アメリカの歴史独立後

ヨーロッパとの相互不干渉を宣言した「モンロー主義」とは?わかりやすく解説

冷戦前後におけるモンロー主義の終焉

第二次世界大戦後には、アメリカ合衆国の大企業は海外進出を積極的におこない、多くの多国籍企業が生まれました。そのために、米国はそれらの多国籍企業を守るため、また、共産主義国の進出を押さえるために、世界各地にアメリカ軍を派遣せざるを得なくなったのです。問題山積で、モンロー主義にこだわる余地はなくなっています。

さらに、冷戦後には多国籍企業の進出は活発になり、冷戦が終わった1990年代以降には、インターネットなどによるボーダーレス世界が展開されるようになりました。その先導役は、マイクロソフト、アップル、アマゾン、グーグル、フェースブックなどのIT情報産業の米国企業です。もはや、米国がモンロー主義を貫くことは不可能になっています。

再び新モンロー主義に帰ろうとするトランプ大統領

image by iStockphoto

現在のアメリカ合衆国のトランプ大統領の立場は、いまだに米国内に存在するモンロー主義者からの支持を受けているのです。移民制限政策を正当化するのは時代に逆行していますが、自国第一主義は新しいモンロー主義として一部では高く評価されています。

しかし、多国籍企業とインターネットによってボーダーレス社会になった現代で自由貿易を否定し、自国のことだけを考えることは実質的に無理な環境になりました。世界のあらゆる場所に米国企業が進出し、米国内には日本をはじめ、中国製品、韓国製品、インド製品が溢れかえっているのです。

一部では、シェールガスによって米国は石油の輸出国になり、IS国の脅威も無くなり、中東に米軍を駐留させる必要は無くなったという意見も見られます。しかし、中東にイスラエルという国があり、それが拡大主義をとっている限り、テロ戦争は世界に拡散し、米国は一番の標的になることは間違いありません。

その意味で、体制として米国がモンロー主義で内にこもってしまうことが可能な時代ではなくなっているのです。

現代ではモンロー主義は不要だが、相手国を思いやる優しさが必要

image by iStockphoto

現代では、すでにモンロー主義は通用しなくなっています。黒船が浦賀沖に現れたときの日本のように、鎖国は不可能になってしまっているのです。トランプ大統領がいくら自国第一主義を掲げても世界でそれを支持する国はないでしょう。

ただ、モンロー主義が不可能だから、トランプ大統領のように他国に対して遠慮もなく干渉することも許されません。相手国を思いやる優しさが国と国との共存共栄につながるのです。いたずらに仮想敵国を作って軍事力を高めることは必要ありません。私たち自身がこれからの日本の未来を監視していく必要があるのです。

1 2 3 4
Share: