平安時代日本の歴史

武士たちの尊崇を集めた鶴岡八幡宮の歴史とは?~文化財と見どころもご紹介~

【1月】歳旦祭(さいたんさい)

鶴岡八幡宮だけでなく、全国の神社で行われる年頭の祭儀です。元旦の早朝5時に新しい年を寿(ことほ)ぎ、皇室の弥栄(いやさか)と国家の隆昌、氏子崇敬者の安泰と世界の平和、そして1年を通じて神様のご加護を祈念するのですね。

そして午前7時からは、舞殿にて神楽始(かぐらはじめ)式が行われ、例祭と同じく八乙女の舞が奉仕されます。元旦ということもあり、初詣客も多いため、毎年この時期には250万人もの人出で賑わうのです。

【2月】節分祭

「節分」とは本来、季節の分かれ目を意味する言葉「節目の時期」なのですが、現在では立春の前日を指して節分の日と呼んでいますね。本殿での祭儀において弓矢を授けられた神職が、下拝殿において古式に則り、鳴弦(めいげん)の儀を奉仕し、その後で豆撒きが行われます。

これらの行事はいずれも悪鬼邪霊を追い払う意味を持ち、新春を迎えるにあたり災厄を払おうという信仰の表れなのです。

【5月】菖蒲祭

5月5日の「端午の節句」は、「菖蒲の節句」ともいわれ、平安時代より盛んに催された節会の一つです。また、「菖蒲」が「尚武」にも通ずるため、武士たちも兜の前立に菖蒲を束ねました。これは邪気祓い、災い除けを信じていた証でしょう。

祭儀の当日は、13時より舞殿において神事が執り行われ、舞楽の奉納があります。こどもの日と重なっていますので、子供の成長を祈る日であるとともに、子供たちにお年寄りに対する敬慕の念を抱いてもらうという意味も込めて、鶴岡八幡宮では敬老会の日にも定められているそうです。

【7月】七夕祭

江戸時代初期の記録に、鶴岡八幡宮で七夕行事を行っていた記述があり、それにちなんで、この時期には「鈴懸け神事」が。そして7月7日には「七夕祭」が行われていますね。

梶の葉を模した色紙に願い事を書き、短冊型の絵馬に結ばれて神前に奉納されます。楼門内や舞殿の四方には、彩り豊かなクス玉と、吹流しなどの七夕飾りが笹竹に掲げられ、境内はおおいに賑わいを見せるのです。

また琴や琵琶などの楽器が演奏され、巫女による神楽も奉納されて幻想的な雰囲気に包まれています。

【8月】ぼんぼり祭

ぼんぼり祭は、立秋の前日から8月9日までの3日間(年により4日間)行われる、鎌倉の夏の風物詩ともいえるお祭りですね。境内には鎌倉在住の文化人をはじめ各界の著名人が筆をふるった書画約400点がぼんぼりに仕立てられ、参道に並びます。その様子は幻想的で美しいものです。

そして鎌倉幕府3代将軍【源実朝公】の誕生日である9日には実朝祭が執り行われます。非業の死を遂げた実朝公の遺徳を偲び、短歌会も催されているそうです。

【9月】例大祭

9月14日から16日までの3日間、例大祭が盛大に執り行われます。

鎌倉幕府の記録である「吾妻鏡」によれば、1187年8月15日に放生会(ほうじょうえ)と流鏑馬(やぶさめ)が始行されたとあり、これが例大祭の始まりとのこと。以来絶えることなく800年の歴史と伝統が現在に伝えられており、1年を通して最も重い祭儀となっているのです。

16日には流鏑馬神事が執り行われ、鎌倉武士の出で立ちをした騎者が、馬で駆けながら馬場に配された3つの的を射抜く勇壮な姿を見ることができます。

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明石則実