3分でわかる『星の王子さま』あらすじや結末・名言をわかりやすく解説
3-1.人気の理由は挿絵にあり
挿絵を作者自身が描くことはめったにありませんが、著者自身が書いた水彩画を用いていることはこの本の魅力の一つでしょう。編集にまで注意を払って執筆していたサン=テグジュペリらしく、シンプルですが温かみのある下絵が数多く残っています。彼は更に挿絵の大きさや位置、配色や付ける文章まで自分で決めていたとか。
提出された原稿は修正がほとんどなく、出版社はそれに応えるかの如く挿絵の複製に4ヶ月もかけたようです。挿絵の複製に時間がかかった理由は、水彩画があまりにも美しかったからだとか。作品中には作者自身が生きており、読者に語りかけている作風が特徴といっていいでしょう。読者の中にある子供の心を呼び覚まし、そこに本当の自分を見出してくれるような気がします。まさに、子供の心を失った大人にこそ読んでほしい一冊です。
3-2.世界中で読まれる『星の王子さま』
『星の王子さま』は、102ヶ国の言葉に翻訳され世界中で愛されている名作です。日本語の題名は『星の王子さま』ですが、フランス語の原題は『Le Petit Prince』、最初に発行されたアメリカ版では『The Little Prince』で、小さな王子さまなんですよ。
星の~という題名は日本特有のもの。翻訳をしたフランス語翻訳家の内藤濯(ないとうあろう)氏がタイトル付けの際、星を渡り歩く王子さまの姿を連想し、「小さな」より「星」の方がマッチしているとひらめき名付けたとか。もし、『小さな王子さま』と名付けられていたら、日本でファンクラブができるほどのベストセラーになっていたでしょうか?
4.『星の王子さま』の作者サン=テグジュペリとは?
By Bibliothèque et Archives nationales du Québec, Fonds Bernard Valiquette – lapresse.ca, パブリック・ドメイン, Link
パイロットでありながら、名作を書き続けたサン=テグジュペリって、いったいどんな人だったんでしょう。彼は『星の王子さま』という本の中で、繊細で美しい言葉をたくさん盛り込みました。ここでは、作者についてご紹介します。
4-1.サン=テグジュペリの人生を追う
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、フランス南東部に位置するローヌ・アルプス地方の都市「リヨン」で、1900年6月29日に誕生しました。子供のころから飛行機に憧れており、兵役で陸軍飛行連隊に所属し軍の操縦士になりました。その後、長距離偵察隊や郵便輸送などパイロットとして活躍しています。
第二次世界大戦で招集され飛行教官を務めるも、自ら偵察隊に入りました。しかし、大損害を受け部隊はアルジェリアに後退。ヴィシー政権がドイツと講和し、フランス本土へ戻った後の1940年12月31日にニューヨークへ亡命しています。
4-2.作品にも反映された人生
スイスの聖ヨハネ学院で文学を学んでおり、1926年に『南方郵便機』で作家として本格的にデビュー。亡命時代にはパイロットという異色の経験を活かし、『夜間飛行』や『人間の大地』などの名作を残しました。1935年のフランスとベトナム間の短時間飛行記録の挑戦中に、機体の故障でサハラ砂漠に不時着するも、3日後に自力で生還した体験を『星の王子さま』に反映させています。
44歳の時の1944年7月31日にフランス内陸部を偵察するためにボルゴ飛行場から出撃するも、地中海上空で消息を絶ちました。作家であり勇敢な飛行家でしたが、後に姿を見た人はいません。2004年4月に彼が搭乗していたロッキードF-5Bの飛行機が、マルセイユ沖で発見されています。
5.日本訳でおすすめの『星の王子さま』
By Kitsune – Kitsune’s file, CC 表示-継承 3.0, Link
子供でも読みやすいようにルビをふったものから、大人が読んでも読み応えがあるように少し難しい言葉で翻訳した本までたくさんの会社から出版されているので、読み比べを楽しめるのも『星の王子さま』の魅力です。一冊の名作が翻訳家の腕しだいで、全く違う物語になる変化を体感するのも面白いですよ。それでは、おすすめの本を5冊ご紹介します。
5-1.講談社青い鳥文庫
『星の王子さま』を初めて読む方、子供の心に戻ってゆっくり読みたい方には、「講談社青い鳥文庫」がおすすめです。
星の王子さま (講談社青い鳥文庫)
Amazonで見る