室町時代戦国時代日本の歴史

現存する最古の天守:国宝【犬山城】の歴史と見どころ

犬山城愛がすごい!人々に愛され続ける名城は今

成瀬家の居城となった犬山城。時代が江戸から明治に代わっても、成瀬一族が城を守り続けていました。

しかし時代は明治。武士の時代は終わりを告げ、日本は欧米諸国に追い付け追い越せの近代化の時代を迎えようとしています。もう、天守や櫓を持つ城郭は必要ありません。

1871年(明治4年)、廃藩置県により、全国各地の城は次々と破棄され、その役目を終えていきます。犬山城も、櫓や城門などが次々と取り外され、小山に天守が残るだけとなってしまいました。

取り外された城門のうちのいくつかは、周辺地域の寺院などに移築されます。犬山市内にある瑞泉寺の山門もそのひとつ。歴史を感じさせる堂々たる門を一目見ようと、犬山城ファンが足を運ぶことも多いのだそうです。

自然災害や老朽化など数々の問題を乗り越えながら、犬山城は今日もりりしい姿で訪れる人々を迎え入れてくれています。

「現存天守12城」のひとつ・犬山城の見どころとは

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日本のちょうど真ん中あたり、西側にも東側にも目を光らせることができる位置にある犬山城は、古くから多くの武将たちに珍重されてきました。天下泰平の世の中が訪れても、小高い山の上から市井の人々を見守ってきた犬山城。次に、そんな犬山城の見どころを探ってみましょう。

高台にそびえる美しい天守

犬山城の見どころといえば何といっても「現存天守12城」に数えられる天守でしょう。

望楼型・三重四階建て、地下二階の堂々たる姿。正面には唐破風(からはふ)と呼ばれる、弓なり状の変わった形をした屋根があり、見る角度によって、スマートにもかわいらしくも見える魅力的な形をしています。

重厚な1~2階部分の上にちょこんと乗った最上階がバランスよく、なんとも優美。城の美しさをきわだたせています。

最上階(四階)には廻縁・高欄(まわりえん・こうらん)があり、外に出てぐるりと周回することが可能。周囲の眺望を楽しむことができるところも魅力のひとつです。

ただ美しいだけでなく、そこはやはり戦国時代の城。天守台の石垣は荒々しく野趣あふれる石積みで、石落としなど侵入者を防ぐ仕掛けを間近で見ることも可能です。

城を守る強固な石垣の美しさ

犬山城の天守を目指して山裾から登っていくと、標高80mほどとはいいますが結構な急斜面となっています。

現在は、城門や櫓は撤廃されて残ってはいませんが、石垣は山肌のあちこちに残っていて見ごたえ抜群。石垣マニアにはたまらない光景が随所に見られます。

途中の坂道も決してまっすぐではなく曲がりくねっており、守りの堅い城であったことが伺えるところも大きなポイントです。

近年積みなおした箇所も多いようですが、築城当時に使っていた石がそのまま残っているかと思うと、何気ない石積みにも思わずカメラを向けたくなるもの。やたらと石垣の写真が増えてしまいそうです。

大小さまざまな大きさの石を巧みに組み合わせて築かれた石垣もあれば、きれいに切り出された石を重ねて作った品格ある石垣もあり。天守へ向かう道すがら、石垣巡りもおススメです。

御神木「大杉様」も忘れずにチェック!

犬山城には「大杉様」と呼ばれるお方が今も暮らしていらっしゃいます。

「大杉様」とは、犬山城築城当時からその場にあったとされる巨大な杉の木。残念ながらすでに枯れてしまっているのですが、大きな柱に支えられながら、天守閣の東側に今も静かに佇んでいます。

犬山城を訪れたら、大杉様にもぜひ、会っていってください。

城内の説明書きによれば、大杉様の樹齢は約650年。枯れる前は24メートルもの高さがあったのだそうです。

時には天守の身代わりになって落雷を受け、台風の風よけとなってお城を守り続けてきたという大杉様。もう、家臣のひとりといってよいのではないでしょうか。

1965年頃に、人知れずひっそりと役目を終えてしまったようですが、その大きさは今も健在。天守閣と同様、犬山城の名所・見どころとして人気を集めています。

室町時代の様式を今に残す【犬山城】の勇姿

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戦国時代、重要なエリアだったと思われる一帯に建つ犬山城。現在も大勢の観光客が訪れる有名スポットとなっていますが、エレベーターやエスカレーターなどを設置せず、できるだけ建造当時の状態を見てもらえるよう、観光協会を始め地元の人々が日々、力を尽くされているのだそうです。地域の人々に守られ愛され続けてきた犬山城。お近くにお越しの際は是非、城下町散策とあわせて見学なさってみて下さい。

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