日本の歴史昭和

日本を世界の経済大国に押し上げた「高度経済成長」とは何だったのか?わかりやすく振り返る

日本を追い詰めたアメリカの繁栄の終焉_ニクソンショック

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もう一つ、日本の高度経済成長を止めた要因がありました。

日本の高度経済成長を支えていたアメリカの消費経済は、1976年のニクソンショック、すなわちドルと金の交換停止によって一気にその勢いを無くしていきます。それは、アメリカへの輸出に頼った日本の製造業を中心とした産業構造を直撃しました。輸出が一時的に伸びなくなったことも日本の経済成長力を失わせるきっかけとなったのです。

同時にアメリカ自身もその後長い景気低迷に直面することになっています。アメリカンドリームも終焉を迎えたのです。

日本の高度経済成長の示すもの

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高度経済成長は、戦争によって壊滅的な影響を受けた日本の経済を大きく回復させ、政界第2位の経済大国に押し上げました。しかし、その一つの要因には、団塊の世代と言われる戦後生まれ世代の労働力人口の増加が大きな要因であったのです。そのため、国としての経済力は大きくなったものの、一人当たり所得という面では、OECD(経済協力開発機構)の中では依然として中位になっていました。

それは、現在の中国に似ているでしょう。中国は、日本を抜いて政界第2位の経済大国となっています。しかし、その恩恵を受けているのは沿岸地域の富裕層であり、中国の一人当たり所得は依然として低いままです。日本にはまだまだ及びません。全国民が中流層になるには、まだまだ時間がかかるでしょう。それ故に、中国自身は未だに発展途上国と称しているのです。

環境が整えば高度経済成長は訪れる

日本は、防衛力をアメリカに依存し、本来防衛費に回る資金を産業復興に回すことができました。しかも朝鮮戦争による特需によって生産設備を拡大できたことが、高度経済成長につながったのです。しかし、現代では、東アジア、東南アジア諸国は、日本の例を真似ています。欧米や日本の投資を呼び込んで同時にその産業技術を真似、盗むことによって高い経済成長力を得ることに成功しているのです。

すなわち、環境が整えば、日本だけでなく、どの発展途上国でも高度経済成長につなげることは可能になります。中国がその例で、1990年代から2000年代には欧米、日本の企業の生産設備を呼び込み、その技術を学ぶことで、自らの生産力を高めて、今や日本をしのぐ経済大国になったのです。

2010年を過ぎるとさすがに成長率が低下し、現在では6~7%の経済成長率に落ちています。それでも日本安定成長期よりも高い経済成長になっているのです。今後、その成長率の低下に応じた政策を日本をモデルとして構築していくことになるでしょう。

高度経済成長は永遠には続かない

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逆に言えば、高度経済成長はどこの国にも環境(治安の安定、安い労働力、高い学習能力(教育))が整えば、その機会はいくらでもあると言えるのです。また、同時にその高度経済成長が永遠に続く訳もありません。日本は、18年程度経験したものの、東アジアや東南アジア諸国は既に安定成長期に入ろうとしています。高度経済成長期は10年程度であったとも言えるのです。その期間にどれだけ国を成長させるかが重要になります。

さらにそれを支える人口増加は、今や世界では過剰人口と言われている状況です。現在の政界の人口は80億人と言われており、地球の食糧はその人口に見合った量を生産できなくなっています。

したがって、今後、アフリカなどが高度経済成長に突入したとしても人口増加を維持して継続できるかは未知数なのです。

経済成長を支える人口増加の終焉による成長神話からの脱皮の必要性

日本にしても、先進国においても、経済成長によって豊かさが維持できると信じられています。しかし、人口増加が終わり、人口(労働人口)減少の時代に成長力を維持すことは国そのものにかかる負荷は非常に高くならざるを得ません。むしろ、一人当たりの所得が増えない中で、心豊かに暮らせる方法を見出さなければ、経済的豊かさを維持できたとしても、人間としての幸せを維持できるとは限らないのです。

したがって、今求められるのは、経済成長を維持することよりも、その成長神話から脱皮して人間らしく暮らすことのできる社会を構築することと言えます。

高度経済成長はもう来ない

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高度経済成長は、日本を世界第2位の経済大国に押し上げ、一億総中流という豊かさを実現してくれました。しかし、その経済成長の時代はすでに終わろうとしており、今、新しい日本人の生活とはどうあるべきかを求めるべき時代になっています。もはや、高度経済成長時代はこないのです。国としての経済成長、経済力の維持は難しくなっており、人口減少の中で一人当たり所得を維持しながら、いかに精神的に豊かにくらすことのできる社会を構築するかが課題となっています。そのことを、私たち一人ひとりが考えるべき時がきているのです。

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