韓国との領土問題である竹島は棚上げされた
日本は、朝鮮半島における領土を放棄し、朝鮮の独立を承認するとともに、その周辺の済州島、巨文島、欝陵島を放棄しています。ただし、現在でも日韓の問題になっている竹島については、交渉の過程で2転、3転した上で、批准書には何も書かれずに終わっていました。
後の1965年に交わされた日韓基本条約においても、竹島については交渉は物別れに終わり、両国ともにその領有権を主張することになっているのです。
サンフランシスコ平和条約は日本にとって最善だったのか?
今から考えれば、サンフランシスコ平和条約は日本にとって最善のものであったのかどうかはわかりません。この条約を結ぶために日米安全保障条約が交わされ、この条約は改定があったものの、米軍は現在も日本の国防を担っているのです。しかも、改定の際に岸信介内閣は、相互防衛主義に切り替えてしまったため、軍事同盟化して未だに日本には戦争の危険性が残っています。
本来は東西冷戦の終わった1989年に関係見直しがおこなわれるべきだった
もともとの日米安全保障条約は、共産主義国家からの西側諸国の防波堤になることを前提として調印されたものでした。そのため、1989年にマルタ会談でアメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長との間で東西冷戦の終結宣言が出された時点で、見直されるべきものだったのです。
しかし、日本もアメリカも条約を見直しせずに現在に至っています。条約というものは、第一次世界大戦までの日英同盟を見ても環境が変われば、条約そのものは存在意義がなくなり、日ソ不可侵条約のように一方的に破棄されるものです。
いつまでも条約にこだわり、依存するのは非常に危険なことといえます。アメリカはすでに世界の警察官の役割を果たせる国ではなくなっているのです。とくにトランプ大統領のように一方的な主張を繰り広げる人物が大統領になっているだけに、その危険性は高まっているといえます。
日本はサンフランシスコ平和条約によって将来を決められたのか?
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サンフランシスコ平和条約は日本が占領下にあり、独立国ではなかっただけに、やむを得ない条約締結でした。しかし、今の日本は独立国家であり、東西冷戦も終わっており、国の将来は自分たちの意思で決める必要があります。いつまでも、サンフランシスコ平和条約の枠組みにとらわれる必要はないのです。今回の新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界の不安定さを明確にしています。私たちは、今一度日本の将来について真剣に考えてみる必要があるのではないでしょうか。