日本の歴史江戸時代

『南総里見八犬伝』をわかりやすく解説!江戸時代の文豪「滝沢馬琴」が28年情熱を傾けた長編小説

犬坂毛野胤智(いぬさかけのたねとも)

八犬士一の美貌の持ち主です。信乃と同じく、幼いころは女装で育てられます。八犬士と知るのは、8人の中で最後です。一人で行動するのを好む、一匹狼的な存在。

父の非業の死を知らされ、15歳のときに対牛楼のあだ討ちで、見事に馬加大記を見事に討ちました。小文吾を通して語られる仇討のシーンは、様子を想像するのも毛野の面白さかも。後半では、不在だった親兵衛を除く6犬士の推挙により、里見軍の軍師となり活躍します。洲崎沖海戦で指揮を取り、勝利へ導く勇姿もみもの。

智…物事の是非を判断。

犬山道節忠与(いぬやまどうせつ だとも)

武州豊嶋郡の豪族練馬倍盛家老犬山道策貞与の長男として誕生しました。父の側室に、母と共に毒殺されるも、墓の中から生き返ります。池袋の合戦で出陣するも、父を始め豊嶋一族が滅亡しました。火遁の術を使う忍者で、その術で軍資金を集め、村雨丸をすり替えた網乾左母二郎夫婦から取り戻し信乃に返すなどの活躍をします。

忠…主君に忠実に尽くす心。

犬飼現八信道(いぬかいげんぱちのぶみち)

信乃が偽の村雨丸を成氏に返上したとき誰も捕えることができず、牢にいた武芸百般免許皆伝の捕り者と拳法の名手で家臣の「見八」が借り出され信乃と戦います。後に、見八から現八に改名。荒芽山で4人の犬士たちと分かれた2年後に、下野庚申山での化け山猫退治で、大角と共に偽赤岩一角を倒します。

信…欺かない。誠実で正直者であること。

犬塚信乃戌孝(いぬづかしのもりたか)

読者が最初に出会う、八犬士です。戊戌の日に、武州大塚村に生まれます。信乃という名は、男子に女子の名前を付けると健やかで長命に育つとの言い伝えから。2人の兄を亡くし、健康な子に育ってほしいという親の願いからです。

父番作が君主より預かった名刀村雨丸を、主君の弟にあたる滸我公方足利成氏に返上するよう託し切腹して果てます。しかし、養父母に謀られ偽物を返上し、命を狙われたのです。八犬伝で一番の名場面「滸我城の芳流閣(芳流閣の決闘)」で、現八と決闘し屋根から落ち行徳に流れ着き、小文吾と親兵衛、丶大法師と出会い、珠と痣に込められた宿縁を知ります。

孝…父母を大切にしてよく仕える。

犬田小文吾悌順(いぬたこぶんごやすより)

犬江親兵衛の伯父にあたり、現八の弟分という設定の、相撲が得意な大男です。猛牛を取り押さえ、小文吾の怪力を見た闘牛の牛力士たちが度肝を抜いた活躍も必見!

悌…年長者には従順。年少者には慈悲を持って接する。

玉梓(たまずさ)

義実も惑わす絶世の美女ですが、彼女が里見家に掛けた呪が『八犬伝』の幕開けとなる、キーパーソン的な存在です。義実や八郎らに処刑され、執念深く里見家を呪います。八郎や義実の娘伏姫を自決させ、最期の復讐は妖術を操る比丘尼妙椿になり里見家を窮地に陥れるも、親兵衛によって退治され失敗。里見家に平和が訪れました。

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