中国の歴史中華人民共和国

中国を指導しているすごい党「中国共産党」をわかりやすく解説

大躍進政策と文化大革命

ソ連と対立するようになった中国共産党は無茶苦茶な方針へと突き進んでいくようになります。その混乱の代表例としてあげられるのが大躍進政策と文化大革命だったのです。

大躍進政策は1953年から行われた中国における経済政策のことなんですが、この大躍進政策は現実を直視せずに鉄だけやけに生産したり、農作物を荒らすことでスズメを駆除したことによってイナゴによる農作物の被害が甚大化。一説には1億人がこの大躍進政策によって餓死したとされています。

これによって毛沢東は国家主席を辞任することになりましたが、経済の調整に取り組んできた劉少奇国家主席があまりにも資本主義に偏っている(実際には権力を取り戻したい)こともあり1966年から資本主義に傾いている人たちを弾圧(毛沢東に逆らう人々を弾圧するため)文化大革命が巻き起こり劉少奇や鄧小平といった権力を持っていた人たちが共産主義を堕落する反乱分子として失脚。

そのかわり毛沢東の右腕となっていた林彪や、毛沢東の妻紅青をはじめとした『4人組』が台頭。しかし、この文化大革命はこれを担った紅衛兵が中国の文化財をあまりにも破壊したり、人々を虐殺したことによって中国は大混乱に。こんな状態を毛沢東は今頃焦り出して紅衛兵を地方に飛ばすことで何とか抑えようとしました。しかし、これを反論した林彪およびその側近が毛沢東暗殺を画策。この毛沢東暗殺計画は事前にバレたことで林彪は飛行機でソ連へ逃亡することになりましたが、その途中のモンゴルで墜落死。毛沢東もこの直後に死去したことで文化大革命は終結。四人組は逮捕されましたが中国はこの頃ボロボロの状態となり社会主義や共産主義を目指すこと自体が困難となってしまいました。

中国共産党の改革開放

文化大革命以降、中国の幹部たちはまず共産主義を目指すのではなくある程度経済発展してから目指していこうとする方針に変わっていくことになります。

そしてその考えの主導を行ったのが文化大革命で失脚していた鄧小平でした。

鄧小平は1978年からそれまでの毛沢東のような無理矢理社会主義経済にするのではなく、ある程度資本主義の制度を取り入れてそこから社会主義へと向かう社会主義市場経済を行っていくことになりました。1981年に文化大革命を完全に否定し、毛沢東の行いも一部否定。これによって過去との決別を行い鄧小平は改革開放の道を推し進めていくことになり、中国はここから一気に経済が飛躍していくことになります。

しかし、それと同時期に中国では民主化を求めるデモが頻発。特に1989年の天安門事件では北京の学生を中心に天安門広場にてデモ活動をおこなっていましたが、これを体制の打倒として鄧小平はこのデモ活動を鎮圧するように命令。デモは警察や軍隊によって鎮圧されてしまいました。

現在の中国共産党

改革開放を推し進めた鄧小平が1997年に亡くなるとその後釜に江沢民が就任。江沢民は改革開放をさらに発展させ私営企業家の入党をも認める「3つの代表」思想が確立。これによって中国では私企業が発展していくことになります。(しかし、これを資本主義へと移行と捉える人も)

その後胡錦濤時代に突入し平和裏に権力移行が行われていき2012年に現在の習近平体制を迎えることになりました。

習近平は中国のGDPを2020年までに2000年の4倍とする目標を打ち立ててさらにはかつて中国に存在していたシルクロードになぞらえて中国中心の貿易体制である『一帯一路』を提唱。

さらに2017年の中国共産党第十九回全国代表大会「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想(習近平思想)」が中国の新しい社会主義の指針として動き出すことになりました。

こうしてさらに権力を固めた習近平。習近平が唱えた一帯一路がアメリカとの対立へとつながるという懸念もありますが、現在の中国共産党は習近平によって支配されているのです。

中国共産党の理念と思想

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中国共産党の最終目標と理想は党の名前にもある通り共産主義の実現としています。

そのため、共産党が支配している中華人民共和国はこの共産主義を実現するためのいろいろな準備を行なっており、共産主義の前段階として共産党規約の指針に基づいて、工業や農業、そして科学技術を活発化させながら共産主義を目指そうとし、全ての経済活動と政治能力を政府に集中している社会主義を行っているのです。(これはどの社会主義国家も同じ状態にあります)

そして社会主義として権力を牛耳っている中国共産党ではどのようにして共産主義にアップグレードするかも考えており、一番のベースとなっているマルクス・レーニン主義、毛沢東が提唱した毛沢東思想、改革開放後の鄧小平が提唱した鄧小平理論、江沢民の3つの代表思想と胡錦濤の科学的発展観、習近平の習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想を掲げています。

なんでこんなに政治思想が多いのかというと中国共産党のトップとなった人は基本的に思想を立ててそれを軸として政治体制を行なっているからですよ。今の大本は鄧小平理論が軸となっていますが、現在の中国共産党のトップである習近平は貿易事業を強化しようと中国の特色ある社会主義思想を立てながら『一帯一路』という形で中国からヨーロッパまでいろんな国との貿易を拡大して行こうとしているのです。

でも、このことはマルクスが考えていた元々の社会主義の考え方とは大きく離れているとして国外からはかなり非難を浴びているのも事実。しかし、中国では思想弾圧なんて普通に行われているのですからこれを止める手段は存在していないのが現在の状態でもあるのです。

中国共産党の機関

中国の期間を知るにはまず中国共産党の政治体制を見なければなりません。

なぜかというとまず中国における共産党の立ち位置が法律を越えればさらに憲法も超える存在だからなんですよ。

中国の憲法に中国共産党が政治を主導していると書かれており、中国共産党のトップ=中国自体のトップという形でいうことができるのです。

中国共産党の最高会議は5年に一度開催される中国共産党全国代表大会(党大会)。ここでは重大問題の討論と決議、党規約の修正、中央委員会、中央紀律検査委員会メンバーの選挙を行い中国を動かすメンバーを選出するのですね。しかし、5年に一度だけだと簡単に制先の変更ができませんので閉会期間中には中国共産党全国代表大会にかわって中国共産党中央委員会が代行しているのです。

じゃあ基本的には誰が偉いの?となると思いますが、中国で一番偉いのは中国共産党の総書記。国家主席と呼ばれるトップと中国には国務院という行政機関もあるのですが、この立候補者は基本的には共産党が決めます。そのため共産党が支持した人が一番偉く、自動的に共産党で一番偉い総書記が一番偉くなるのです。(ちなみに、今の中国のトップの習近平は国家主席と総書記を兼任しています)

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