個性豊かな日本の神獣たち~関連スポットも合わせてご紹介~
日本神話に登場する神獣たち
まずは日本古来の神話に登場する神獣たちをご紹介していきましょう。中国などから想像上の動物たちが入ってくる以前から登場しているため、まさに日本オリジナルだといえるでしょうね。
日本版ドラゴンクエスト?【ヤマタノヲロチ】
日本において龍をモチーフとした遺物が残されているのはかなり古く、弥生式土器にも「龍の文様」が刻まれていますし、古墳時代の銅鏡などにも龍が描かれています。
また、世界各地に残るドラゴン退治の英雄譚と同じものとして、古事記や日本書紀の中にもスサノオノミコトに退治される大蛇ヤマタノヲロチが登場してきますね。神代の時代、出雲国(現在の島根県)に至ったスサノオは、土地の老夫婦の娘であるクシイナダヒメを助けるためにヲロチをやっつけることを決意しました。
ヲロチは頭と尾が8つもあり、8つの山や谷にまたがるほどの巨体で、赤い目が爛々と光るバケモノでした。スサノオは奇計をめぐらせ、桶に入れた酒をヲロチに飲ませて眠りこけたところを斬って討ち取ったとされています。尾を斬ると刃こぼれがしたので、よく見てみると、剣の中からもう一つの剣が出てきて、それが【草薙剣(くさなぎのつるぎ】だったとされていますね。それが歴代天皇が継承してきた「三種の神器」の一つなのです。
ヤマタノヲロチの関連スポット<石見神楽(いわみかぐら)>
島根県石見地方に伝わる伝統芸能で、日本遺産にも認定された「浜田の夜神楽」は特に有名。それだけでなく、神楽は道の駅や朝市などでも公演されています。地元ではたいへん人気で、特に「大蛇」というヤマタノヲロチ伝説をモチーフとした演目が有名ですね。派手なアクションと花火を用いた勇壮な舞は、見る者を魅了します。
神武天皇の道案内を務めた三本足のカラス【八咫烏】
日本書紀に記された神武東征の中でのお話。天下を治めるために日向国(現在の宮崎県)を発った神武天皇の一行は、紀伊国(現在の和歌山県)の熊野で道に迷いました。困っていると天照大御神が遣わした三本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が現れて、神武天皇たちを無事に大和国(現在の奈良県)の宇陀まで道案内したそうです。
それ以来、熊野本宮大社の象徴として崇められるようになった八咫烏は、現在ではサッカー日本代表のシンボルマークとしても有名になっていますよね。
八咫烏の関連スポット<熊野本宮大社>
全国に3000社ある熊野神社の総本山で、その昔は古え(いにしえ)の道「熊野古道」を歩いて人々が参拝に訪れたそうです。その様子は「蟻の熊野詣(くまのもうで)」ともいわれ、まるで蟻のように人々が列をなして参拝していたからだと伝わっていますね。
八咫烏が舞い降りし地「熊野」らしく、神社の中には八咫烏のオブジェなどもあり、熊野の手漉き和紙である音無紙で作られたハガキを八咫烏ポストという黒いポストに投函すると、ご利益があるのだとか。また社務所ではハガキや手紙に「出発の地より心をこめて 熊野本宮」というスタンプも押してもらえますよ。