6-2.ポイントその2 アヘン戦争により西洋諸国の進出に備えられた
日本が鎖国のデメリットを最小限に押さえることができた大きな要因としては、やはり清国がアヘン戦争で負けたことがあります。これによって、幕府はうろたえたとはいえ、「異国船打ち払い令」を廃止して西洋諸国の進出に備えたといえるのです。運がよかったといえるでしょう。
6-3.ポイントその3 下関戦争により先新技術の優秀さを実感できた
そして、もう一つのポイントとして倒幕の中心になった薩摩と長州が西洋諸国の砲撃によって完敗し、その先新技術の優秀さを実感できたことがあります。このとき、西洋諸国は交渉を最初幕府とおこなったことによって、薩摩、長州は西洋文明を受け入れるチャンスが生まれ、結果的に日本の明治時代の近代化につながったのです。
7.現代では鎖国は可能?
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ところで、現代において鎖国は可能でしょうか。現代社会では、日本の江戸時代のような鎖国をしている国はありません。北朝鮮が孤立しているといっても、アジアでは、ASEAN諸国やイランのように北朝鮮と条約を結び、外交をおこなっている国もあるのです。
7-1.通信・情報技術の発達によって誰でも世界の情報に触れられる
この鎖国が難しくなった背景には、1980年代に産声をあげ、1990年代には通信技術との融合によって開花したIT(インターネット テクノロジー)技術の存在があります。IT(インターネット テクノロジー)技術は、IT産業として世界を席巻し、第二の産業革命とも呼ばれました。このIT技術によって、いつでも世界のあらゆる情報に触れることが可能になったのです。さらに、21世紀には携帯電話から進化したスマートフォンによって、いつでもどこでも世界中の情報に触れることが可能になっています。
その結果、世界は情報のボーダーレス社会になり、権力者が国外の情報を遮断して、国民を思うように支配することは難しくなりました。
8 鎖国のデメリットは支配組織の硬直化と海外の進んだ情報を取り込めないこと
鎖国のデメリットは、やはり支配層の組織が硬直化して海外の進んだ情報に遅れてしまうことです。しかし、現代社会は、すでに情報世界はボーダーレスになっており、それらのデメリット以前に、もはや鎖国という政策は死語になっています。本来、鎖国は、支配層が、庶民が得られる情報を制約して、治安を安定させることを目的としてとられる政策です。しかし、現代では、庶民は世界のあらゆる情報にアクセスすることが可能になっています。