ヨーロッパの歴史

聖書っておもしろい!世界一のベストセラー・旧約聖書と新約聖書をダッシュで解説

聖書の預言の総仕上げ、神の子羊キリストの「十字架刑」

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しかしキリストは次第に追いつめられていきました。2大派閥のパリサイ派と律法学者らはユダヤ総督のピラトに働きかけ、キリストを治安を乱したという罪で処刑することに同意させます。弟子たちは捕り手が来た時に逃げてしまう始末。が、キリストは彼らを最初から最後まで責めませんでした。十字架刑のときキリストは「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(主よ主よ、なぜ私を見捨てたもうたのですか)」と叫び「成し遂げられた」とつぶやきましたが、これは聖書の中の詩篇という聖句を唱えたものです。

今も教会では「神の子羊」とキリストのことを呼びますが、この宿命はイサクが燔祭(生贄の子羊を捧げて神への感謝、賛美を捧げる儀式)をなぞったもの。聖母マリアの処女懐胎はイザヤ書の預言の実現。通しで読むとはっきりとわかりますが、イエス・キリストの存在は旧約聖書の「総仕上げ」でした。その後、使徒パウロが登場。無学同然の他の使徒たちとは違いインテリ行動派のパウロは、伝道旅行と各地へ送った書簡によって、キリスト教会の初期の形を作り上げました。

世界の終末の姿って?聖書の最後に据えられた「ヨハネ黙示録」

黙示録という言葉はみなさんも耳になじみがあるはず。読み方は「もくしろく」。教会への叱責、世界の終わりの姿と最後の審判、そして地獄の存在と天の国の救済が記された書です。聖書のなかで最も不可解で、あつかいが長年議論されている不思議な書でもあります。

筆者は聖ヨハネ。ある日彼はイエス・キリストからの啓示として幻視をします。7人の天使がラッパを吹き鳴らすと、災害が巻き起こり、他にも様々な神の怒りがあらわれて地上は滅亡。しかしその後、神によりすべての人に対して「最後の審判」が行われるのです。悪人は地獄に、善人は天国に昇ること、新しい世界があらわれることが告げられて、黙示録は終わります。

「7つの頭を持った怪物」は浦沢直樹「MONSTER」の象徴としても使用されました。「身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶった女」はカトリックにおいて聖母の守護を願う「不思議のメダイ」というメダルのモチーフとなっています。

天地創造から歴史の領域まで、壮大な物語

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興味を持った方は実際に聖書を読んでみることをオススメします。岩波文庫ほか、ネットでもフリーで読めますよ。本にすると全体で10センチ以上の分厚さになる聖書をダッシュで解説しましたが、宗教だからって堅苦しく考える必要はありませんよ。筆者は断言できます。ただの読み物としても聖書の世界は、おもしろい!

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