古墳時代日本の歴史

古墳がアツい!今こそ見ておきたい・おススメ「前方後円墳」10選

大阪・堺市に点在する古墳群がユネスコ世界遺産に登録されたことで、がぜん注目が集まっている古墳。最近では「古墳ガール」なる古墳好きの女子たちも増えているのだとか。古墳鑑賞を楽しむ人たちに最も人気が高いのが、前方後円墳という形状の古墳。そこで今回は、日本全国に散らばる古墳群の中から、ぜひ見ておきたい「前方後円墳」を厳選してご紹介します。派手な観光スポットとはちょっと雰囲気が違いますが、お近くにお住まいでしたらぜひ、覗いてみてください。

古代のロマンを感じられる「前方後円墳」は魅力がいっぱい!

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古墳というと、奈良や京都など、古代に都があったところにあるものかと思われがちですが、実は日本全国にかなりの数の古墳が作られています。3世紀から7世紀ごろにかけて、はじめは天皇や身分の高い人たちのためのものだったようですが、時代が進むにつれて、地方の豪族や有力者たちも真似て古墳を作るようになったのだそうです。全国に少なくとも15万基以上あると考えられている古墳。中でも、鍵穴のような形をした前方後円墳は「どうしてこんな形に作ったんだろう?」と、ワクワク想像力を掻き立てられる感じがします。そんな前方後円墳の魅力を感じることができるスポット、いくつかご紹介いたしましょう。

まずは基本情報から・前方後円墳ってどんな古墳?

前方後円墳とは古墳の形状の一種で、3世紀の中ごろから作られ始めたと考えられえています。

「前方後円」という呼び方は、江戸時代の学者・蒲生君平(がもうくんぺい)が晩年綴った「山陵志」という書物の中で使った「前方後円」という言葉がもとになっているのだとか。この言葉からも、前方後円墳が「丸いほうが後ろ、四角いほうが前」とであることがわかります。

ただ、なぜこのような形をしているのか、はっきりしたことはわかっていません。

古墳には円墳(上空から見て円形をしているもの)と方墳(同じく四角形をしているもの)があり、この2つの形を組み合わせたものが前方後円墳なのでは?との見方が有力。今後の研究でさらに詳しいことが明らかになるのか、期待が高まります。

全国に大小15万基以上はあるといわれている古墳のうち、およそ5000基ほどが前方後円墳。まだ発見されていない(土地開発により埋もれてしまったものも含む)可能性もあるため正確な数の把握は難しそうですが、時代とともに円墳や方墳の割合が高くなり、前方後円墳は作られなくなっていったともいわれています。

比較的規模が大きいため、位の高い人のための古墳ではないか、との見方もあるようです。

九州最大!西都原古墳群(宮崎県西都市)

南国・宮崎県のほぼ中央に位置する西都市には、広大な丘陵地帯に大小およそ300基にもなる古墳群があります。西都原(さいとばる)その中に前方後円墳が31基。中でも巨大なのが、男狭穂塚(おさほづか)と女狭穂塚(めさほづか)の2つの前方後円墳です。

どちらも長さ180mほどにもなる巨大古墳。現在では木々に覆われており、古墳だと言われなければ、こんもりとした小山にしか見えません。古墳時代の中期、5世紀ごろに作られたものとされています。

緩やかで開放的な丘陵地帯に様々な形の古墳が点在するこちらのスポットは、散策にもおすすめ。ひまわりやコスモスなどの花畑も楽しめます。西都原考古博物館もあわせて見学すれば、気分はもう古墳博士です。

まるで宇宙人からのメッセージ!五色塚古墳(兵庫県神戸市)

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五色塚古墳は別名「千壺古墳」とも呼ばれる、古墳時代前半に作られたとされる巨大前方後円墳です。

特筆すべきはその形。古墳というと木々に覆われた緑の森をイメージすることが多いと思いますが、こちらの古墳は石で覆われた、南米のピラミッド遺跡を彷彿とさせる形状をしています。

目の前には明石海峡が広がり、淡路島もすぐ目の前。住宅地の中に忽然と現れる古代遺跡。長さ197mという巨大さから、近代の建造物と勘違いする人がいてもおかしくありません。航空写真で見ると、美しい鍵穴上の形がくっきり。まさか宇宙人からのメッセージでは?と思ってしまいたくなるような前方後円墳です。

周辺には明石大橋を間近に見る公園もあり、眺めは抜群。レプリカですが埴輪もたくさん展示されていて古代の雰囲気満点です。

祝!世界遺産登録・仁徳天皇陵古墳(大阪府堺市)

堺市の大仙町にあることから、正式には大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)と名付けられていますが、一般には「仁徳天皇陵」の名前で親しまれています。仁徳天皇が埋葬されているといわれてきましたが、実際の埋葬者については明らかになっていません。

長さ約486m、高さ34.8m。前方後円墳のお手本のような美しい形をしています。こんもりと木々に覆われた古墳は大きな堀に囲まれ、まるでお城のような佇まいです。古墳そのものの中に入ったり近づくことはできませんが、周囲には遊歩道が整備されていて、ぐるりと散策しながら古墳の様子を見ることができます。

2019年7月、一帯の古墳群とともに「百舌鳥・古市古墳群」としてユネスコ世界文化遺産に登録されたことは記憶に新しいところ。日本の古墳文化をけん引する巨大前方後円墳。必見です。

巨石で築かれた石室・観音山古墳(群馬県高崎市)

群馬県の中央部、住宅や行政施設が立ち並ぶ静かな街の一角に鎮座する、長さ約100mにもなる巨大前方後円墳。航空写真を見ると、まるで食パンに焼き型を押したような個性的な形状を確認することができます。古墳を避けるようにして整備された道路との兼ね合いも見ごたえありです。

近くで見ると、芝に覆われた丘のように見えるこちらの古墳では、事前に問い合わせをしておけば、内部の石室を見学することも可能。1400年前の横穴式の石室は巨大な石をいくつも積み上げて作られており、長さは13mほど。地域の有力者の墓とみられていますが、かなり影響力のあった人物であることがうかがえます

シャープな形が魅力的・保渡田古墳群(群馬県高崎市)

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高崎市内にある古墳をもう一か所ご紹介します。

群馬県は知る人ぞ知る古墳の宝庫。大きな古墳が1つ鎮座する場合もあれば、こちらの保渡田古墳群のようにいくつかの古墳が集まっているところも。見逃せません。

「宇宙人との交信用か?」と思ってしまうほど美しく均整の取れた形状をした前方後円墳が3基(二子山古墳・八幡塚古墳・薬師塚古墳)。こちらも機会があればぜひ、航空写真で全容を見ていただきたいところです。3基とも、長さ約100mほどの大きさがあり、古墳時代中期に地域の有力者の墓として作られたものではないか、と言われています。

銅鏡や勾玉など副葬品も多数出土。1500年前の様子を知る貴重な史料として大切に保存されています。

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