室町時代戦国時代日本の歴史

5分でわかる桶狭間の戦い!勝因は何?家康は何してた?特徴をわかりやすく解説

1-5. なぜ義元は信長を叩こうとしたのか

信長が弟と争いを繰り広げる中、今川方の誘いに応じて投降する家臣が増えたことはすでにお伝えしました。これによって織田家の大事な港が今川の脅威にさらされることとなり、織田にとっては死活問題となっていたのです。

ただ、織田方もすぐに反攻に転じました。信長は今川方の手に落ちた鳴海城(なるみじょう/愛知県名古屋市)と大高城(おおたかじょう/愛知県名古屋市)の連絡を断ち切るため、2つの城の周りに鷲津砦(わしづとりで)や丸根砦(まるねとりで)、善照寺砦(ぜんしょうじとりで)など多くの砦を築き、今川方が自由に動けないようにしたのです。

こうした信長の動きを見た義元は、早急に信長を叩くという決断を下したのでした。

2. 桶狭間の戦いへ!10倍の兵力を前にした信長に勝算は?

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大軍勢を率いた義元は、尾張を目指して行軍を始めました。猛獣のターゲットとなったも同然の信長でしたが、そこはやはり織田信長。逃げることなく決戦を挑むこととなります。約10倍もの兵力を前にして、信長はどのように戦いを運んだのでしょうか。また、今川方となっていた徳川家康はどんな行動を取ったのでしょうか。

2-1. 2万5千 VS 2千5百、勝つのはどっち?

永禄3(1560)年5月12日、義元は2万5千もの大軍を率いて、尾張を目指し出発しました。その5日後には、尾張に最も近い今川の最前線の沓掛城(くつかけじょう/愛知県豊明市)へと入城し、臨戦態勢を取ります。

今川出撃の報せを受けた織田陣営では、清洲城(きよすじょう/愛知県清須市))に籠城するか、出撃するかで諸将の意見が真っ二つに分かれていました。というのも、信長の擁する兵力はたった2千5百ほどだったからです。10倍の敵を前に、真っ向勝負を挑むなど無謀以外の何物でもありませんよね。しかも、相手は最強をうたわれる今川義元。戦国時代、こういう局面では籠城するのが当然とされていました。

2-2. 「今川何するものぞ!」出陣を決めた信長の覚悟

そんな中、今川軍が織田の砦に攻撃を仕掛け、織田方が敗れたという報せが舞い込みました。

すると信長は突如として立ち上がり、「人間五十年」のフレーズで有名な「敦盛(あつもり)」の舞を舞うと、出陣を命じたのです。

 

人間五十年、下天(げてん)のうちを比ぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり

一度生を享(う)け、滅せぬもののあるべきか

 

敦盛のフレーズは、この時の信長の心情を代弁していたのかもしれません。

「人間の50年の年月など、天上界にある下天でいえばわずか1日にしか当たらない。一度この世に生れ出て、滅びぬ者などいないのだ…ならば、今こそ運を天に託して一世一代の大事を成し遂げよう!」

そんな風に、信長は思ったのかもしれませんね。

そして、たった5人のみを連れて清洲城を出発した信長は、熱田神宮で戦勝祈願をし、本体と合流すると、今川軍と対決すべく進軍を開始したのでした。

2-3. ところで、徳川家康は何をしていたのか?

ではここで、当時は松平元康(まつだいらもとやす)と名乗っていた徳川家康の動向について見ていきましょう。この記事では「徳川家康」という呼び方で統一しますね。

元服して一人前となったとはいえ、ずっと今川義元の傘下に置かれたままの家康ですから、扱いは今川方の一武将でした。そのため、義元の命令で今川軍の先遣隊に組み込まれ、大高城に兵糧を運び込む役割を果たしていたのです。合戦といえば戦うのが花ではありますが、兵糧を運ぶというのは地味ながらも必要不可欠な役割でした。

しかし、兵糧を運ぶ先の大高城は、すでに信長の軍勢に囲まれており、それを突破する必要がありました。そこで若き家康は、織田方の鷲津砦と丸根砦という2つの砦の間を突破し、無事に兵糧を大高城に運び込むことに成功したのです。

この知らせを聞き、信長は出撃を決断し、先に述べたように敦盛を舞う…ということになるわけですね。

2-4. はっきりとした場所が不明な桶狭間

ところで、桶狭間という場所については、「狭間」ということで崖に挟まれた狭い場所というイメージが沸くものの、「ここ」と特定されたところがまだありません。

名古屋市には地名として「桶狭間」が残っていますが、豊明市にも「桶狭間古戦場伝説地」という場所もあります。ある記録によれば「おけはざま山」というところに今川軍が本隊を置いたとされており、この丘陵地帯一帯に隊が分散し、各場所が戦場となったとも考えられているそうですよ。

とはいえ、こうした地形に一時でも隊を置いたことが、今川軍の大敗を招くこととなるのです。

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