スペイン無敵艦隊とルネサンス
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16世紀後半にスペインのフェリペ2世のもとで現れた艦隊は、当時の大航海時代によって開かれた世界の海を席巻し、無敵艦隊と呼ばれ、スペインの全盛期をもたらしました。このスペインの無敵艦隊をもたらしたのは、ルネサンスの自由の気風と三大発明が背景にあったといえます。
スペインのフェリペ2世は、このヨーロッパにもたらされたルネサンスの発明を使って欧州最強海軍を作り上げたといえました。
スペインの無敵艦隊出現の背景
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スペインの無敵艦隊が出現した背景にあったルネサンスと、その三大発明について見てみましょう。
ヨーロッパの15世紀におけるルネサンスでは、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの芸術家が活躍してギリシアの自由な気風を取り戻そうとしていました。しかし、同時にこのルネサンスのなかでは特筆すべき3つの大発明がおこなわれていたのです。活版印刷技術、火薬、それに羅針盤でした。活版印刷技術は宗教革命につながり、火薬は大砲、銃などに使われて戦争の仕方が大きく変わったのです。そして、羅針盤は船による長距離航海を可能にしました。
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羅針盤による長距離航海が可能になった
それまでの、船による航海は常に陸地に沿っておこなわなければならず、長距離の航海は不可能といわれていました。しかし、羅針盤ができ、常にどの向きに船が進んでいるのかがわかるようになると、欧州各国の船団は陸地を離れて大西洋に漕ぎ出すことが可能になったのです。
この当時のヨーロッパでは、香辛料や陶磁器などアジアの特産品が求められていました。しかし、当時、アジアへのシルクロードはイスラム勢力、とくにオスマン帝国に抑えられて彼らに多額のお金を払わないとそれらの商品は手に入らなかったのです。そのため、アジアと直接交易をするための別の道が求められていました。
陸路はイスラム勢力に抑えられていたため、残る道の開拓は海路しかなかったのです。そこに登場したのが羅針盤でした。常に同じ向きを指し示す羅針盤があれば、陸地から遠く離れても方角を確認することが可能だったのです。古代のギリシャなどでは星(北極星)や星座によって船の位置や向かっている方角を知る航海術がありました。しかし、それらはキリスト教社会が定着したヨーロッパでは忘れ去られていたのです。しかも、星や星座による方法は夜に限られます。そのため、昼間は陸地から離れてしまうと、自分の船がどこにいるのか、どこに向かっているのかわからなかったのです。
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羅針盤の成果としての大航海時代
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羅針盤ができると、バスコ・ダ・ガマがアフリカ最南端の希望岬を経由してインド航路を開拓しました。さらに、コロンブスは大西洋を横切って東インド諸島(アメリカ大陸)を発見し、さらにマゼランは船によって西周りでの世界一周航路を発見します。バスコ・ダ・ガマは生まれも所属もポルトガルでした。しかし、マゼラン、コロンブスは出身地はポルトガル、イタリア(詳細は不明)ではあるものの、両者ともスペイン国王の命令によって航海を成功させたのです。マゼランの場合には彼自身は航海途中に死去しましたが部下がスペインに帰還して世界一周を実現しています。
そして、このスペイン国王による積極的な新航路開拓は、大航海時代といわれて、ヨーロッパの国が世界に進出して、植民地を獲得するきっかけとなっていったのです。コロンブスが援助を受けたイサベル女王は有名ですね。
当初は、アジアへの新しい海のシルクロードの開拓が目的でしたが、アジア以外に存在する南北アメリカ大陸、太平洋、オーストラリア大陸などの発見につながっていきました。シルクロード以上にヨーロッパの商圏は大きく広がっていったのです。
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