5分でわかる『ロビンソン・クルーソー』あらすじや名言などわかりやすく解説
3-4.作家としての成功と晩年
59歳で『ロビンソン・クルーソー』を、その続編『ロビンソン・クルーソーのその後の冒険』を続けて出版。60歳で『ロビンソン・クルーソー反省録』を書き、ロビンソン・クルーソーの三部作を完成させています。その後も、『ジャック大佐』や、『ペスト』、『イギリス通商案』など、さまざまな本を出版しました。今回は、第一部の『ロビンソン・クルーソー』をご紹介しますが、できれば第三部作をセットで読んで、デフォーの人生論を読み解いてはいかがでしょう。
68歳の時に、先ほどお話した大口投資の失敗の借金問題で、裁判で争うも敗訴。70歳の時に自宅から突如として失踪し、71歳の時にロンドンクリップゲート地区の下宿屋で老衰により孤独死します。その後、バンヒルフィールズにある墓地に、埋葬されました。
4.デフォーとスウィフト
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英文学史の中でも、ダニエル・デフォーとジョナサン・スウィフトの2人は、なんだかんだと比較されることが多いのです。大きく違うのが、非国教徒プロテスタントを信仰するデフォーは、大学に行けませんでした。一方、アイルランドの移民の子で聖職者が本業のスウィフトは、大学を卒業しておりデフォーをバカにしていたとか。
4-1.実は多かった共通点
18世紀英文学のさきがけとなった2人を、対比してみましょう。英文学においては、高い見識を持ちイギリスの諷刺文学の伝統上にあるとの評価をされたスウィフトが選ばれており、労働小説の汗臭さを感じると批判されたデフォーは出遅れています。日本でも、夏目漱石がスウィフトに良い評価をくだしてから、彼の方が優位にたっているとか。
文学評価で負けているデフォーですが、経済学の分野では著作数も多く評価においても、スウィフトを追い抜いています。同時期にオックスフォード伯のお抱え文人だったこともありますが、宗教や政治的に2人が平和促進の論陣を張っていたことも比較される要因かも。
また、デフォーが1719年に『ロビンソン・クルーソー』を、スウィフトは1726年に『ガリヴァ―旅行記』を出版しています。この冒険物語の2作品は、作家が共に59歳の時に出版しているんですよ!本当に共通点が多く、比べられる理由も分かるかも。
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私は1632年ヨーク市に生まれた。家庭は裕福であったが、土地のものではなく、父はブレーメン生まれの外国人で、最初はハルに住んでいた。貿易で相当の財産を作ったあとは商売をやめてヨークに住み、そこで、私の母と結婚した。母の一家はロビンソンといい、その土地の相当よい家柄であった。そうしたわけで私はロビンソン・クロイツネルと呼ばれた。だがイギリスでよくある訛のせいで、今では「クルーソー」と呼ばれるだけではなく、自分たちもそう称し、そう署名するようになっており、友達仲間もみんな私をいつもそう呼んでいるのである。
6.『ロビンソン・クルーソー』のおすすめの日本語訳本
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ロビンソン・クルーソーは、誰もが一度は読んだことのある名作です。生きるか死ぬかという過酷な現実に直面した設定は、いかにもデフォーの小説らしさが前面に現れています。それでは、何冊もある『ロビンソン・クルーソー』の日本語訳からおすすめの本をご紹介します。
#1 岩波文庫
英文学の翻訳家で第一人者とされる「平井正穂(ひらい まさお)」氏が全訳した本です。上巻と下巻の2冊で構成されており下巻に解説があり、ちょっと古いものですが読み応えがあります。地図や挿絵がないのがちょっぴり残念。
ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)
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