5分でわかる『ロビンソン・クルーソー』あらすじや名言などわかりやすく解説
- 1.「ロビンソン・クルーソー」のあらすじ
- 1-1.家出の報い?無人島生活の始まり
- 1-2.無人島生活の基盤を作る
- 1-3.神に救いを求める孤独な日々
- 1-4.無人島からやっと脱出するクルーソーたち
- 2.『ロビンソン・クルーソー』とは?
- 2-1.ベストセラーとなった『ロビンソン・クルーソー』
- 2-2.イギリス初の小説
- 2-3. 簡潔で読みやすい構成
- 2-4.主人公のモデルは海賊だった?
- 3.ダニエル・デフォーってどんな人?
- 3-1.若き頃のデフォー
- 3-2.罪人からの脱出
- 3-3.政治活動での苦難
- 3-4.作家としての成功と晩年
- 4.デフォーとスウィフト
- 4-1.実は多かった共通点
- 5.『ロビンソン・クルーソー』の書き出し文
- 6.『ロビンソン・クルーソー』のおすすめの日本語訳本
- #1 岩波文庫
- #2 光文社古典新訳文庫
- #3 河出文庫
- 人生の終盤にかかれた『ロビンソン・クルーソー』は、デフォー自身の集大成といえるのではないでしょうか?
この記事の目次
1.「ロビンソン・クルーソー」のあらすじ
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漂着した無人島を、故国イギリスのような地に作り上げたいと苦悩する、28年2ヶ月19日の様子が描かれています。冒険物として読むのが一番ですが、クルーソーを経済人として読めるのも魅力でしょう。近代化が進んでいたイギリス社会において、クルーソーが必死に生きる姿が理想的と、当時の人々に上手く受け入れられたとも考えられます。それでは、あらすじをお話ししましょう。
1-1.家出の報い?無人島生活の始まり
小さなころから放浪癖があったロビンソン・クルーソーは、船乗りに憧れていました。中流の身分がいかに幸福かを両親が諭すも衝突し家をでます。船乗りになるも嵐に遭遇し難破寸前で救助され、もうまっぴらだと家に帰ることを考えるも再び、アフリカ行きの船に乗るのです。しかし、海賊に襲われ囚われの身になり、モロッコの港町で約2年間もムーア人の奴隷とされます。
かろうじて脱出に成功し、ブラジルに上陸。ここで農園経営に成功するも、ブラジルに来て4年後に、懲りずにアフリカへ奴隷を求める航海にでます。またまた船が難破しますが、27歳の彼は運よく独り無人島に漂着しました。辿り着いたのは、ベネズエラオリノコ川沖、トリニダード南東のカリブ海に浮かぶ架空の島です。
1-2.無人島生活の基盤を作る
この漂着は、クルーソーの28年にも及ぶ、絶望の人生の幕開けだったのです。この時彼が持っていたものは、1本の小刀とパイプ。そして、ほんのわずかなタバコだけでした。彼の強運は続いており、沖合の座礁船を見つけ船内には彼にとって必要な物資がたくさんあり、命と心の支えになりました。
無人島でまず島内の探検をして、真水と食料を確保します。テントや錨綱を使い住居を建て、貯蔵庫には狩りや農園で作った食料などを保存しました。前向きに働き創意工夫により、生活の基盤を整え着実に前進させます。
忠実な伴侶となる犬をはじめ、オウムや海鳥、野生の羊も飼いました。気晴らしにオウムに、言葉を教えることもしています。原始的生活ながら、この生活に幸せすら感じるようになっていました。「おこり」という熱病にかかったときは、心の中で神に祈りを捧げる内に奇跡的に回復します。孤独と恐怖に震えながらも生き抜くのです。
ちょっと雑学
ロビンソン・クルーソーを読んでいて面白いのは、繊細に書かれた描写です。空想的な冒険物語ではなく、現実感と臨場感を得られるため、物語の中に吸い込まれ疑似体験している気分にさせてくれます。
無人島での生活の中で幸せと不幸の貸借票を作り、幸せの方が大きいことを確認し前向きに生きることを選んだところや、座礁船から物資を拝借するシーンでは、チーズなどの食べ物から武器まで、種類や数量まで事細かく書き残しています。
1-3.神に救いを求める孤独な日々
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孤独と戦い神に話しかけ、座礁船にあった聖書を読み心の安らぎを得ました。病に侵された後に信仰心に目覚めます。しかし、神にすがり感謝する自分を偽善者と感じるなど、精神的に追い込まれたことも悉に見えるのです。
10年後に若者に食人の儀式をしているところを発見します。命がけで救ってくれたクルーソーに、彼は忠誠を誓うのです。クルーソーは、助けた日の金曜日に因み、フライディ(Friday)との名前を付けました。フライディにキリストの教えを説くと共に、クルーソー自身の信仰も強くゆるぎないものになります。
更に3年の月日が過ぎ、肉食人種のスペイン人捕虜と蛮人を発見。救った2人の内、一人がフライディの父だったのです。他の島に残るスペイン人を呼ぶため、フライディの父を一端島へ戻します。
1-4.無人島からやっと脱出するクルーソーたち
月日が経ち、無人島に一隻のイギリス船がやってきます。船内で反乱が起きており、実権を握った反逆者が、船長を島に置き去りにし船を乗っ取ろうとしていました。クルーソーたちは船長たちを助け、反逆者から船を奪い故郷へと帰るのです。
これで、28年と2ヶ月19日にも及ぶ無人島での生活にピリオドが打たれました。出身地のヨーク市を訪れるも、両親は亡くなっていたのです。彼も死んだものとされており、遺産もなく途方にくれます。でも、昔の仲間たちに助けられ、また以前経営していたブラジル農園の権利を取り戻せたことから大金持ちになりました。更に家庭を持ちますが、妻の死後に放浪癖から、甥の船に乗ってまた冒険の旅にでるのです。
2.『ロビンソン・クルーソー』とは?
この物語は、自然な語り口で物語に入り込みやすく、読者が主人公に感情移入できるエッセンスが散りばめられています。無人島での孤独と絶望感だけでなく、次に何が起こるかハラハラドキドキさせられること請け合いです。それでは、『ロビンソン・クルーソー』の魅力をご紹介します。
2-1.ベストセラーとなった『ロビンソン・クルーソー』
『ロビンソン・クルーソー』は、実に長い名前で『ロビンソン・クルーソーの生涯と不思議な冒険(正式名称:ヨークの船乗りロビンソン・クルーソーの障害と奇妙で驚くべき冒険)』と呼ばれています。デフォーがこの小説をいつ書いたのか分かっていませんが、1719年4月に初版本が出版されると、売り切れ続出の大好評でした。翌5月9日に再販され、6月6日には更に増版されます。八折判で5シリングという良心的な価格で、航海記の流行が追い風となり、ベストセラーになったようです。
デフォーは、執筆活動で好調な作品の続編を出版する傾向があり、3ヶ月後には第二部の『ロビンソン・クルーソーのさらなる冒険』を出版。更に1920年8月には、あまり有名ではありませんが、第三部『ロビンソン・クルーソーの障害と不思議な冒険の真面目な省察』を出版しています。デフォーは、第三部を続編というより、単体で読んで欲しかったようです。