室町時代戦国時代日本の歴史

「刀狩り」とは?秀吉の専売特許ではなかった?本当の刀狩りの歴史を解説

明治維新で徹底された刀狩り

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幕末から明治維新には今までの規制は関係なく、武士だけではなく町人・農民にいたるまで身分に関係なく国を憂い武器を持って戦いました。しかしそれが終わって、世界に向けて日本は近代化を進めていきます。そこで行われたのは、武士も含めての刀狩りともいえる「廃刀令」ですね。

廃刀令という徹底的な刀狩り

まだ戊辰戦争の傷跡が残る明治2年(1869)に、「廃刀案」が公議所(明治初期の立法府)に提議されました。外交官の「森有礼」という人ですよ。欧米諸国に早く追いつくためでしょうが、時期的に早すぎるということで否決されましたよ。しかし明治政府に対しての武士達の不満がつのり色々といさかいが激化してするにつれて「武器を取り上げなければ」という意見が政府高官の中で大きくなっていきました。

明治4年(1871)8月9日、「散髪脱刀令」を布告。いきなり「帯刀禁止」というと反発が凄いだろうと「髪型は髷(まげ)を結わずに自由にしていいですよ。華族(公家や元藩主など)や士族(武士)は帯刀しなくてもいいですよ」という、とりあえず一石を投げたというものですね。明治天皇が率先して散髪をしてくれたので、次々と散髪は広がっていきました。

明治6年(1873)に陸軍が「徴兵令」を布告したことによって「武士はもう必要ない」ということで、明治9年(1876)3月28日に「廃刀令」が布告されることになりました。これは身分も取り上げられた上に「武士の魂」まで取り上げられるということで、各地で反乱がおきて「西南戦争」という大戦争にまで発展していきます。しかしこれは帯刀を禁止しただけで没収などはされず軍人・警察官・官吏などが制服着用の時だけ身分を示すものとして帯刀を許されたものだったのですよ。銃に関しては「銃砲取締規則」ができて許可があれば持つことが許されたのですね。

第二次世界大戦敗戦後から現在まで

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完全に銃刀の所持が禁止されたのは、太平洋戦争の終了後の「連合国軍最高司令官総司令部」の占領政策でした。昭和21年(1946)に「銃砲等所持禁止令」が施行されたのです。これは狩猟用・射撃競技用以外の銃器類の所持の禁止、美術用以外の日本刀を所持を禁止というものですね。これで300万もの刀剣が没収されたとあり、中には占領軍を恐れてやみくもに出された名刀も多く含まれたり、所有者が没収されるのを恐れて壊してしまったり、隠匿して腐らせた者もあったそうですよ。『刀剣乱舞』の刀剣男子で行方不明となっている刀が含まれていると思いますね。

現在も「銃砲刀剣類所持等取締法」によって許可・登録が義務付けられていて、たまに隠れて持っていた人が逮捕されていますよ。平成11年の統計では刀は231万2千本・銃器は6万8千挺だそうです。

刀狩りは現在まで何度もあった

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鎌倉時代からはじまった刀狩りですが、太平洋戦争前には平均して3軒に1軒は刀を所有していた計算になっていて、刀狩りは実は武装解除ではなかったということがわかりますね。そうなると、今までとんでもない疑惑を豊臣秀吉にかぶせていたことがわかったのでした。今でも疑っていない人は多いですので、ちょっと気の毒ですね。

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紫蘭