その他の国の歴史

ブラジル国旗の意味とは?国旗から読み取るブラジルの地理と歴史を解説

国旗にはその国を象徴するものが描かれているから、国旗をみれば色々なことが分かる、そう言いますよね。はたしてそれは本当でしょうか。同じような配色、マークがデザインされている国旗は沢山あります。例えば、ブラジル連邦共和国の国旗。緑色と黄色をつかっている国は世界中に沢山あります。星のマークも。それでも、実は、ブラジルの国旗は唯一無二のデザインで、ブラジルの地理や歴史を沢山知ることができるのです。どんなことが分かるのか、一緒にみていきましょう。

国旗につかわれている色

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まずは国旗の色に注目してみましょう。色にはさまざまな種類がありますが、国旗につかわれている色は、数としてはそんなに多くありません。基本は黄・白・赤・青・黒・緑の6色です。この6色があれば、たいていの国旗は描けてしまいます。

旗につかわれる色の意味

ブラジルの国旗につかわれている色は、緑色と黄色です。一般的に、旗につかわれるこの二色がどんな意味をもつのかみていきましょう。

緑は「植物」の色なので、植物に対する人々の気持ちが、緑によってあらわされていることがよくあります。繁栄希望誠実自由といった意味も、植物のイメージからきているのでしょう。他にも、森林農地農作物、さらにイスラムのシンボルでもあります。

黄色が意味するものは「」。国旗はもともとヨーロッパの紋章が起源とされていますが、そのときに金の色は黄色で代用されていました。これに関係し、王の権威黄金栄誉などをあらわすことが多くあります。他にも自然に関係するものとして、黄色は、小麦鉱物資源砂浜太陽などのシンボル。日本では、太陽といえば赤色ですが、黄色で太陽を描く国は、実は沢山あるのです。

ブラジルの国旗の色の意味

国旗のベースの色である「緑色」は、ブラジルの豊かな森林資源をあらわしています。

ブラジルといえば有名なのが、世界最大の熱帯雨林であるアマゾン。ブラジルは世界で5番目の国土面積をしめる広い国なのですが、なんと、その面積の半分はアマゾンの熱帯雨林です。アマゾンの豊かな植物は、地球の生態環境のバランスを支えるうえでも、大きな役割をはたしています。もし、アマゾンのジャングルが二酸化炭素を消費して酸素をつくりだしていなければ、地球の大気中の二酸化炭素と酸素の割合はちがったものになり、地球の気候型は大きく変化していたでしょう。それくらい、ブラジルの植物は地球にとってかけがえのない資源なのです。

ひし形の「黄色」は、鉱物資源をあらわしています。

ブラジルには、膨大な鉱物資源が埋蔵されていることをご存知でしょうか?ブラジルの鉄鉱石の埋蔵量は、世界第2位で、そのうえ、ボーキサイト(アルミニウムの原料)、マンガンも豊富です。ブラジルは、豊富にあるこれらの資源を活用し、鉄鋼業や、自動車・航空機工業などを発展させ、中南米最大の工業国となりました。

国旗にえがかれた国の標語

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国旗には、マークや国章だけではなく、文字が入っているものもありますよね。その場合、国の標語や聖書の言葉が描き入れられていることがほとんどです。ブラジルの国旗に採り入れられている文字、ここからはどんなことが分かるのでしょうか。では、天球儀に巻かれた帯にかかれた文字についてみてみましょう。

植民地支配をうけた歴史

ORDEM E PROGRESSO」これはポルトガル語です。なぜブラジルの国旗にポルトガル語がかかれているのでしょうか。実は、ブラジルにはブラジル語がありません。ポルトガル語を国の言葉として使っているのです。

大航海時代、ヨーロッパの国々の先頭をはしって世界探検をしていたポルトガルは、1500年にブラジルの地にもおり立ちました。その後ポルトガル人はブラジルに移り住むようになり、1549年、ポルトガルはブラジルを植民地とします。それから、ブラジルは約300年もの間、ポルトガルの植民地支配を受けました。そのため国内では、ポルトガルの文化や生活様式がすっかり定着し、言語も公用語としてポルトガル語がつかわれるようになったのです。

しかし、ブラジルのポルトガル語は、奴隷としてつれてこられた黒人がつかっていたアフリカの言葉や、もともと住んでいた先住民の言葉がたくさんとり入れられたため、ポルトガル本国の言語とは抑揚の付け方や、慣用的な言い回しなど、異なる部分もあります。

秩序と進歩

では「ORDEM E PROGRESS」とは、どんな意味なのでしょう。これはブラジルの国の標語で、意味は「秩序と進歩」。これは、フランスの哲学者であるオーギュスト・コントという人の言葉です。コントは、日本ではあまり有名ではありませんが、「社会学」という言葉を初めてつくりました。

どうしてフランスの哲学者の言葉が、ブラジルの国の標語に選ばれたのでしょう?詳しいいきさつは分かっていません。しかし、当時ブラジルの政治の中心にいた人たちは、ポルトガルからの長い植民地支配を脱して自立するために、ポルトガルとは少し距離をおきたい気持ちがありました。そして、これから国を発展させていくのに、目標としたのが北ヨーロッパ、特にフランスでした。当時ブラジルの政治の中心を担った人の中には、コントの考えに影響を受けている人が複数おり、「秩序と進歩」を国の標語にしたようです。

天球儀に描かれた星

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最後にブラジルの国旗のなかで最も特徴的なものをみていきましょう。それは、なんといっても中央にある天球儀です。特徴的といっても、星が描かれていること自体は、特別なことではありません。では一体なにが特徴的なのでしょうか。

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