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シンガポールの観光名所「マーライオン」って何?由来や豆知識をご紹介!

シンガポール観光名所として真っ先に思い浮かぶのは、やはり「マーライオン」でしょう。白いいでたち、頭はライオン、体は魚。背中にうろこがあり、口から水をはいている姿は大変印象的です。しかしこのマーライオン、いったい何者なのでしょう?どういういきさつでこのような像が建てられたのか、ちょっと気になりますよね。しかもマーライオンの像はひとつではないという噂も……。今回の記事では、そんなマーライオンのルーツを探ってみようと思います。

上半身はライオン・下半身は魚・マーライオンの由来とは

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シンガポールを代表するモニュメント・マーライオン。不思議な形をした像が、オフィスビルが立ち並ぶマリーナベイ地区の公園の中に建てられています。このエリアには昼夜問わず多くの観光客が訪れ、お約束のようにマーライオンにカメラを向けてパチリ。シンガポールとマーライオンは切っても切り離せない関係になっているようです。このマーライオン像はいつ頃、どのような理由で建てられたのでしょう?歴史を紐解いてみましょう。

マーライオンとは?シンガポールとライオンの不思議な関係

マーライオンの歴史の前に、シンガポールの名前の由来について見てみましょう。

「シンガポール(Singapore)」の名前の由来は、サンスクリット語の「シンガプーラ」に由来するといわれています。シンガプーラとは「ライオン(Singa)の町(Pura)」という意味なのだそうです。

なぜライオンなのかについては諸説あるそうですが、14世紀頃、この地を訪れたとある国の王子が、陸にいた獣をライオンだと思ったことに由来するとの説が有力。実際には、東南アジアに当時ライオンがいたとは考えにくいため、王子が見た獣はトラか、あるいはもっと別の生き物だったのかもしれません。

また、同様の伝承の中で、マレーシアの王族が船で対岸に近づいたところ、海が激しく荒れ始め、王冠を海に投げ入れら海が静まり事なきを得たという話が残っています。このときライオンが現れ、この地を収めることを許可したのだとか。このような伝承から、シンガポールとライオンは密接な関係にあるものと考えられています。

マーライオンの「マー」はフランス語のmer(海)に由来するのだそうです。もともとこの辺りは古くから、古ジャワ語で「海」や「港町」を意味する言葉から「テマセク」と呼ばれていました。「海」と「ライオン」。この地に深く関わりのある二つの言葉が融合して、シンガポールという国名が生まれたと考えてよいのかもしれません。

マーライオンは観光局の発案?なぜ体が魚なの?

現在、ベイサイドエリアに建つマーライオン像の体は魚ですが、前述の王族たちが出会ったライオンが魚の体をしていたわけではないようです。

古くからこのような架空の生き物の伝承があった、という説も。しかし実際には、あのような魚の体をしたマーライオンは、20世紀半ば過ぎにデザインされたものとされています。古い伝承の中に残るライオンと海のイメージを組み合わせて、あのような体の像が誕生しました。当初、魚の体をしたマーライオンは彫像ではなく、シンガポール観光局のロゴマークとして使われていたのだそうです。

そしていよいよ、マーライオンの像が製作されることになります。

1972年、国内の有識者によって彫像の設置計画が発足。シンガポールの彫刻家によってデザインされたマーライオンは9月15日、シンガポールリバーの河口、アンダーソン橋の近くに建てられました。当時は「マーライオン」の名前のとおり、ずっと水を吐き続けていたのだそうです。

進化を遂げるシンガポール・ベイエリアのシンボルに

しかしその後、シンガポールの街の発展とともに景観に変化が。マーライオンの位置よりさらに河口側に橋が架かって視界が遮られるようになったため、マーライオンは引っ越しを余儀なくされます。

2002年、30周年を迎えたマーライオンは、少し河口側、変化目覚ましいウォーターフロントエリアに移動。故障気味だった水吐き用のポンプもきれいにしてもらい、勢いよく水を吐き出すようになりました。橋の陰に隠れ、人気が傾きかけてしまったマーライオンですが、引っ越し先では新しい景観の中にすぐに溶け込むことができ、再びシンガポールのランドマークとして息を吹き返します。

周辺は「マーライオン公園」として整備され、ライトアップなど観光客向けの華やかな演出も。対岸にはシンガポールの新しい名所・個性的な形をしたリゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」が建ち、2つのスポットをカメラにおさめようと、多くの観光客が訪れるようになりました。

ひとつじゃない!?シンガポールに点在する愛すべきマーライオンたち

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マーライオン公園にあるマーライオンが本家本元、最初に建てられたものですが、シンガポールにはほかにもマーライオンが存在します。シンガポール観光局公認のマーライオンは、その数合計7か所。目立つものから小さくて目立たないものまで個性豊かなマーライオンたち。宝探しのように7つ全部見て回る観光客も少なくないのだそうです。今回は本家本元も含めて、7つのマーライオンをすべてご紹介します。

本家本元・マーライオン公園のマーライオン

1972年に設置され、その後移動してきた本家本元・最初のマーライオン。パンフレットや観光ビデオで紹介されているマーライオンはほぼ100%、彼の姿を映したものでしょう。マーライオンは雄と決まっているのだそうです。

高さ8.6m、重さ70トン。写真で見るともっと大きく感じるのか「思ったより小さかった、ちょっとがっかり」と感じる人も多かったとか。現在では大きさなどの情報が行きわたっているせいか、そんな不満を抱く人も少なくなっているようです。

マーライオン公園にもうひとつ・ミニマーライオン

マーライオン公園の中には、もうひとつマーライオンがあります。本家本元の後方、公園の植え込みの近くに、本家本元と背中合わせになるように設置されているミニマーライオン。高さは2mほどですが、顔も姿も精巧にできていて、間近で見ることができるため意外と大きく感じます。

このミニマーライオン越しに本家本元のマーライオンの写真を撮ろうとする観光客は多く、指折りの人気ポイントに。常に人だかりができており、シャッターを押すタイミングも一苦労です。

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