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仏滅の意味が知りたい!縁起が悪い?納車や引越しはOK?

結婚式や引っ越しの日取りなどを決めるとき、不意に「あれ、その日って仏滅じゃなかったっけ?」と手帳やカレンダーに目を向けた経験はありませんか?迷信や占いの一つだろうとまったく気にしない人もいますが、気にする人が多いのも事実です。「仏が滅する」なんて尋常じゃありませんし、気になる人がいてもおかしくありませんよね。現代人をも惑わす「仏滅」の正体を解き明かしてまいりましょう。

そもそも仏滅って何?意外と知らない暦と六曜の世界

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「大安」や「友引」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この2つも仏滅と同じく暦で使われる「六曜」というもののひとつです。仏滅とはいったい何なのか知るためには、まずこの「六曜」というものについて理解しておく必要があります。「六曜」とは何?詳しく見ていきましょう。

日々の吉凶を示す6つのキーワード「六曜」とは?

六曜(ろくよう、りくよう)とは、暦注(暦に記されている情報各種)の一種で、暦の日を6種に分けて吉凶を表したものです。中国の古い時代が起源と言われていますが、いつ頃確立されたか確かなことはわかっていません。

「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の6つを順番に繰り返すのが六曜の基本です。ただし、ただ単純に繰り返されるわけではありません。月初めに何から始まるか定められています。例えば、旧暦の1月と7月は先勝から、2月と8月は友引から……といった具合です。すべて旧暦を使用していた時代の取り決めなので、現代の暦ではズレが生じます。

余談ですが、六曜は時に「六輝(ろっき)」「宿曜(すくよう)」と言い換えることもありますが、すべて同じ意味です。これは「七曜(しちよう)」と混同しないようにするため。ちなみに七曜とは木・火・土・金・水・日・月の7つの天体をもとにした中国の天文学のことです。

六曜を構成する6要素それぞれの意味を解説します。

【先勝】読み方:さきかち・せんかち・せんしょう等
    「先んずればすなわち勝つ」早く済ませるのがよいとされる日。
【友引】読み方:ともびき
    「何事も勝敗がつかない日」または「災いが友に及ぶ日」
【先負】読み方:さきまけ・せんぷ等
    「先んずればすなわち負ける」おとなしくしていたほうがよい日。
【仏滅】読み方:ぶつめつ
    「万事に凶である悪日」「万事に凶」六曜の中で最も凶の日。
【大安】読み方:たいあん・だいあん
    「大いに安し」六曜の中で最も吉の日。
【赤口】読み方:しゃっこう・しゃっく・せきぐち・あかくち等
    正午の前後は吉、それ以外の時間帯は大凶とされる日。

六曜は日本ではいつ頃から広まった?

六曜がいつ頃日本に伝わったのかはっきりしたことはわかっていませんが、鎌倉時代から室町時代にかけてではなかったかと考えらえています。一般の庶民にも文字の読み書きができる者が増えた江戸時代には、様々な文化風習とともに六曜も広く浸透していきました。

しかし、日本に伝わった当初の六曜では、大安と赤口以外は全く別の文字があてがわれていたようです。時代とともに徐々に言い方や考え方が変化していったものと見られています。現在の暦注に見られる「先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口」という文字と順序に落ち着いたのは、江戸後期に差し掛かってからのことです。

明治時代に入ると、明治新政府は欧米列強国と肩を並べるべく、政策のひとつとして旧暦から太陽暦への改暦を行います。その際、6つの繰り返しで吉日凶日を表す六曜は単なる迷信であるとして、明治政府は六曜をはじめとする吉凶表記の禁止を言い渡しました。しかし、このような強硬な政策が庶民の反感を買うことになったせいか、六曜はその後も粛々と言い伝えられ、現在に至ります。

結局、仏滅とはどういう意味?縁起は悪い?

古代中国が発祥と言われていますが詳細は不明、日本に伝わってきたときの詳細も不明と、六曜は謎だらけです。それでも何百年という長い年月、日本の人々に珍重され、大事にされてきました。そのため「仏滅」の由来や意味についてもはっきりしたことはわかっていません。ただ、もともとは「仏」「滅」という文字は使われておらず、仏教とは関係なかったであろうと言われています。

中国の古い時代の書物では、仏滅にあたるものは「空亡」または「虚亡」という文字で表現されていたようです。何もない・勝負なし、という意味だそうで、これが転じて「物滅」となり、仏様の功徳もないという意味に結びついて「仏滅」となったと見られています。

もともとは「何もない日」という意味であり、何百年という長い歳月を経て「仏滅」という字があてられるようになったと考えてよさそうです。

旧暦では、お釈迦様(仏陀)が入滅(亡くなった)した日とされる陰暦2月15日は必ず仏滅でした。そんなことが重なって「仏滅=仏が滅した日=縁起が悪い」と解されるようになったようです。

仏滅は避けたほうがいいこととは?結婚式・お葬式等々

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由来や歴史を見る限りでは、仏滅は仏様が死んだ日ではなく、特に縁起が悪いわけでもなさそうです。しかし仏滅を気にする人が多いのもまた事実、大切な行事の日取りを決めるとき、仏滅かどうか気にするべきでしょうか。現代事情なども織り交ぜながら解説します。

結婚式・銀婚式などお祝い事や入籍は?

もともとの意味をたどれば、仏滅は縁起の悪い日ではありません。六曜の中で最も凶日とされているのは「赤口」です。

しかし長い間「仏」「滅」という2文字があてがわれ、仏様の入滅日と結びついてきた「仏滅」という日に、よい印象を持つ人は少ないでしょう。「六曜は単なる6要素の並びであり、単なる迷信」とほとんどの人が考える現代社会においても、やはり「仏滅」という字面のインパクトは大きいです。明るい未来の門出やおめでたい日に、わざわざ仏滅を選ぶ必要もないだろう、と考える人も多いでしょう。

「縁起が悪い・災難が起きる」という意味ではなく、参列する人・招待客がどう感じるかということを考えると、結婚式や入籍などお祝い事は、仏滅でない日のほうが望ましいと思われます。各結婚式場の事情を見ても、結婚式は大安を望むカップルが多いようです。おそらく、式を挙げる二人の意識というより、ご両親やご親戚、参列客を気遣ってのことではないかと思われます。

ただ、式場やホテルによっては、仏滅割引サービスを行っているところもあるようです。また、大安の日は結婚式場を利用する人が多いので混雑し慌ただしいので、敢えて仏滅を選んで式を挙げるケースもあると聞きます。

結婚式や入籍などお祝い事を仏滅に行うかどうかは、祝福してくださる方々のお気持ちを考えつつ決めるべきでしょう。

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