小説・童話あらすじ

3分でわかる『星の王子さま』あらすじや結末・名言をわかりやすく解説

心にぽっかりと穴が開いてしまったときにおすすめの一冊が、サン=テグジュペリ著の『星の王子さま』です。パイロットだったフランス人の作家が描く、小難しさも盛り込んだ哲学的な童話。大人になったからこそ気づける、大切なエッセンスが織り込まれています。飛行艇乗りを描いた映画『紅の豚』の監督宮崎駿氏は、無類のサン=テグジュペリ好きだとか。世界中の人々が愛する永遠のベストセラー『星の王子さま』を徹底解説します。

1.『星の王子さま』のあらすじ

image by iStockphoto

王子さまが自分の星から旅にでて、訪れた星は7つ。地球以外の6つの星は、大人が陥りやすい問題点を表しています。更に、物語のキーポイントを語っているのは、最後の星「地球」で出会う「キツネ」です。『星の王子さま』とは、いったいどんな作品なんでしょう。『星の王子さま』の登場人物とあらすじをご紹介します。

登場人物

ぼく-パイロット(語り手)

王子-サハラ砂漠でぼくと出会った小さな男の子

王(最初の星)-白貂の毛皮をまとった威張りん坊

自惚れ屋(二番目の星)-自分への褒め言葉しか耳に入らない

飲み助(三番目の星)-恥ずかしさを忘れるために酒を飲み続ける

実業家(四番目の星)-仕事命で星の所有権を主張

点燈夫(五番目の星)-昔の命令を今も忠実に実行する

地理学者(六番目の星)-実物を見たことがないが地理に没頭

キツネ(地球)-キーワードを語る耳の長いキツネ(フェネック)

毒ヘビ(地球)-地球で王子を出迎え、1年後の同日に旅の終止符を打つ

1-1.王子さまが旅に出る目的とは?

物語の最初には、子供が体験する大人への失望感が描かれています。「ぼく」が操縦する飛行機が故障し、人の住む地域から1000マイルも離れたサハラ砂漠に不時着したとき、本当のことしか知りたがらない「王子さま」と出会い10日間に及ぶ物語が始まるのです。

王子さまは、自分の星に咲き一生懸命育てた一輪の「バラ」と喧嘩をしてしまい、その言葉に傷つき星を出ていきます。最後の星地球にたどり着くまで6つの星(小惑星)を渡り歩くことになったのでした。そして、本当に大切なものに気付くのです。

1-2.6つの星で学ぶ学習とは?

1番目の星にいた大人は、権威にしがみつく一人ぼっちの「王様」です。王子さまをやっとできたたった一人の家来と喜ぶも、「権威の自己確認をするための意味のない命令」ばかりをする王様。それにうんざりした王子さまは、星を去るのです。

次に、他人は全て自分のファンという「自惚れ屋」、飲んだくれの自暴自棄男「飲み助」、実は役立たず?の「実業屋」、自分の任務を果たすのに懸命な「点燈夫」、「儚い」という言葉を教わり地球へ行くよう勧める「地理学者のおじいさん」との出会いから様々なことを学びながら、最後の星地球へと辿り着きます。

 

El Principín 02.jpg
Tefita228投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

諷刺物語としての面白さを含んでいることを「学びの旅」の中で感じられるのです。実は、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』の島巡りを、宇宙空間の小惑星に置き換え壮大なロマンへと変化させています。この学びの旅の中では、仕事を見つけ、知識を得ることの大切さを教えられるのです。各星で出会う大人たちが、何を象徴するかを考えながら読むのも面白さでしょう。

1-3.王子さまが地球で学ぶ大切なものとは?

王子さまは地球で、キツネとヘビに出会います。ヘビは人間に会いたいと友を欲する王子さまに、「人間と友達になっても寂しいよ。」と語り、もし自分の星に帰りたかったら協力すると約束して別れました。

Kenia Garcia.jpg
By Louisela25投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link

次の出会いは、物語のキーワードを話すキツネ。「友達になることは、絆を深めることで、特別な存在になるということだ。」と教えてくれます。その時、自分の星に咲いた一輪のバラが、どれだけ大切な存在だったかと気づかされました。更に、キツネにたいせつなものは、目には見えない”という、この物語の主題を教わるのです。やっと友達になれたキツネともお別れをし「ぼく」と出会いました。パイロットで語り手のぼくとの関わり方は、サン=テグジュペリが人生で感じた悲壮感を著しています。

二人はカラカラの喉を癒す水を求めて砂漠を歩き井戸を見つけました。「ヘビに噛まれることで重たい体と離れて、やっと自分の星に帰ることができる」と語った王子さま。喧嘩別れしたバラとの約束を思い出し、目に見えない大切なものに気が付いた王子さまは、パイロットが見守る中自分の星へと帰って行きました。

ちょっと雑学

王子さまが育てる気高いバラは、著者の妻コンスエロがモデルといわれています。彼女は美人ですが自由奔放で、夫婦の関係は破綻していたようです。バラと物語に登場するバオバブの木は、実生活で感じていた脅威を象徴したものだとか。

この本が書かれたころは、第二次世界大戦中でした。王子さまの小さな星を成長して奪おうとする3本のバオバブの木は、「ドイツ・イタリア・日本」を表しているといわれています。著者が書いた挿絵の、巨大な3本のバオバブの木を見れば、当時の3国がどれほど脅威だったかを想像できるでしょう。

次のページを読む
1 2 3 4
Share: