個性豊かな日本の神獣たち~関連スポットも合わせてご紹介~
「大国主命とネズミ」の関連スポット<大国主神社>
大阪市浪速区にあるこの神社は、大国主命を祀ったところで、毎年1月には大国(大黒ではない)祭りが行われ、大いに賑わいます。さすがに七福神の一人だけあって金運アップには物凄いご利益があるそうで、大阪では「宝くじの神」としても有名ですね。
また、大国主命と繋がりが深いネズミもしっかり境内に鎮座していて、狛犬ならぬ全国でも珍しい【狛ネズミ】が本殿の前に座っています。狛ネズミがいるのは、あとは京都の大豊神社くらいでしょうか。
神様を乗せて茨城県からやってきた【奈良の鹿】
修学旅行のメッカで、最近は外国人観光客が圧倒的に多い奈良の春日大社。ここにいる鹿は「奈良の鹿愛護会」の調査によれば、2019年現在で約1400頭いるそうです。そんなお馴染みの鹿ですが、春日大社では神鹿(しんろく)と呼ばれており、とても神聖な動物だとされています。
伝承では、茨城県の鹿島神宮の祭神【建御雷命(タケミカヅチノミコト)】が鹿にまたがって御蓋山(春日山)へ降臨したという縁起があり、それをもって春日大社は創建されたとのこと。
奈良時代から権力を持っていた藤原氏の祖先神が建御雷命だとされていますから、一族の守り神とするには遠い鹿島にいる神様を何としてでも奈良へ持ってきたかったという事情があったのでしょう。いずれにしても春日大社のある一帯は古来から山と野原が混在するような、鹿にとって住みよい環境だったということから、元来は野生だった鹿が保護されてきたと考えるべきでしょう。
神鹿の関連スポット<春日大社とその周辺>
近鉄奈良駅から徒歩圏内で春日大社へアクセスできることから、奈良の鹿の生息域も公園内だけでなく市街地にまで頻繁に出没しているようです。
特にこの一帯は、春日大社、東大寺、興福寺といった奈良時代から続く古刹を間単に巡ることができるメリットもありますし、猿沢池の隣に位置する奈良ホテルの敷地内には西方院山城という中世山城も存在します。また春日神社の隣には奈良国立博物館もありますので、古代~現代にかけての文化の発信地として、非常に魅力的なスポットなのではないでしょうか。
海の向こうからやってきた神獣たち
日本の神獣たちは、実はその多くが中国や朝鮮半島など大陸から伝わってきたものが多いのです。先に述べた「お稲荷さん」や「狛犬」もそうですし、「ヤマタノヲロチ」だって中国の龍の言い伝えをベースにしています。そういったものを日本独自の解釈で表現したものだといえるのですが。純粋に大陸から伝わってきたものを、そのまま受け入れた場合もありました。そういった海の向こうからやって来た神獣をご紹介しましょう。
豪華絢爛な伝説の鳥【鳳凰】
中国では現在でも【鳳凰】は大変おめでたい鳥とされており、鳳凰と龍とを組み合わせた結婚式の招待状などでも図案化され用いられたりしていますね。鳳凰は新婦を。龍は新郎を表しているとのこと。
漢代の頃から「青龍、白虎、玄武、朱雀(鳳凰)」として並び称せられて崇められ、日本には6世紀に仏教とともに伝来したといわれています。体の前面は麒麟、後面は鹿、首は蛇、尾は魚、背中は亀、顎は燕、くちばしは鶏という超ハイブリッドな形態で、一説には孔雀がモデルになったのだとか。
日本の建築物や美術品にも、その祥瑞なシルエットが描かれることが多く、藤原頼通の「平等院鳳凰堂」、足利義満の「鹿苑寺金閣」、伊藤若冲作の「孔雀鳳凰図」などに、その優美な姿を垣間見ることができますね。日本人にとっても栄華と繁栄のシンボルとして愛されていたことがよくわかります。
鳳凰の関連スポット<平等院鳳凰堂>
日本が世界に誇る世界文化遺産の一つが、この平等院鳳凰堂です。平安時代、藤原氏が栄華を極めた象徴のような建造物で、これまでに何度も修築と保全が繰り返されて、現在に至るまで1000年もの風雨にも耐えてきた歴史ある史跡なのですね。
鳳凰堂内部に描かれている壮麗な「九品来迎図」もまた修繕途中であり、現在でも建物内部には足場が組まれていますし、鳳凰堂の象徴ともいえる屋根に輝いている二対の鳳凰は、実はレプリカなのです。実物の鳳凰は現在、境内にある【平等院ミュージアム鳳翔館】の内部に保管されており、期間限定で公開されることもあります。特に令和元年は、新天皇ご即位の奉賀と長しえの繁栄を祈念して一般公開されていますね。