ヨーロッパの歴史

聖書っておもしろい!世界一のベストセラー・旧約聖書と新約聖書をダッシュで解説

コレはオススメ!旧約聖書の「読み物」編

image by iStockphoto

旧約聖書というと堅苦しくて歴史の記述が多くて、なんか物騒な内容もあって複雑で……微妙に敬遠されがち。しかしそこは世界史のベストセラー、ただ読んでもおもしろい!書だってあるんです。神様に愚痴ったり怒ったり、はたまたエロスまで?筆者イチオシの旧約聖書の預言書を一挙に3つご紹介。

聖書中でもっともエロい?ソロモン王の「雅歌」

image by iStockphoto

聖書の中の人たちって禁欲的なんでしょ?と思って読み進め「雅歌」に入るとあぜんとします。作ったとされるのはソロモン王。あまりの色っぽさに後の聖職者たちが解釈に困り「キリストと教会の関係を書いている」と考えましたが……さて真相はどうであることやら。

あなたのくちびるは紅の糸のようで、その口は愛らしい。あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。

あなたの首は武器倉のために建てたダビデのやぐらのようだ。その上には一千の盾を掛けつらね、みな勇士の大盾である。

あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかが、ゆりの花の中に草を食べているようだ。

(出典:Wikisource「口語訳聖書 雅歌」より 

たまりませんね。

一番ヘタレな預言者?ヨナの奇跡

はるか後に出現したイエス・キリストはこう言っています。「ヨナのしるしの他になにもあらわれない」ヨナは旧約聖書の預言者です。しかしこの人が、ヘタレ。父なる神から堕落したニネヴェの町(アッシリアの首都)へおもむいて警告を発するべし、という使命を受けたヨナ。怖い!やりたくない!となんと真逆の地中海方面へ逃げてしまいます。すると船は大嵐に見舞われ、神に背いた人間であるという事情を知った船員によってヨナは海へ放り出されてしまいました。

すると大きな魚に呑みこまれます。3日3晩魚の腹の中で過ごして腹をくくったヨナ。陸へ上陸すると必死で「悔い改めよ」と警告します。おかげでニネヴェの地は救われたのでした。しかし使命を終えたのちも神様へぐちをこぼすヨナ。神はヨナを諭すのですが……こんな預言者もいるんですね。ヨナは異邦人であるアッシリアの人びとを救ったという、旧約聖書でも異色の存在です。

なんでこんなひどい目に?神に真正面から訴える!ヨブ記

旧約聖書中、もっとも理不尽で神の愛や恩寵を疑わざるをえない、そして美しく見事なのが「ヨブ記」。神に真正面から批難をぶつけ、信頼していた存在にむけて怒りや憎しみをむき出しにして訴えるヨブ記は、なんの予備知識なく読んでも心を打たれるものです。

神はある日悪魔と賭けをします。完全に神のみこころにかなった正しい生き方をしているヨブが、すべてを失い最悪な目あっても神を信じるか?人間はそんな中でも神を信じるのか?平穏に生きていたヨブは一族がみな死んでしまい、財産をすべて失い、あまつさえ自分の皮膚がただれてふためと見られない病気になってしまったのです。

「私が母の胎に宿った日は呪われろ」とヨブは叫びます。なぜ自分にこんなことが起こるの?悪いことをしたおぼえもない。その上友人たちは「神はまちがったことはしない、お前が悪いことをしたんだろう」責められなければならない……。神は正しいとされているからこそ、怒りを神に真正面からぶつけました。最後に神はヨブを諭し、新しい家族を与え財産を回復させますが……。病気やあらゆる災害、わざわいに苦しむ人にぜひ読んでみてほしい書です。

旧約聖書の預言成就!キリストの教え「新約聖書」へ

image by iStockphoto

おまたせしました。新約聖書に突入です。「キリスト教って?今さら聞けない!教えや歴史、教会の事情までご紹介」の記事でも詳しくご紹介していますが、新約聖書は主に・イエス・キリストの言行録(福音書)・使徒パウロの伝道とお手紙指導による教会の基礎つくり(使徒言行録、パウロ書簡ほか)・黙示録、の3つに分けることができます。旧約聖書の総仕上げ、その内容はいかに。

救世主イエス・キリストの誕生と伝道活動

古代ローマ帝国の支配下にあったイスラエルの地。ナザレという田舎に1人の男の子が生まれ育ちます。大工の息子として生きていた彼の名前はイエス。父なる神すなわちヤハウェから使命を受けます。聖母マリアは父なる神ヤハウェの力でイエス・キリストをみごもったため、キリストの本当のお父さん、天におられる神から「悔い改めよ」と人びとに伝えるべし、と告げられたイエスは行動を開始しました。

先に神から使命をうけて活動していた洗礼者ヨハネから洗礼(水を頭からかぶって清める儀式)の祝福を受けたイエス・キリスト。ここから彼の伝道ははじまったのでした。キリストはそれまでの預言書や改革者とは違います。貧しい人や病人、障がい者によりそいました。差別を受けていた徴税人や娼婦、歴史上対立の関係にあったサマリア人の女にも語りかけました。彼の言うのは「安心しなさい、その人は癒やされた」という言葉。こんなに優しい指導者を人びとは知りませんでした。彼は形骸化した教えを批判し、愛とゆるしを説いて回ったのです。

次のページを読む
1 2 3
Share: