- 近代細菌学の開祖と呼ばれたルイ・パスツール
- パンデミックよりも経済を優先させる現代風潮
- ルイ・パスツール以前の19世紀前半までのヨーロッパの疫病
- 人口の1/3が死んだ中世のペスト以外にもパンデミックはあった
- 現代のパンデミックにはどのようなものがあるのか
- 地球には1万種以上の未知のウイルスが存在している
- パンデミックの怖さとは!ワクチンが追いつかない
- 現実にはワクチンが出来ても一時しのぎの場合が多い
- ルイ・パスツールの生涯
- ルイ・パスツールの発明したワクチン予防接種による疫病対策
- パスツールと新型コロナウイルスによる現代のパンデミック
- 新型コロナウイルスのアジアの死亡率が低い要因は?
- ワクチンが出来ても新型コロナウイルスは何度も襲ってくるだろう
- ルイ・パスツールの経験と知古を生かしてウイルスを撃退する体制が必要
この記事の目次
近代細菌学の開祖と呼ばれたルイ・パスツール
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ルイ・パスツールは、1822年12月27日にフランスジュラ地方で生まれた生化学者であり、ワクチンの予防接種による疫病の流行を防止する方法を開発した細菌学者として有名です。彼は、その他にも低温下でも牛乳やワインなどの腐敗を防ぐ殺菌法を開発しています。
パスツールは、ウイルスや細菌などの疫病による私たちの生活の不具合に対する防止方法を中心とした近代細菌学の開祖と呼ばれているのです。ヨーロッパの人々にとっては、中世のベストによって人口が1/3まで減ってしまった経験はいつまでも忘れられない記憶であり、疫病に対する恐怖は大きいものがありました。その防止方法の開発は人類にとって非常に重要なものといえたのです。
パンデミックよりも経済を優先させる現代風潮
現在では、豊かさへの欲求が高まり、すべてに経済対策が最優先されています。しかし、ウイルスなどによるパンデミックは今回の新型コロナウイルスによって明らかになったように、経済そのものを崩壊させてしまうほどその影響力は大きいのです。そのことは、過去にもスペイン風邪、SARSなどの経験もあって、ビル・ゲイツなどはそのリスクを提言したり、アメリカのオバマ前大統領もその対策の重要性が叫んでいました。しかし、豊かな生活を求める国民や経済発展最優先の政治家によってそれらの対策はおざなりにされてきたと言わざるを得ません。日本でも、過去にSARSなどの経験があるにも関わらず、パンデミックに対する対策は何一つとられておらず、今回の新型コロナウイルスのパンデミックの影響をもろに受けてしまったと言えます。
これは、何もパンデミックに限ったことではなく、経済重視、非現実的な国防重視などによって、環境問題、現実の温暖化による大規模事前災害の多発にもつながっているのです。
ルイ・パスツール以前の19世紀前半までのヨーロッパの疫病
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ヨーロッパでは、14世紀半ばにペストの流行が起こりました。ペストは黒死病とも呼ばれ、西ヨーロッパでは人口の1/3が死んだといわれています。人類史上において最大の疫病であり、その爆発的な発生はパンデミックそのものでした。日本においても疫病の流行はありましたが、これほどの広範囲で大量の死者の出る流行はありません。
ただし、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックでは、すでに世界で700万人以上が感染し、35万人以上の方が亡くなっています。今後、人口の少なかった当時のヨーロッパでのペスト流行よりも多くの死者が出るかもしれません。当時のヨーロッパではまだ近代科学の発展前であり、具体的な対策はなく、隔離だけしか方法がなかった時代でした。しかし、科学技術の発展した現代において短期間でこれだけの大量の死者の出る疫病は珍しいと言えるでしょう。
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人口の1/3が死んだ中世のペスト以外にもパンデミックはあった
14世紀中頃のヨーロッパの人口は7千万人でそれが15世紀末には56百万人まで減っています。これはペストの流行によるものです。14百万人が減っているということは、確かに西ヨーロッパに限れば、人口の1/3が減ったと言えるでしょう。一部では75百万人が死んだと書いている人もいますが、それではヨーロッパ全体の人口を超えるので、かなりの誇張になっています。
ヨーロッパのペスト以外でも規模は劣りますが、世界でパンデミックは生じているのです。日本でも、奈良時代の天平の疾病があり、その平癒を願って聖武天皇が奈良の大仏を建立したり、皇后の光明子は国分寺や国分尼寺を全国にたてたりしていました。
中南米では16世紀にスペイン人が持ち込んだ疫病によって原住民の多くが死に、労働力不足からアフリカから黒人を労働力として持ってこざるを得なかったと言われています。
現代のパンデミックにはどのようなものがあるのか
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現代においても、20世紀初頭の1918年から1920年に起こったインフルエンザの一種であるスペイン風邪が大流行し、大量の死者が出たことが記録されています。
21世紀になっても、2002年にSARSコロナウイルス、2009年には新型インフルエンザウイルスなど、コロナウイルスの別種が流行を見せました。
すなわち、歴史的に私たちは多くの疾病との戦いを経験してきているのです。
これだけでなく、エイズや鳥インフルエンザ、エボラ出血熱など、多くの新たな疾病の流行が起きています。
地球には1万種以上の未知のウイルスが存在している
この地球の奥深くには1万種以上のウイルスが存在しており、私たちの人類が遭遇しているウイルスよりも多くのウイルスがいるのです。その中の一部が、火山などの地殻変動やシェールガス掘削などによって地表に現れてきていると言えるでしょう。すべてが生物にとって悪いウイルス、細菌とは言えないものの、新型コロナウイルスが沈静化してもほかのウイルスがまたパンデミックを生じさせる可能性は高いと言えるのです。
パンデミックの怖さとは!ワクチンが追いつかない
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パスツールによってワクチンによる疫病対策ができているといっても、ワクチンの開発には現在の近代科学においても2~3年がかかります。現代のように最新鋭の設備、理論を駆使して世界中で協力して開発しても1年半がかかるのが現状なのです。
また、パスツールによってワクチンによる疫病対策が開発されたとはいえ、20世紀以降を見ても疫病、ウイルスに人類が完全勝利したのは天然痘など一部に限られています。21世紀に流行したSARSやMARSなどのコロナウイルスに対するワクチンもできていません。また、エイズウイルスに対するワクチンもすでに30年以上経過しているにも関わらず、開発は成功していないのです。