キーワード3 今見てもオシャレ!モダンな雰囲気が魅力的な「大正ロマン」
最後のキーワードは「大正ロマン」。これまでは少し固めのお話でしたが、ここからは文化についてです。「大正ロマン」は大正時代特有の雰囲気を象徴するワード。これをテーマにした漫画もたくさんありますよね。現代人を惹き付ける「大正ロマン」について、背景も含めて紹介します。
「大正ロマン」の背景には第一次世界大戦があった
「ロマン」という言葉からは、平和なイメージを抱くことと思います。しかし、その平和の背景には第一次世界大戦がありました。第一次世界大戦は1914年から1918年まで。主にヨーロッパで繰り広げられました。連合国側についた日本は戦場となったヨーロッパへ軍需品を輸出。1915年から1920年にかけて、日本は好景気になります。
「大戦景気」によって豊かな国となった日本には、「成金」と呼ばれるお金持ちも生まれました。好景気を背景として工業や都市が発達していき、街にはオシャレな人々が溢れていったのです。
ファッションにも西洋化の流れが
豊かになった都会の街には、「モダンガール・モダンボーイ(モガ・モボ)」が登場。洋服を着たモダンな女性や男性のことを指してこのような名称が生まれます。都会にいる一部の人々を中心とした流行で、奇異の目で見られることも多かったそうですが、彼女らは流行の最先端として注目されました。
山高帽子をかぶって、ステッキを持っていたという「モボ」。そして「モガ」に流行していたのは、それまで一般的だった結い髪とは違うショートボブ。当時はあまりする人のいなかった化粧をし、アッパッパと呼ばれるワンピースなどを着ていました。前述の「職業婦人」が外で仕事をすることで自己実現をしたように、「モガ」たちもオシャレをすることで自分を表現したのです。
文学や芸術の分野で数々の名作が誕生
大正時代にはファッションに限らず、文学や芸術などの文化も盛んになりました。当時出版された雑誌には、『赤い鳥』や『白樺』があります。『赤い鳥』は鈴木三重吉により創刊された児童向けの雑誌で、あの芥川龍之介も作品を載せていました。新見南吉が「ごんぎつね」を発表したのもこの雑誌。鈴木三重吉は子供に対する童話などによる教育の変革を目指していたそうです。『白樺』では武者小路実篤や志賀直哉らが「白樺派」として活躍します。
大正時代にはさまざまな作家が活躍しましたが、大正ロマンの象徴としてよくイメージされるのが竹久夢二。夢二は美人画の画家として有名ですが、それだけでなく浴衣のデザインや文筆業まで幅広く手掛けていました。彼の作品は、大正の魅力を今の時代に伝えてくれます。
短い期間のうちにさまざまな運動や変革が起こった時代
世界では第一次世界大戦が起こっていたものの国内には平和な雰囲気が流れていた大正時代。国民が「より良い政治や生活」を求めた結果、さまざまな運動が起こりました。昭和期に入り戦争は起こってしまいますが、それらの運動があったからこそ、現代の私たちの生活があるとも言えます。文化面においては西洋化が進んで、和洋折衷の独特な魅力が生まれました。大正ロマンをテーマにした作品や展覧会なども豊富にあるので、興味があればぜひ読んだり足を運んだりしてみてくださいね。