日本の歴史

アレもそうなんだ!知れば知るほど面白い「日本語になった外来語」

日本語の中には「外来語」と呼ばれるものがたくさんありますね。中にはすっかり日本に定着して、外来語とは知らず無意識に使っているお馴染みの単語も多々あります。そこで今回は「日本語になった外来語」をテーマに、外来語とはどういうものなのか詳しく考えていきたいと思います。

日本語は奥が深い!そもそも外来語とは何なのか?

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アイドリング、アクセス、アメニティー、アセスメント、アカウント、アジェンダ……。日頃よく耳にするニュースの中にも、外来語がたくさん含まれています。純粋な日本語で表現するより知的でかっこよく聞こえるものも多いので、意識して使っている場合も多いですが、そもそも外来語とはどういうものなのでしょうか。

外来語が誕生した理由とは

外来語とは別名「借用語」とも呼ばれており、他国の言語から借りる形で自国語として使われるようになった単語や言い回しのことをいいます。時代にもよりますが、概ね、欧米諸国から新しい品物や文化が入ってきたときに、その国の呼び方の語彙を真似て誕生したケースが多いようです。

例えば「カステラ」。ご存知の通り、室町時代の末期頃にポルトガルの宣教師たちによって長崎に伝えられたとされる甘いお菓子です。

カステラの語源については諸説ありますが、ポルトガル人の語彙によるものという説が有力。卵、小麦粉、砂糖を原料としたお菓子はそれまでの日本にはなかったため、当時の日本人がポルトガル人の「Castella」という単語の発音を耳で聞き取って「かすていら」と呼ぶようになったといわれています。「Castella」とはスペイン北部に11世紀から18世紀頃まであったカスティーリャ(Castilla)王国のこと。日本人から「このお菓子は何というお菓子?」と尋ねられてポルトガル人が「カスティーリャのお菓子だよ」と答えたところから、このような名前がついたのだそうです。

このように、それまで日本になかった物や文化に「外国語の発音から拝借して付けた」ものを外来語と呼びます。日本にはカタカナという、外国の単語を表現する便利なものがありますが、先のカステラなどは「粕停羅」「加須底羅」など漢字をあてて表記することもありました。

外来語とカタカナ語の違いは?

外来語という呼び方の他に「カタカナ語」と表現することもありますが、この二つには明確な線引きはないようです。外来語=カタカナ語と考えることも多いですが、江戸時代以前に入ってきてすっかり日本語に溶け込んでいるものだけを外来語と呼ぶこともあります。

室町時代までの日本には、キリスト教布教目的でポルトガル人の宣教師が多く訪れていました。そのため、ポルトガル語由来の外来語は現在でもたくさん残っています。

その後、日本は鎖国を開始。唯一、長崎の出島を拠点として交易が続いていたオランダと中国との間ではやり取りがありましたが、江戸時代には、海外から言葉が入ってくることはほとんどなくなりました。

明治時代以降、鎖国を解いた日本には欧米文化が一挙に押し寄せてきました。日本政府も、欧米諸国に追いつけ追い越せと、品物だけでなく法律や制度、文化など様々なものを海外から取り寄せます。特に、当時の日本がお手本としていたイギリス、ドイツ、フランスの言葉が一気に増えるのです。外来語の目的にも徐々に変化が見られます。単なる借用語だけでなく、目標とする欧米諸国を真似てイメージアップをはかる意味合いも含むようになっていったのです。

この傾向は現代でもよく見られます。「催し物」より「イベント」のほうが内容が充実していそうな印象を受けるし、「順位」より「ランキング」のほうがインパクトがありそうです。「影響」より「インパクト」のほうが……。とにかく、代用ではなく、よりよい印象を得るためにあえて外来語を使うことが当たり前になりつつある現代。「外来語」という区別をつける必要もなくなってきているのかもしれません。

外来語と和製英語の違いは?

話は少し横道にそれますが、海外から入ってきた言葉の一種に「和製英語」という分類があります。これは、様々な経緯から、英語圏の単語や文章をもとにしてできた日本独自の造語のことです。外来語と和製英語は異なるもの、と線引きすることも多いですが、海外から入ってきた言葉が元になっていることを考えれば、外来語のひとつと考えてもよいかもしれません。

例えば「コンセント」。日本だと、家電製品などを使用するときのための差込口のことですが、イギリス英語では「ソケット」、アメリカ英語では「アウトレット」といい、欧米で「コンセント」と言ってもおそらくは通じません。「コンセント」とは日本に電気配線設備の技術が広まったときに作られた造語であると考えられています。

欧米で通じない造語だとわかっていても、すでに定着している「コンセント」という言葉を修正するのは難しいでしょう。他にも「オードブル」「ダンボール」「レンジ」「シール」など、もともとは海外から入ってきたはずなのに、元の国とは異なる表現になった単語がたくさんあるのです。

また、和製英語の中には「サラリーマン」や「パソコン」など、略しているうちに独特の呼び方になっていった単語もあります。使っていくうちに呼びやすいように変化していった言葉も多いのです。

日本語になった外来語にはどんなものがある?

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インターネット上の様々な用語も、英語圏の用語をカタカナでそのまま使うことが多いですね。現代社会での外来語の割合は、圧倒的に英語が多いと思いますが、他にも、日本語になったものがたくさんあるんです。そこで今回は、英語圏以外の国々にまつわる外来語をご紹介いたします。

カステラ、天ぷら、パン…日本語になったポルトガル語

15世紀半ば頃、ヨーロッパではポルトガルとスペインが主導となり、ヨーロッパ大陸から外洋へ出てアフリカ、アジア、アメリカ大陸を目指す航海が行われるようになっていました。いわゆる「大航海時代」の幕開けです。後にオランダやイギリスも数多くの船を世に送り出しますが、初めはポルトガルとスペインがしのぎを削っていました。

1543年、ポルトガル船が種子島に漂着し、その時日本に鉄砲が伝わります。それを機に、日本はポルトガル人を通じて、今まで見たことのない様々な文化と出会うことになったのです。

カステラの例は先ほど述べましたが、他にもこの時代に伝わったとされる言葉がたくさん残っています。

パンは、ポルトガル語の「pao」(スペイン語の「pan」が元であるとも)が語源。雨の日に着るレインコートを意味するカッパ(合羽)も、ポルトガル人が着ていた外套「capa」が元になっています。

16世紀後半になると、キリスト教の布教を目的としたポルトガル宣教師たちがこぞって来日。キリスト教とともに様々な品物や文化をもたらします。このとき持ち込まれたものの多くは、ポルトガル人の発音を名称として採用。そのため、ポルトガル由来の外来語は現在でもたくさん使われています。

【ポルトガル語から日本語になったとされる外来語】
バッテラ、ボタン、カッパ(合羽)、カステラ、パン、タバコ、天ぷら、おんぶ、ブランコ、ビスケット、カルタ(歌留多)、コップ、じょうろ、オルガン、ベランダ 等

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