広く信仰を集めた知恵の神:トト(Thoth)
テウトと呼ばれることもある、エジプト神話で知恵を司る神。古くから言い伝えられている神様で、広い地域で時代を問わず多くの信仰を集め、様々な役割を持って登場します。あるときは知恵を、あるときは書記たちを率いる守護者、時を司る神として称えられたり、文字を伝えた者とされることも。創造神として登場することもあるそうです。
ギリシャやローマ、バビロニアなど他地域の宗教とも結びついて、トト信仰は各地に広まっていったと考えられています。多くの人々に愛され、崇められてきた神様です。
絵図に描かれるときは、トキかヒヒのどちらかの姿をしています。
あらゆるものの起源:ヌン(Nun)
ヌンはすべての事象の起源であるとされる原始の神。まだ天地も何もなく、何も決まっていないときに、混沌(カオス)を表す神として語られることが多いです。神として描かれるときは概ね男性の姿をしています。
神話によっては、ヌンは神ではなく、世界の始まりにある水や大海原を表しているとも。何もない暗いところに水があり、そこから創造神アトゥムが生まれた、アトゥムを生み出した存在であると伝わっています。創造神が誕生する前から存在していた何か……。エジプトの人たちにとって、形容し難いとてつもないもの、という意味が込められているようです。
別の話では、オシリスやセトと兄弟であると語られることもあります。
ハヤブサの頭を持つ天空と太陽の神ホルス(Horus)
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イシスと並んで、エジプト神話の中で最も有名な神様と言ってよいでしょう。力強く猛々しいハヤブサ(ワシや鷹の場合もあり)の姿をした、天空と太陽を司る神様。エジプト神話の中で最も偉大で、最も登場回数の多い神様です。
もともと、古い時代から崇められていた存在でしたが、神話の中ではオシリスとイシスの息子として描かれたり、太陽神ラーの息子として描かれることも。鳥の姿をしているとされていますが、鳥の頭を持つ人型として描かれることも多く、様々な登場の仕方をすることでも知られています。
オシリスとイシスの子として、父を殺したセトと戦う話は、エジプト神話の中でも特に人気のある一節。その人気ゆえか、オシリス兄弟の末っ子として登場することもあります。
敵を焼き尽くす強き太陽神:ラー(Ra)
エジプト語で「太陽」を表す言葉がそのまま神様に。太陽神として長きに渡り、多くの人々の信仰を集めてきました。
鳥(おそらくハヤブサ)の頭に人の体という姿で描かれることが多いです。
ラーは他の神々と同一(習合)に描かれることが多い神としても知られています。あるときはアトゥムと同一に「ラー・アトゥム」と呼ばれ、あるときはホルスと同一視され「ラー・ホルアクティ」に。他の太陽神と習合されることも多々あります。
ピラミッドやオベリスクが築かれていた時代は、ラーを主神として崇めていたと考えられていますが、時代と共に太陽信仰の形も徐々に変化していったのかもしれません。古代エジプトの中でも比較的新しい時代では、ラーより他の太陽神を崇める機会が多くなっています。
意外と知っている名前があった!カッコいいエジプト神話の神様たち
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エジプト神話?と思っていたら、小説や漫画、ゲームなどを通して聞いたことがある名前がいくつも登場したので少し意外でした。自然や物事を司る神様がたくさんいて、日本の神様に通じるところも多いので、日本人にも馴染みやすそう。機会があったら是非、エジプト神話の神様たちの活躍を読んでみてください!
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