日本の歴史

個性豊かな日本の神獣たち~関連スポットも合わせてご紹介~

中国発祥の吉兆を呼び込む神獣【麒麟】

某ビール会社のロゴとしてもおなじみな「麒麟(きりん)」。もう見た目からして、動物園にいるキリンなどとは似ても似つかない姿形をしてますよね。それもそのはず。麒麟は実在するのではなく想像上の動物だからです。

出身はやはり中国で、「鹿の身体、牛の尾、馬の足、オオカミの頭」といった姿をしています。中国由来の神獣というのは、こういったハイブリッド形態が多く、先ほどご紹介した鳳凰や玄武などもそうですよね。史書「春秋公羊伝」によると、中国では春秋戦国時代の末期に存在を意識され、西方の古代オリエントから伝わったものだという説が有力。同じく古代オリエントからヨーロッパへ伝わったユニコーンと起源が同じだということになりすね。

「徳のある王が現れた際に、その姿を現す」とされていますから、戦乱に倦んだ民衆たちが平和な世が来ることを望んで作り上げた偶像ともいえる存在でしょう。

日本に麒麟が伝わった時期は確かではありませんが、鶴や亀などと共に長寿や平和の象徴であるとされました。ひいては縁起が良い動物として広まっていったのでしょう。山陰地方の伝統芸能「麒麟獅子舞(きりんししまい)」は日本遺産にも指定されているのですが、江戸時代前期に鳥取藩主池田光仲公が始めたとされ、戦乱のない平和と繁栄を祈念するという意味が込められているのです。

麒麟の関連スポット<因幡の麒麟獅子舞>

江戸時代前期、鳥取藩主池田光仲が鳥取東照宮を建立させ、その数年後に麒麟獅子舞を躍らせたことが起源になっています。麒麟は「徳のある政治を行うと出現する」とされているため、曾祖父の徳川家康のように立派な政治をするための決意表明だったともされているのです。

二人一組で舞う麒麟獅子舞は、春と秋に多くの神社で奉納されるほか、氏子の家を巡るため、様々な場所で見ることができます。麒麟獅子に頭を噛んでもらうと子供は賢くなり、大人は1年間無病息災だと昔から言い伝えられており、祭りになると、皆が獅子に頭を噛んでもらう習慣となっているそう。

麒麟獅子舞が舞う例大祭のスケジュールは、「因幡・但馬の麒麟獅子舞のご紹介」というwebサイトで掲載されていますので、ぜひ見てみたい!という方はチェックしておいた方がいいでしょう。

麒麟獅子舞の演目動画はこちら!

日本の神獣スポットを巡ってみよう

image by PIXTA / 28352252

神獣が祀られているスポットは全国にたくさんあり、古くから日本人と関りが深かったことがよくわかりますね。また神獣は、神様のお言葉を伝えたり、吉や福を授けてくれたり、とにかく縁起の良い動物ですから、そういった神獣にちなむ場所って一種のパワースポットだったりもするのです。ぜひそういった場所を巡って、人が幸せになれる「神獣パワー」を身に付けてみてください。

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明石則実