんは実はマルチな神サマ!
稲荷神社では、【ウカマノミタマ】という神サマが祀られており、漢字では「宇迦之御魂神」や「倉稲魂命」というふうに表記するのですが、一般の人は覚えるのが大変なので、だからみんなお稲荷さんと呼んでいます。
古事記や日本書紀にも登場するのですが、穀物や食物を司る神サマだと言われてますね。一説には、神サマの身でありながら暴れん坊だったスサノオの娘ともいわれており、実は、「ウカマノミタマという女神がいた」と記してあるだけで、特に何をしたとか、どんな神サマだったのか?などは書いていません。
しかし、この女神は【ご利益の塊】のような存在で、かなり霊験あらたかな神サマであることは言うまでもありません。
ウカマノミタマのご利益の数々
- 商売繁昌
- 産業興隆
- 芸能・諸芸上達
- 五穀豊穣
- 家内安全
- 諸願成就
- 良縁
- 交通安全
この神サマ、全国に3万2千もある稲荷神社だけでなく、企業内神社や個人宅の神棚、果てはデパートの屋上にまで祀られています。女神だけに、とにかく昔から人気があるアイドル的存在なのです。
中国から渡来した秦氏が伏見稲荷を創建
はるか中国から渡来してきた秦氏(はたうじ)が古代日本で活躍してきた時期のこと。全国的に天候不順で、みんなが困っていたところ、この秦氏が五穀豊穣の祈願を込めて、伏見稲荷大社を創建しました。その時に祭神としたのがウカマノミタマだったのです。
ちなみに、秦氏の祖先でイナリという者がいて、何をトチ狂ったのか?白い餅を弓矢で射たところ、その餅が白鳥に化けて飛んでいったとか?「食べ物を粗末にしてるとバチが当たるぞ!」という【神サマの啓示】を思い出した秦氏は、穀物の神ウカマノミタマをトップに戴いて、すすんで国のために伏見稲荷の創建を買ってでたとか。そんないわれがあります。
いずれにしても、この伏見稲荷が完成したおかげで、全国的な稲荷ブームがやってきました。そして平安時代はまさに稲荷建設ラッシュに沸き返ったのです。もちろん最初に建てられた伏見稲荷は、【総本山】というボス的存在として君臨したのは言うまでもないところ。
稲荷神社とキツネの関係とは?
ふつう神社といえば、狛犬が2頭互いに鎮座してますよね?しかし稲荷神社へ行くと、狛犬の代わりにキツネがいらっしゃいます。「なぜ?」と疑問に感じた方も多いはず。ここでは、稲荷神社とキツネの関係について解説していきますね。
キツネは、神サマの飼い犬ならぬ飼い狐
稲荷神社に鎮座しているキツネというのは、わかりやすく言えば「神の使い」という意味です。要は、神サマの言葉や意思を人間に伝える際に、こういったキツネのような動物を通訳にして疎通を図るということですね。ふつうの神社の狛犬も同じ役割を持っているので、意味としては同じになります。
では、なぜキツネでなくてはならないのか?実はいくつか理由があるんですね。
穀物や食物を司る神サマのことを、古くから「御饌津神(みけつがみ」と呼び、それが変じて「三狐神」となったもの。だからいつしか神サマの使いがキツネになった。関西地方では、キツネのことを「ケツネ」と読むことがあるので、違和感がなかった。キツネは害獣であるネズミを駆除してくれる。だから穀物の神サマの使いとしてぴったりだった。日本では古来、オオカミが神サマの使いとされてきたが、稲作の定着とともに、里近くに住むキツネのほうに愛着が湧いたから。
キツネにまたがった神サマ
日本三大稲荷という言葉をご存知でしょうか?全国には、お稲荷さんを祀るお社がたくさんあって、特にその中でも大きなところは参拝客も非常に多く、有名であるためにトップ3扱いされてたりします。最上位にはボス的存在の【伏見稲荷大社】。その後に続くのが【豊川稲荷】と【最上稲荷】なのですが、実は神社扱いされているのは、伏見稲荷だけなんですね。
【豊川稲荷】と【最上稲荷】の2か所は、実はお寺なのです。では、なぜお寺にお稲荷さんが祀られているの?という素朴な疑問が出てきますよね。それを解明しましょう。
豊川稲荷(愛知県豊川市)の正式名称は妙厳寺といい、ご本尊は千手観音。しかし、鎮守神という境内を守護するための神サマが別に存在しており、吒枳尼天(だきにてん)という名で、インド経由で日本へ伝わってきたといわれています。実は、そのお姿は、稲穂を肩に担いで白いキツネにまたがった天女の姿なんですね。
もう一つの最上稲荷(岡山県岡山市)ですが、正式名称は妙教寺といい、こちらのご本尊は釈迦如来。しかし、祈祷本尊という存在が別にいて、最上位経王大菩薩といいますが、実はこの菩薩サマ、吒枳尼天さんと瓜二つなんですね。ということは、豊川稲荷と最上稲荷は、どちらも吒枳尼天さんを鎮守神にしているということ。
でも、稲穂を担いで白いキツネにまたがった天女の神サマって、なんかピンときませんか?そう!先ほども説明しましたが、日本古来の神サマである【ウカマノミタマ】にソックリなんです~!
実はコレ、神仏習合といい、日本古来の神サマ(神道)と仏教が結び付いたもので、ご本尊の他に、お寺を護るための神サマが別にいるということなのです。この豊川稲荷と最上稲荷の場合は、ご本尊よりも鎮守神のほうにご利益があると思われたために、【お稲荷さん】のほうが有名になっちゃったというパターンとなりました。
ちなみに、お寺の参道にも立派な鳥居が建ってたりもしますね。そのようなお寺のことを神宮寺とも呼ぶのです。
神社のキツネがくわえているものは何?
稲荷神社へ行った時に、狛犬ならぬ狛ギツネが鎮座してますよね?でも、よくよく見てみると何かをくわえています。それって何でしょうね。実はくわえているものは4種類あります。
【稲穂】五穀豊穣や豊作の象徴
【巻物】知恵の象徴
【玉】お稲荷さんの霊徳の象徴
【鍵】お稲荷さんの霊徳を身につけようとする象徴
稲穂や巻物は、「豊作になりますように」とか「頭が良くなりますように」という意味で理解できるとして、では玉と鍵が意味する霊徳って何なんでしょうか?まとめサイトなどでは、よくわからないことばかり書いていて、イマイチわかりにくい表現が多いですね。
霊徳と言われてもピンと来ない感じなのであれば、その玉自体が神サマのご利益(りやく)そのものだったらどうでしょう?【玉】とは古来、宝石のことを指し、貴重で大切なものを意味する言葉です。ということは、そのご利益を得るために人は何をしなければいけないのか?
まさに、そこに【鍵】があります。神サマの霊徳にあやかるためには、人は常に品行方正であらねばならない。神サマは常に見てますよ!ってことなのです。【鍵】とは人間の行為そのもの。神サマを敬い、正しい生き方をすることによって、ご利益を得るための【鍵】を手にすることができるのでしょうね。
また、お稲荷さんは、火伏(火避け)にもご利益があるといわれていますね。【玉】をくわえたキツネの尻尾の先を見てください。そこには火炎宝珠があるはず。宝珠とは、神サマの霊験を表すもの。ということは、火伏にご利益があるという意味になるのです。
昔は、火事が大敵でしたから、とにかく神サマにすがってでも火事を起こしてはならない。そういった人々の願望が垣間見えてくるのですね。