イギリスヨーロッパの歴史

「シェイクスピア」とは?その名作もジャンルごとにわかりやすく解説

歴史に詳しくなれるかも!シェイクスピアの史劇作品

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英文学で単に「史劇」と言ったとき、シェイクスピアのものを指すことが多いというほどに有名な彼の史劇作品。すべての作品が『ジョン王』、『リチャード三世』というように、歴史上の人物の名前がそのタイトルとなっています。

はじめて書いた作品とは思えない! 『ヘンリー六世』第1部~第3部

ヘンリー六世は1422年から1461年に在位していた実在するイングランド王です。1422年から1453年の間は、フランス王も兼ねていました。彼の生きた15世紀はイングランドにとって激動の時代。当時イングランドでは百年戦争(1337年~1453年)、次いで薔薇戦争(1455年~1485年)が勃発。ヘンリー六世はその時代の潮流に巻き込まれ、最期はロンドン塔に幽閉。1471年、49歳で亡くなってしまいました。

『ヘンリー六世』のなかで、彼の最期は第3部の第5幕に描かれています。ここではグロスター公リチャード(のちのリチャード三世)がヘンリー六世を暗殺したとされており、『リチャード三世』につながる内容となっているのです。『ヘンリー六世』シリーズはシェイクスピアが最初に書いた作品とされており、第1部はほかの劇作家との共作であるとも言われています。

作品のなかでは悪人だけれど……? 『リチャード三世』

先ほどの『ヘンリー六世』の項で少し触れた、リチャード三世の名前がタイトルとなっているこちらの作品。彼も実在したイングランドの王です。リチャード三世がイングランド王であったのは1483年から1485年。シェイクスピアの作品のなかで彼はヘンリー六世暗殺をはじめとして、さまざまな策略によって王位につくなど悪知恵のはたらく残忍な人物として描かれています。演者に技量が求められる、演じがいのある役どころです。

『リチャード三世』という作品によっての影響で、悪人であるというような印象が後世に残ってしまったリチャード三世。薔薇戦争におけるヨーク朝最後の王であり、最期は戦死してしまいました。リチャード三世の悪いイメージを払拭しようとする歴史愛好家もおり、実際の評価は分かれています。彼をメインに据え、良い人物として描く小説も多く書かれているのです。2012年にリチャード三世の遺骨が530年ぶりに発掘され、丁重に埋葬されました。

教養として、シェイクスピアの作品を読んでみませんか

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ここに紹介しきれないほどたくさんの作品を執筆したシェイクスピア。シェイクスピアの作品は、その後書かれたさまざまな作品の基になっていたり、日常会話においてもその名言が使われていたりします。「シェイクスピア」という知識の下敷きがあることで、日々の生活がより豊かなものになるかもしれません。文章だけでなく、機会があれば演劇でもぜひシェイクスピアを楽しんでみてくださいね。

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