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意外にややこしい!社会主義と共産主義の違いを歴史からわかりやすく解説

今でもキューバや中国などで採用されている思想であり、昔は旧ソ連を筆頭にアメリカと資本主義と対立していた社会主義。学校などでも教えられますよね。でもこの社会主義という思想の他にももっと凄い共産主義という考え方もありました。そこで今回はそんな社会主義と共産主義の違いを歴史を追いながら解説していこうと思います。

そもそも社会主義とはなんなのか?

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社会主義というのは簡単にまとめて言えば『みんなが平等にお金をもらえて平等な生活を送る』というものです。これは要するに頑張っても頑張っても報われない人をこの世からなくすためという考え方にもつながっていきますよね。考えの理想自体は素敵です。今では中国やキューバ、ベトナムなんかもこの社会主義の考え方を取り入れています。

ちなみにこの反対の考えで頑張った分だけお金がもらえるのがいわゆる資本主義です。

社会主義と共産主義の違い

まずは社会主義と共産主義の違いを見ていきましょう。

まず社会主義なんですが、社会主義は上にも書いた通りみんなが平等になるようにする主義なんですが、その平等具合が結構まちまちで、国が国民の給料を管理して、その集まったお金を国の計画経済の元で発展し、さらにそれで儲かったお金を国民に対して分配していくという方式をとっていました。そのため社会主義の場合は一応個人の所有というのが認められており、お金を貯めてもいいことになっています。

次は共産主義ですが、社会主義との違いはどういうことかというと共産主義というのは社会主義の進化版で究極の社会主義ということなんです。要するに完全な平等という意味。さらに完全な平等になったら国という制度自体がいらないので最終的には世界の人類全員が平等に暮らすようになるというのを目指すのが共産主義ということです。

社会主義国の旧ソ連や中国などは社会主義の理念に基づいて政治を行なっていますが、これらの国は「今は社会主義の考え方だけどいつかは共産主義になるからね」と言い張っています。

次はその社会主義がどのようにして誕生して行ったのかを見てみましょう。

社会主義の歴史

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社会主義の考えが生まれたのは19世紀ごろ。この頃の世界、特にヨーロッパでは資本主義制度が導入されていき、誰でも経済活動が行われ競争していくうちに国が発展していくような仕組みが完成していきます。産業革命なんかはこの資本主義社会が発展した代表例といってもいいかもしれません。しかし、この資本主義というのはいいところももちろんありますが、時代が経っていくにつれてそのデメリットと言える部分も浮き彫りとなっていきます。資本主義というのは頑張った人だけ儲けるという思想だったのですが、いつのまにか一部の企業の創業者の一族や資本家のみが儲かって、必死になって働いている労働者がタダ同然の給料しかもらっていないという風なかわいそうな状態になってしまいました。

今でも世界一の大富豪20人の総資産が世界の人口の半分の総資産よりも多いということを聞きますが、そんなこと聞いたらなんか世界は不公平だと思いますでしょう。まぁ日本はまだ恵まれている方なんですがね。

カール・マルクスの登場

そんな時に現れたのがカール・マルクスという人。この人はエンゲルスという友人と一緒に『資本論』というものを書いて、資本という経済活動を行う資金を国の共有財産にすることによって階級のない社会を作り上げていこうと主張しました。のちに続く社会主義はこのマルクスが書いた資本論をベースに展開していくことになるのでした。

ちなみに『資本論』の一番残念なところは社会主義という思想は広めたものの、一番肝心なその思想にするための手順ややり方などが全く書かれていないのです。わかりやすく伝えるとある人が「このカードゲームめっちゃ面白いで!」と伝えて「このカードゲームをやりたいなー」と思っても、やり方がわからなかったら一部の人はまともに考えでやるかもしれませんが、その一方で訳もわからず無茶苦茶なルールとかでやる人もいるはずです。社会主義思想もこのように理論は伝えたんだけどやり方は書いていないせいでこのような道を歩んでいくことになるのでした。

ソビエト連邦の成立

社会主義に必ず欠かせないワードはなんといっても『革命』。マルクスは資本主義はいずれ革命によって労働者による独裁を経て社会主義ぎ生まれていくと説明しています。その革命の中でも特に有名なのはなんといっても世界初の社会主義国家であるソビエト連邦を成立させたロシア革命と言えるでしょう。

ロシア革命は1918年から1922年まで行われた社会主義革命なんですが、この革命によってロシアは社会主義国家となり、マルクスの思想を基にすべてのものが国有化。さらに国によって経済が統制されて計画経済の仕組みが整えられました。

社会主義国家の増加

ソ連が誕生して以降、世界ではいろんな共産主義政党が生まれ、各地で革命を起こそうと活動を行なっていくようになります。しかし、そんな暴力で国がひっくり返るほどこの頃の国家はヨワヨワなものではありません。この革命はほとんどの国で失敗。ソ連ではレーニンが亡くなったことによってスターリンが指導者として就任するのですが、彼は世界で革命を起こすべきと主張していたトロツキーという人を追放して一国社会主義にのっとった社会主義国家を作っていこうとしていきます。

しかしそんなソ連が第二次世界大戦に勝利し、国際社会での影響力が増していくと転機が訪れました。東ヨーロッパの国がソ連の影響下の元で続々と社会主義国家が誕生。(ちなみにこの時生まれた東欧の国は衛星国と呼ばれてソ連の影響を強く受けるようになっていました。)さらにアジアでは北ベトナムや中国、さらに北朝鮮も社会主義国家になり、世界ではアメリカとイギリスなどの資本主義国家とソ連や東欧諸国などの社会主義国家との間で冷戦という冷たい戦争が起きていくようになります。

ソ連の崩壊と現在

冷戦が始まりしばらく経つと社会主義の行き詰まりというのがだんだん見えていくようになります。社会主義というのはみんなが平等になるのが目標ですが、これはつまりどんなに頑張ってもどんなにサボっても給料は同じということになってしまうのです。

皆さんは頑張ってもサボっても同じ給料ならどうしますか?まぁ、頑張りたいという人は頑張ると思いますが、この世の中ガンジーやマザーテレサのような聖人君子のような人ばかりではありませんのでみんなどんどんサボっていくようになってしまいました。こうなっていくとどんどん経済は停滞していき、資本主義を採用している国に追いつけなくなってしまいます。そして1989年になると東欧諸国にて革命が起き、各地の社会主義国家が崩壊していきました。さらに3年後にはクーデターによってソ連は崩壊。69年続いたソ連は消滅し、社会主義は新たな局面を迎えて現在に至っているのです。

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