室町時代戦国時代日本の歴史

5分でわかる斎藤道三の生涯!なぜ父を殺し子に殺された?なぜ悪党なの?わかりやすく解説!

2-4.道三の栄華も長く続かず…

1541年、道三が頼芸の弟だった頼満を毒殺すると、さすがに頼芸も自分の身の危険を感じたのか大いに警戒心を抱きました。

頼芸はすでに追放されていた兄や朝倉氏、織田氏などと連携して道三を追い落とそうとするも反撃に遭い、ついに彼自身も国外へ追放されてしまうのでした。

こうして美濃の国主へと昇りつめた道三でしたが、その絶頂も長くは続きません。やがて子の義龍と不和になり、骨肉争う戦いを繰り広げたのち、長良川河畔であえなく討ち死にしてしまいました。

享年63。一説によれば子の義龍は、自分が追放した土岐頼芸の血を引いていたともいわれています。

3.史実と異なる斎藤道三の姿

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ここからは、後世になってイメージ付けられた「悪人 斎藤道三」の真の姿を探っていきたいと思います。主家乗っ取り、政敵の抹殺、主君の追放など、戦国の世とはいえ悪逆を尽くした感がある彼ですが、実は誰よりも国のことを考えていた節があるのです。

3-1.斎藤道三の生い立ちの秘密

先述した「六角承禎条書写」の記述が正しいのであれば、親子二人で美濃へやって来る前に京都近郊で暮らしていたものと思われます。

その記述にあるように、新左衛門(道三の父)が僧から還俗したあと、松波庄五郎を名乗り、何らかの形で生計を立てていたはずですね。

そこでこれまで通説だった斎藤道三の事績が生きてくるのです。それによると油問屋だった奈良屋の娘を娶った庄五郎は、行商で各地を巡っていた頃に、土岐家の家臣に認められて武士になる決意を固めたといいます。

行商人として各地を巡る間に、どこの国が強くてどこが弱いのか?どの国が栄えているのかなど、有益な情報を得ていました。もちろん息子も父から様々なことを聞いて勉強し、立派な商人になるために励んでいたと思われます。

3-2.国を富ますには武士目線でないことが大事

武士を志して庄五郎が選んだ場所は、当時の流通の拠点でもあり、繁栄していた美濃でした。

「美濃は土地も豊かだし商業も盛んだから、そこならきっとどこかの武家が雇ってくれるはず。」という考えがあったのでしょう。もちろん息子も付いていくことになりました。

父からの薫陶を受けて、商売や流通の知識を学んでいた道三は、その見識を政治の世界で発揮していくことになるのです。しかしそれは単純な武士目線ではなく、多角的な商人目線だったことは言うまでもありません。

「国を富ますには、いかに経済を発展させるか?」ということを誰よりもわかっていたのでしょうね。

3-3.中世日本にはびこっていた利権「座」

室町時代、商工業者の同業組合である「座」というものが存在していました。商人たちは一定の金銭を支払うことで営業権を得て商売を行うわけですが、この「座」を取り仕切っていた元締めと呼ばれるものがいました。

それが公家や寺社といった旧来勢力で、かつて庄五郎たちが所属していたところも「大山崎油座」という組織でした。

有力な寺社が商売に口を出し、悪徳ともいえる法外な利益を得て、庶民を苦しめるという図式が当時の一般的な姿でした。

皆が困るうえに、「座」に縛られて自由に商売ができない不合理を感じていた道三は、都市の発展のためには自由な取引こそが欠かせないと考えたのです。今でいう資本主義の先駆けともいえる考えだったのですね。

3-4.道三の経済革命。信長よりも早く「楽市楽座」を命ずる

道三は美濃の政治の実権を握るや、稲葉山城下に「楽市・楽座」を命じました。「座」に縛られない自由な商いを許可し、そればかりでなく商売を行う上で税金も免除させたのです。

後に織田信長が大々的に楽市楽座を広め、大成功を収めますが、それは既得権益層だった寺社勢力を真っ向から否定し、叩き潰そうとする気概があったからでしょう。

道三の頃には寺社勢力と対立するまでには至りませんでしたが、その精神は信長へと引き継がれていったと見ていいかも知れませんね。

岐阜加納に出された楽市楽座令

※信長時代のものですが、道三が出した楽市楽座令もほぼ同じ内容でした。

 

当市場越居之輩、分国往還煩有へからす、井借銭・借米・さかり銭・敷地年貢・門なみ諸役免許せしめ言乞、譜代相伝の者たりといふとも、違乱すべからさる事。

楽市楽座之上、諸商売すべき事。


をしかひ・狼籍・喧嘩・口論・使入べからす、井宿をとり非分申かくべからさる事

 

<現代訳>

井ノ口(岐阜のこと)の市場へ商売にやって来る者は、他国からの往来も自由にするものとする。また税金や諸役を免除し、それは古くから商売している者も同じとする。

楽市楽座であるから、安心して商売するように。

井ノ口における押し買い、押し売り、喧嘩、乱暴は厳に慎むように。これをきちんと申し渡しておく。

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